こんにちは、食べログシステム本部長の京和です。
食べログアドベントカレンダー2021の4日目の記事です。諸事情あって、最終日の公開となりました & 当初の予定とは違う内容でお送りします
さて、この記事では組織を動かしていくための心得ということで、組織で新しい取り組みや変化を促していく際に、私が心がけていることを何点かご紹介したいと思います。
1. 最初は自分が動く
新しいことを始める場合や既存の仕組みを変える場合、言い出しっぺである自分自身がまず動くことが大事だと思っています。まだ実現されていないものは、どんなに分かりやすく説明されたとしても、理屈の上で理解はできても腹落ちして実践するのは難しいです。飛行機の理論を説明したとしても、飛行機を見たことがない人に飛行機は作れません。なので、まずは自分自身がリーダーシップを発揮して、実現したい状態を自ら作っていくことが重要です。
「技術部門にOKRを導入したら3ヶ月で部の雰囲気がめちゃくちゃ良くなった話」で紹介している組織にOKRを導入した際も、まずは私自身が先頭に立って、OKRの運用や改善を行っていきました。そうしてある程度形ができてから徐々に権限委譲をしていき、最終的には私がほとんど見ることなく、チームが自律的に運用できるところまで権限委譲できるようになっています。
2. 小さく始めて成功事例を作る
巻き込む規模・ステークホルダが多くなるほど、変えるにあたって考慮すべきことや必要な調整ごとは指数関数的に増えていきます。また、失敗した場合のリスクも同様に大きくなっていきます。そのため、新しい事にチャレンジする場合は、小さく始めてそこでまず成功事例を作ることが重要です。ウェブサービスやアプリでも、カナリアリリースと言う一部のユーザーにだけ新機能を適用する手法がありますね。
実際にやってみることで、初めて得られる気づきや学びも多くあります。そこで改善サイクルを回してブラッシュアップすることもできますし、成功した実績があれば、周囲の説得・安心材料にもなります。
一見すると時間がかかるように見えますが、小さく早く進めるこのやり方の方が、実体験の上でも早く進むことが多かったですし、周囲の共感を得られていました。
3. 周りを変えようとするのではなく、自分たちから変わる
うまくいかないことがある場合、人間の感情として、責任や原因を相手に求めがちです。ただ、コミュニケーションは鏡と言われるように、そうした時は相手も同様にこちらの責任だと思っているものです。そうした場合、相手への変化を期待しても、変化が起こることは難しいので、いわゆるデッドロックのような状態になってしまいます。
相手に変わってもらいたい場合、一番良いのは自分自身が変わることです。「返報性の原理」という法則の中に「好意の返報性」というものがあります。これは、相手から好意を受けると自分も好意を返したくなると感じる心理のことです。まずは相手がやってほしいことをこちらがする。そうして関係性を構築していくことで、相手もこちらがやりたいことを受け入れてくれるようになります。
これは個人においても組織においても同様で、自分たちの組織の外に影響範囲を広げていきたい場合は、まずは自分たちが変わり、そこで実績や信頼を作っていくことが重要です。遠回りに見えるかもしれませんが、相手を変えるという自分ではコントロールできない事象よりも、自分の変化というコントローラブルな事に取り組むほうが精神的に健全ですし、結果的に早く変えていけると言うのが、これまでの仕事を通じて私自身が強く実感していることです。
4. 忙しくても返事はすぐに返す
信頼を得るためにはマメさが必要です。リモートワークがメインの環境下では、席に来て「ちょっといいですか?」と言う気軽な相談ができません。私はチャットで来る連絡は対面で声をかけられたのと同じくらいの感覚だと捉えていて、どんなに忙しくてもなるべく即レスを心がけています(見逃してしまうことはありますが…)。
また、自分で忙しい忙しいと言っていると、声をかけるハードルが上がってしまうので、「忙しい中すいません」と言われたら「全然余裕です」などと返すように心がけています。また、「スケジュールが空いてればいつ時間取っても大丈夫ですよ」というようにして、相談しやすい雰囲気作りを心がけています。
おわりに
以上、簡単ではありますが4点ご紹介しました。
心得の根底にあるのは信頼関係をつくることの重要性です。「誰が言うかより何を言うかが大事」とよく言われますが、自身が聞き手の視点としての考えであればとても良い心得だと思います。ですが、話し手としてこの考えを持ってしまうと、聞き手の感情面の配慮ができなかったり、正論を振りかざす論破マンになってしまう危険性があるので、私は話し手の立場で行動する際は、「誰が言うかも大事」と心がけています。
大組織の運営には信頼が欠かせないからだ。信頼がなければ、コミュニケーションも成り立たない。なぜなら、人間が触れ合う時に必要なコミュニケーションの量は、信頼の量に反比例するからだ。
「Who You Are 君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる」 より引用
上記の**「必要なコミュニケーションの量は、信頼の量に反比例する」**という言葉はコミュニケーションの本質を端的に突いた至言だと思っていて、私はこの言葉をいつも念頭においています。
それでは、本記事が組織を動かしていきたい人のとっての参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。