概要

以前、Knative上でトラフィック管理する記事とオートスケーリングする記事を執筆しました。

今回は、Knative Eventingについて取り上げます。
Knative Eventingは、Knative上でイベント駆動型のシステムを実現するメカニズムです。

この記事では、Knative Eventingを利用して、Knative Serviceを呼び出す方法について説明します。具体的には、Flaskを使ったシンプルなWebアプリケーションをコンテナ化し、Knative Serviceとしてデプロイします。その後、PingSourceを利用して定期的にこのサービスを呼び出す仕組みを構築します。

1. Flaskを使った簡単なWebアプリケーションの作成

まず、Flaskを使ったシンプルなWebアプリケーションを作成します。このアプリケーションは、HTTPリクエストのペイロードをログに記録し、同じ内容をレスポンスとして返します。

以下のPythonコードは、そのアプリケーションの内容です。

from flask import Flask, request
import logging

logging.basicConfig(level=logging.INFO)
logger = logging.getLogger(__name__)

app = Flask(__name__)

@app.route('/', methods=['GET', 'POST'])
def index():
    logger.info(request.get_json())
    return f"echo: {request.get_json()}"

if __name__ == '__main__':
    app.run(host='0.0.0.0', port=80)

このコードでは、/エンドポイントに対してGETまたはPOSTリクエストを受け付け、リクエストボディをログに記録し、その内容を"echo"という形式で返します。

2. Dockerコンテナの作成

次に、このアプリケーションをコンテナ化します。以下のDockerfileを使用して、Flaskアプリケーションをコンテナイメージとしてビルドします。

FROM python:3.12-slim

WORKDIR /app
RUN pip install flask

COPY web-echo.py /app

ENTRYPOINT python web-echo.py

このDockerfileは、Python 3.12の軽量イメージをベースに、Flaskをインストールし、web-echo.pyをアプリケーションとして実行するものです。

コンテナイメージのビルドは以下のコマンドで行います。

docker build . -t yoshikit/web-echo:latest

こちらのイメージはDocker Hubで利用可能です:
https://hub.docker.com/r/yoshikit/web-echo

3. Knative Serviceのデプロイ

次に、このコンテナイメージをKnative Serviceとしてデプロイします。以下のKnativeService.yamlファイルを使用します。

apiVersion: serving.knative.dev/v1
kind: Service
metadata:
  name: web-echo
spec:
  template:
    spec:
      containers:
      - image: yoshikit/web-echo:latest
        imagePullPolicy: Always
        ports:
            - containerPort: 80

このYAMLファイルは、yoshikit/web-echo:latestイメージを使用してKnative Serviceをデプロイする設定です。containerPortは80に設定されており、HTTPリクエストを受け付けます。

このファイルを適用するには、以下のコマンドを使用します。

kubectl apply -f KnativeService.yaml

これで、Knative Serviceがクラスタにデプロイされます。

4. PingSourceを使ったイベントの送信

最後に、Knative Eventingの機能を利用して、定期的にこのサービスを呼び出すためにPingSourceを設定します。以下のPingSource.yamlファイルを使用します。

apiVersion: sources.knative.dev/v1
kind: PingSource
metadata:
  name: ping-source
spec:
  schedule: "*/1 * * * *"
  data: '{"message": "Hello world!"}'
  contentType: application/json
  sink:
    ref:
      apiVersion: serving.knative.dev/v1
      kind: Service
      name: web-echo

このPingSourceは、毎分{"message": "Hello world!"}というJSONデータをweb-echoという名前のKnative Serviceに送信します。

この設定を適用するには、以下のコマンドを使用します。

kubectl apply -f PingSource.yaml

5. 動作確認

全ての設定が完了したら、Knative Serviceが正常にイベントを受信し、レスポンスを返すことを確認します。Kubernetesのログを確認して、web-echoサービスのログに"Hello world!"というメッセージが記録されていることを確認します。

kubectl logs -l serving.knative.dev/service=web-echo

上記コマンドでログを確認し、定期的に"echo: {'message': 'Hello world!'}"というメッセージが出力されていれば成功です。

実際に出力されたログ:

Defaulted container "user-container" out of: user-container, queue-proxy
INFO:__main__:{'message': 'Hello world!'}
INFO:werkzeug:127.0.0.1 - - [03/Sep/2024 12:25:00] "POST / HTTP/1.1" 200 -
INFO:__main__:{'message': 'Hello world!'}
INFO:werkzeug:127.0.0.1 - - [03/Sep/2024 12:26:00] "POST / HTTP/1.1" 200 -
INFO:__main__:{'message': 'Hello world!'}
INFO:werkzeug:127.0.0.1 - - [03/Sep/2024 12:27:00] "POST / HTTP/1.1" 200 -
INFO:__main__:{'message': 'Hello world!'}
INFO:werkzeug:127.0.0.1 - - [03/Sep/2024 12:28:00] "POST / HTTP/1.1" 200 -
INFO:__main__:{'message': 'Hello world!'}
INFO:werkzeug:127.0.0.1 - - [03/Sep/2024 12:29:00] "POST / HTTP/1.1" 200 -

まとめ

この記事では、Knative Eventingを利用して、PingSourceからKnative Serviceを呼び出す方法を説明しました！