本記事はiRidge Advent Calendar 2016 1日目の記事です。
iRidge Advent Calendar 2016を主催していますtnirです。
2014年のAdvent Calendarから富士通と似たような感じで急遽12/1の夕方に決めて立ち上げることにしました。社内からも何してんの?って内部から刺されるので、経緯を書いておきます。私がQiita Organiztion担当でもあるため、QiitaのAdvent Calendarを使ってみることにしました。
FinTechとは何かというのはWikipediaのFinTech(en)あたりをご覧になられると分かる気にだけなって多分何も分かっていないのですが、対象ドメインのうち、投資、ファイナンス、保険、コンサルテーションを除くと、(フロント側の)決済や(バック側の)インフラ、そして、(ドメイン間連携の)データ分析あたりが主流なのではないかと私は思っています。
なぜFinTechとは何かを考える必要があるのか
FinTechという言葉が一般に浸透して10年以上が経過しますが、所属している企業がFinTech企業として認知されるようになってきたこともあり、2016年は改めてFinTechの意義と領域について考える機会が多くなったように感じました。
とは言っても、手がかりもないので、まずは身近なところで考えてみます。
担当{した,している}FinTech事例を時系列的に振り返る
スマートフォンアプリを使ったFinTechの最初の取り組み
2012年に「三菱東京UFJ銀行アプリ」に為替情報の配信サービスを開始しています。
- 2012年12月 「三菱東京UFJ銀行」アプリに為替レートプッシュ通知サービスの提供を開始
当時iPhone 3Gの日本上陸から4年が経っていたものの、まだ大手企業によるアプリを用いた金融情報提供サービスというのはあまりなかったように思います。同サービスは非常にシンプルな機能ではあるのですが、2016年の今振り返ると、さきがけだったのかと感じています。
C-less(シーレス)
スマートフォンを利用した予約→決済サービスを開発・運用しています。
クレジットカード情報を事前登録し、スマートフォンと紐付けておくことで、手軽な決済を実現しています。FinTechの中でも最フロント側の決済サービスになります。
スマートフォン向けアプリバンキング
金融機関の顧客に対してリアルタイム情報配信プラットフォームをpopinfoをベースとして開発・運用し、サービス提供を行なっています。
サービスローンチ以後、西日本シティ銀行を皮切りに、静岡銀行、横浜銀行、北陸銀行(以上、プレスリリース分のみ)などに利用事業者を拡大しています。横浜銀行は2016年12月にもIBMとともにオムニチャネル・マーケティングの開始しています。
ブロックチェーンのPoC
ブロックチェーンテクノロジー企業と提携したこともあり、ブロックチェーンの技術検証を実施しました。
かなり限られたリソースではありましたが、この会社に入って初めてR&Dっぽいことができた事例でした。同時期にもJPX(日本取引所グループ(東証親会社))からもペーパー(金融市場インフラに対する分散型台帳技術の適用可能性について)の発表(PDF方式; JPXワーキング・ペーパー Vol.15; リンク元)があったりして、また、ブロックチェーンの活用ドメインについても考えるよい機会になりました。一方でOSSベースの動きとなっているThe Hyperledger projectへ
ブロックチェーン技術を利用した電子通貨
ブロックチェーン技術を活用した電子地域通貨の商用化への取り組みを開始しました。
地方創生には馴染みがなかったのですが、私自身のゆかりのある土地での実証実験、商用化ということもあり、早くも楽しみに進めています。
マーケティングにおけるFinTech動向
株式会社アイリッジではマーケティングブログを発信しており、その中においてもFinTech関連記事をいくつか記載しておりますので、参考にしてみてください。
その他の事案
私自身では関わっていませんが、アイリッジでの関連事例を列挙しておきます。
- 業界初、バス予約・支払い・乗車がスマホアプリで完結 アイリッジとイーコンテクスト アプリ決済「BUS PAY」提供開始
- 新生銀行のAIを活用したサイト常駐コンシェルジュサービスの導入を支援
- アイリッジが新生銀行グループのカードローンアプリ 「新生銀行L」「新生フィナンシャル」を開発し、1/22から提供を開始
- 三菱東京UFJ銀行主催「Fintech Challenge 2015」のキックオフイベント
今後の展望
株式会社アイリッジは、創業直後から現在に至るまで、C2Cサービス事業会社→B向けガラケー情報配信支援サービス事業者→B向けスマホプッシュ通知支援サービス事業者→B向けO2Oソリューションサービス事業者と変化してきていますが、今後はB向けFinTechサービス事業者としてシフトしていくように思われます(個人の感想です)。今後FinTechソリューションを導入したい企業は急増すると考えられ、社会的ニーズの高いドメインになるのではないかと思っています。
一方で冒頭に触れた通り、決済、インフラ、分析と多岐に渡る領域の中でどこにフォーカスするのがよいかはセンスが問われると同時に、将来の運命を決定するのではないかと思います(個人的感想です)。どれがいいかは事業者の得意領域やパートナーシップなどの外的要因にも影響するので、一概にこれがいいと断言することはできないと思います。
結局FinTechには何が必要か
対象がFinancialであっても、必要な技術というのは、他の対象でも必要な要素技術であり、多くのウェブアプリケーション開発技術である情報処理技術がそのまま利用できることが多いように思います。一方でfinancialがいわゆる「ビッグデータ」を扱うことが多いので、スケーラブルなアーキテクチャの理解と実践が必要です。また、人命を取り扱うまたは人命に直接的影響を与えることはマレですが、金銭やそれに類似するものを扱うため、確実で安定性の高いシステムが求められます。
実際のFinTech(!)業務を通じて私が必要だと感じている要素技術やメソドロジーは以下のものです。結構な思いつきの箇条書きなので、漏れもありそうですが。
- Test engineering
- Reliability engineering
- Scalable architecture
- Parallel and distributed computing (data processing pipeline)
- DevOps: continuous integration and delivery (CI/CD)
- NoOps: Serverless architecture
(宣伝) FinTechに関わるエンジニア募集
FinTechは人々の生活を大きく変化させる潮流かもしれません。し、そうではないかもしれません。が、FinTechについて真剣に考え、真正面から取り組みたい人がいらっしゃるかもしれませんので、書いておきます。
株式会社アイリッジでは同社コーポレートサイト採用情報にもある通り、Webエンジニアを募集しています。FinTechそのものやFinTechで必要な要素技術を用いたエンジニアリングをやりたい方がいらっしゃいましたら、当社採用サイト、当社Wantedly、社員SNSアカウント、オフラインを通じてお気軽にご連絡ください。