はじめに
私は研修講師として10年以上、新人エンジニア研修を担当し、さらにスクラムマスターやPdMOとしてアジャイル開発の現場に携わってきました。
その中で常に課題となるのが、**「新人をどうやってアジャイルチームにスムーズに組み込むか」**です。
アジャイルは「チーム全体で成果を出す」ことが前提ですが、新人は経験不足から疎外感を持ったり、逆にタスクを抱え込みすぎて失敗するケースもあります。
そこで今回は、私が現場で意識している 3つのポイント を紹介します。
1. 小さな成功体験を早く積ませる
新人に最初から大きなタスクを任せるのは危険です。
「どこから手をつければいいかわからない」→「遅れる」→「自信を失う」という悪循環に陥りがちです。
アジャイル開発の基本は 「小さく作り、小さく検証する」 サイクル。
新人にも同じ考え方を適用し、小さくても達成感を得られるタスクを与えます。
💡 例:
• 環境構築スクリプトの修正
• 単純なバグ修正
• 単体テストの追加
→ 「チームに貢献できた」感覚を早期に持たせることが重要です。
2. ペア作業・モブプロを活用する
新人を孤立させないこと。
アジャイルチームでは知識の共有が欠かせないため、ペアプログラミングやモブプログラミングを積極的に取り入れます。
ポイント:
• 答えを直接教えるのではなく、考え方を示す
• レビューの場を「チェック」ではなく「学習機会」として活用する
• コード規約や設計思想を口頭で説明する
こうすることで、新人は現場の思考プロセスを吸収しやすくなり、成長速度が上がります。
3. フィードバックを早く・頻繁に返す
新人は常に「自分のやり方は正しいのか?」と不安を抱えています。
この不安を放置すると、モチベーションが低下します。
そのため、フィードバックのサイクルを短く保つことが大切です。
💡 実践していること:
• 毎日短時間でも進捗を確認(雑談レベルでもOK)
• コードレビューは可能な限り即日対応
• スプリントレビューで新人の成果を必ず紹介する
→ **「あなたの成果がチームに役立っている」**と伝えることが、定着と成長の大きなモチベーションになります。
まとめ
アジャイル開発に新人を組み込む際には、以下の3点を意識しています。
1. 小さな成功体験を早く積ませる
2. ペア作業・モブプロで孤立を防ぐ
3. フィードバックを早く・頻繁に返す
これらを徹底することで、新人は安心して学びつつ、チームも持続的に成長できます。
教育とアジャイルは切り離せないテーマだと思っています。
この記事が、これから新人を迎えるチームの参考になれば幸いです。