こんにちは、tmrtjと申します。
私は現在株式会社音圧爆上げくんという会社に所属しており、プロKagglerとして活動しています。
私は現在プロKagglerとして、業務の一環で、現在Kaggleで行われているコンペの一つであるJPX Tokyo Stock Exchange Predictionに参加しています。
また、今回の記事は、Kaggle上にNotebookとして同じ内容の記事を英語で投稿しています。
リンクはこちらです。
はじめに
JPX Tokyo Stock Exchange Prediction は株式投資のコンペです。
1営業日ごとに買い持ちする銘柄を200個選びランク付けし、また売り持ちする銘柄も同様に200個選びランク付けし、そのランクに応じた重みを仮想のポートフォリオとし、パフォーマンスを競います。
これは、実際の資産運用ビジネスにおける、株式のロングショート戦略に相当します。
そこで、今回はこのロングショート戦略について論文などをサーベイするなかで、興味深い論文を見つけたのでシェアします。
その論文は、Evaporating Liquidityという論文です。
この論文は、平均回帰戦略について解説したものです。
論文では、ロング・ショートの株式ポートフォリオで平均回帰戦略をシミュレーションしてそのパフォーマンスについて分析しています。
平均回帰戦略とはその言葉どおり、株価が元に戻ることを期待する戦略です。
つまり、直近で下がった銘柄を買い、上がった銘柄を売るというものです。
平均回帰戦略は、クオンツの株式のロングショート戦略で多く使われているため、この論文は、今回のコンペティティションに取り組むにあたっても参考になると思います。
今回の記事では、この論文のポイントに絞って紹介します。
もし、より詳しく知りたい方はリンク先から読んでみてください。
論文のポイント
・短期の平均回帰戦略は流動性供給の一形態とみなせる。
・そのため、短期の平均回帰戦略のリターンは流動性供給に対するプレミアムである。
・ボラティリティと流動性には負の相関がある。
・短期の平均回帰戦略は相対的に低いボラティリティで非常に高いリターンを得る。
・平均回帰戦略は、平時には良好なパフォーマンスを示す。
・暴落時には酷いパフォーマンスを示す。
コンペティティションに対する示唆
JPX Tokyo Stock Exchange Predictionは、1日ごとに、株式のロングショート戦略でポートフォリオを組み、シャープレシオの最大化を目指すコンペです。
論文でも指摘されているように、平均回帰の戦略は平時の相場では良好なパフォーマンスを示します。
そのため、シャープレシオを最大化するような戦略を一つ選ぶならば、平均回帰戦略になると思われます。
しかし、平均回帰戦略は、相場全体が暴落し、ボラティリティが急上昇するときにはパフォーマンスが悪化します。
なぜなら、平均回帰戦略は流動性供給の一形態であり、ボラティリティが急上昇する際には流動性が枯渇し、リスクが高まるからです。
以上を踏まえると、より良いシャープレシオを達成するためには、通常の相場と、株式市場全体がクラッシュしているときとでは、銘柄の選び方を変えるというのがアイデアとして浮かびます。
今回の記事がコンペティションに取り組むにあたり、何かの参考になれば幸いです。
お知らせ
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