π(1998)
タイトルは3.14から続いていくあの数字のこと。株価予測のプログラム作りに没頭する青年が、数字の魔力に取り憑かれ、狂気の世界に足を踏み入れていく、といった内容です。エーメンブレイクを使ったテーマ音楽が興奮を誘います。内容は相当イカれてます。まず、トレーラーを見て、合わないと思ったら視聴はやめておくのが無難です。プログラムコードに美を見出すような人間の頭の中を覗いてみたい、と思うような人にはオススメです。
こういうものを面白がって見れる人と、ただただ嫌悪感しか感じない、というような人に人間は二分されるような気がします。私はもちろん前者です。
テレビドラマの歴史に名を刻んだ「ブレイキングバッド」(2008-2013)のヘクター・サラマンカ役でキレた演技を見せていたマーク・マーゴリスという役者さんが、主人公の碁友だちの役で出てますね。私あの役者さん好きなんですよ。映画をたくさん観ているとこういうことがあるから楽しいですよね。昔の友達に人混みの中で偶然再会した時のような。
*公開当時、渋谷のあちこちの路上にπのペインティングが出現する騒ぎがあって、けっこう話題になりました。もう覚えている人いないかな。
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995)
アニメです。これを観ていない人はあまりいないと思いますが、万が一そんな人がいたら可哀想、と思ったので紹介します。(最近「スターウォーズ」を観たことがない、という可哀想な人に会って驚いたので)。
海外での人気がすごいです。日本の精神性と先端のテクノロジーの融合に彼らが感動したのはよく理解できます。「スゲえなあ日本人って」かつてそんな時代があったんですよ。
七人の侍(1954)
1954年といえば、第二次世界大戦で日本がボコボコに負けてからたった9年後のことです。ストーリーは、汗水垂らして作った農作物を、役所に税金で取られた上に、盗賊たちに略奪されて苦しんでいる農民が、生きるか死ぬかをかけて、サムライを雇って立ち向かうというもの。愛、勇気、善意、友情、ユーモア。よくできたシナリオはハリウッドでもリメイクされました。優れたリーダーの元に気概を持ったプロたちが集まれば、数で上回る悪党を相手にしてもひけを取ることはない。その物語そのままに、黒澤明という天才の元に集まった、俳優、スタッフたちが作り上げたこの作品は、世界中の人々に愛されることになりました。
*古い映画ですので、今では禁止されている差別用語が遠慮なく出てきます。ご了承の上、鑑賞してください。
チャッピー(2015)
兵器を作っている企業のエンジニアが作り出した知能を持ったロボットの話。創造主から命を吹き込まれたAIが世界について学んでいく過程がとても面白く惹きつけられます。ロボットは街のワルどもの手に渡ってしまうんですが、子供のように何でも吸収してしまうこのロボットがワルに染まっていくというところが、すっごい面白い。やがて愛、怒り、嘆きといった感情が彼の心に宿る、それがストーリーとリンクしていく様はまさに白眉。
監督は南アフリカのニール・ブロムカンプという人で「第9地区」(2009)で注目を集めました。彼の起用する役者は地元の南アフリカの人たちが多く、みんな英語がナマっている、アレがいいんですよね。この作品の後、ハリウッドでの企画がコケたりして、大きな作品から遠ざかっているようで少し心配です。
ブレードランナー(1982)
人造人間は愛を理解するのか? という映画。少し前にこの映画をネタに記事を書きました。
笑ってもらえるかな、と思って書いたんですけどね。意外とそういう反応は少なかったです。
プログラマーは技術だけでなく、知性を身につけるべきだと私は思っています。知性を身につけるには、よい映画をたくさん観て、よい本をたくさん読んで、よい音楽をたくさん聴くこと。
スティーブ・ジョブズはiPodのことを”Device for heart”と呼びました。ここで私が知性と呼んでいるものは、そのハートのことです。
この記事が、これからみなさんが面白いものを見つけていくきっかけになってくれればうれしいです。