最近みかけた下記の記事が興味深かったので、一部の項目について別視点で記事を書いてみます。
この記事の内容をエンジニアに対しての1つのメッセージやアドバイスとして書かれているものと思います。なので、ここでの別視点とは特にそのエンジニアの周囲の人々に対してということになります。
多角的視点の提供をすることで新たな改善点も見え柔軟な対応ができ、双方でよりよい成果につながるのではと思いました。
サマリーとしては「そのエンジニア自身や、おかれている現在の環境(現環境)」に目を向けてみる、です。というのは、外からスレートに見える姿が本当の姿であるかというと、そうではない事もあるだろうからです。
更に、はじめから何事も完璧にできる事はなくそれぞれが様々な事を学習し、その学習された経験がその後の意思決定や言動に影響を及ぼしているためです。また、おかれている現環境との相互作用も影響してきます。
「1. 4. 5. 9.」の別視点:受け止め側の姿勢と行動
「1. 納期に間に合わない時、自分から報告してこない」
「4. No と言えない」
「5. 仕様でわからないところを適度に質問できない」
確かにきちんと報告をしていただきたい、わからないなら質問していただきたい、などと思う事あるでしょう。しかし、そんな時「(したくても)自ら報告や質問・提案ができない」ということもあるかもしれません。これらの行動を阻害している要因はないか?と考えてみます。
過去に、報告・質問・提案をしたことにより、その相手(先輩や上司など)から辛い刺激を受けた場合、次回からそのような行動を控えてしまう、といった事が考えられます。質問・提案についても同様です。(参考:行動分析学における「嫌子」の出現)
もし、報告やわからない事の質問などをしてもらいたい、といった場合には、される側はその「受け止め方」についても一度、振り返り(あるいは観察)をするとよいでしょう。
ここで「受け止め方」のポイントを1つお伝えするなら、受ける側は、まず”報告や質問・提案”などをしてくれたその行為そのものについて「感謝」を伝える事です。
「9. 反論 = ケンカだと思っている人」
こちらはミーティングなどの場において、「ケンカだとおもって反論している」あるいは「反論そのものができない」という状況が浮かびます。
なぜそうしているか?やはりこれも過去の経験および現環境が作用している可能性はあります。
逆の意見を放った際に、それが受け入れられなかったり辛くあたられたり、つめられたり・・・そういうことを自ら経験したり感じたり、他人のことでも見ていたりすることで「反論するときはケンカ腰で!」や「反論できない(別のの意見をもっていても言えない)」であったり、という認識となってしまっている可能性があります。
反論を「建設的な別の意見と捉え、議論し改善活動や新たなアイディアの創出につなげられる」とし、率直に意見をとりかわしたいのであれば、まずそのような認識が持たれるように関係者で共有し、そういった意見を発言しやすい環境を作る努力をし、やはり受け止め方を振り返る事も大事かと思います。
ここで、私が小学校の頃の先生の「言葉」を思い出したのでご紹介します。その先生は、
「 教室は"間違える"ところである 」
と教えてくれました。そして、その先生は手をあげた生徒をさしたあとに責めたりとがめたりするようなことはしませんでした。思い返せば「感謝」「応援」に近い姿勢で生徒と向き合っていた印象が残っています。
私はこれにより、いわゆる**”手をあげて発言する”**ことに躊躇しなくなりました。それまでは、
間違っていたらどうしよう
間違いをとがめられたらどうしよう
など、ありがちな感情を抱きそういった思いが浮かびよほど完璧に正解を持っていないと発言をできないことがありました。しかし先生のこの言葉およびその後の先生の態度や姿勢により意見を率直に述べられるようになりました。
このエピソードも1つのヒントになったら幸いです。
「2. 3. 8.」の別視点: やり方を知らない
「2. タスク分解しないで、仕事をし始める」
「3. 進捗の見える化をしない」
「8. 仕組み化して効率化を図らない」
これらの手法は様々な事に有用な方法です。しかしながら、その具体的なやり方そのものを知らない且つ経験していない・慣れていないがゆえに行えていない、ということもあるかもしれません。
人に何かの行動をしてもらいたい場合に、まずそれを知っていないと行動できません。そして、知識を得た上で経験しパターン(汎化)のようなものを自身で確立できのちに、自発的に行動できるようになっていきます。
日本海軍、名将・山本五十六さんの非常に有名な言葉が残されています。
やってみせ、
言って聞かせて、
させてみせ、
ほめてやらねば
人は動かじ
まずは相手にその行ってもらいたい行動のやり方を知っているか確認し、知らないのであれば、自らやってみせた上で教え、そして経験してもらいましょう。
その結果にダメ出しのみをするのではなく、うまくできたところはきちんと褒め、至らなかった点に対して客観的なフィードバックをし、何が足りなかったのかを自ら気づいてもらうように周りはサポートしていくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「できないエンジニア」へ何か助けになる事はないか?という点において、そのエンジニアの周囲の人々が何かできないか?の視点を加えてみました。
エンジニアが社会人として日々過ごしていく時に、改善することを自分自身だけ行うではどうにも変われない事もあります。そんな時に周囲の人は「そのエンジニア自身や、おかれている現在の環境(現環境)」にフォーカスしてみましょう。
そのエンジニア自身の事については、見えているところと見えていないところは100%わかりません。いわゆる「裏腹」はわかりずらいものです。できるだけ相手を理解できるように、関係構築を作っていき、現環境については、周囲の人がそれぞれ内省したり視野を広げて観察することからはじめ、環境を考えていくという事が必要なのかもしれない・・・と気づくかもしれません。