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【超ざっくり】ITエンジニア向け、開発で使われる契約種別について

Last updated at Posted at 2024-04-03

■ はじめに

説明

請負契約・準委任契約(履行割合型 / 成果完成型)について解説します。
最近外部のエンジニアさんと準委任契約を締結するにあたって諸々進めてたんですが、社内の人間も外部のエンジニアさんも、あまり分からない状態だったので少し説明しました。
契約周りは結構大事な事なので、ついでにまとめてみました。

【前提】注意点

私は弁護士ではないのと、今後民法改正される可能性もあるため、本記事で読者様が何らかの不利益が発生した場合でも一切の責任はとれません。
実際に外部のエンジニアさんと契約する or 自分がどこかの会社と契約する時の参考程度にしていただきたいです。
ネットに雛形はゴロゴロあるため、契約書の書き方や雛形などはありません。
ただ、実際に契約書を作成する時などリーガルチェックやLegalForceなど使って不備がないか確認をするのがおすすめです。(顧問弁護士が入れば作成依頼でも良いかと)

■ 説明

請負契約

請負者(依頼を受けた人)が、成果物を完成させて依頼者に納品させる事を約束する契約方法です。
要は、成果物に対して報酬が支払われます。
仕事を完成できなかった場合は、請負者は債務不履行責任を負う事もあります。
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  • 報酬の支払時期

民法633条の通り、納品と同時に支払い(但し、事前に契約などに ”◯◯日以内に支払い” と書かれていればそれでも可能だが、下請代金支払遅延等防止法で60日以内に支払いが必要という法律がある)

  • 業務が完成しなかった場合の報酬請求

契約不履行となり、発注者が受注者に対して損害賠償請求をする事がある。
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(例)
「依頼者」◯◯万円でアプリを◯月◯日までに作って下さい!
「請負者」承知いたしました。
「請負者」開発しました。
「依頼者」ありがとうございます!お約束の◯◯万です!

準委任契約

前提として準委任契約は2つの型があります。
大体の方が想像している履行割合型と比較的新しい成果完成型の2つです。(成果完成型は 2020年4月1日に施行された改正民法によって創設されました)
又、準委任契約を委任契約とたまに呼ぶ方がいますが全くの別物です。
民法656条の通り、委任契約は上記でもさらっと書いたように土業の方、法律行為を遂行することに対して報酬が支払われる契約です。
我々エンジニアは働く上で法律関係ないので「準委任契約」になります。
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次に民法644条の通り準委任契約には善管注意義務というものがあります。
要は、人として社会的な良識のある行動をして業務を遂行するりあたり注意しながら責任者の指示を従い仕事をして下さい。という事です。
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作業報告義務というのもあります。そのままの意味になります。
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履行割合型

結果に関わらず、工数(時間)に応じて報酬を支払う契約方法です。
要は、労働に対して報酬が支払われます。

  • 報酬の支払時期

民法648条2項の通り、委任事務を履行した後。(訳:納品とは関係なく、作業をしてくれたら規定の日に規定の方法で払うよ)

  • 業務が完成しなかった場合の報酬請求

民法648条3項の通り、既履行の割合に応じた報酬。(訳:現時点で作業した分だけ支払うよ)
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(例)
弁護士へ依頼する場合は準委任契約ではなく委任契約ですが、あくまでここはイメージの話です。
「依頼者」裁判をするので弁護して下さい。
「弁護士」お受けいたします。
「弁護士」負けちゃいました。
「依頼者」はい。裁判は負けてしまいましたが、あなたの時間を使ったので結果に関わらずお金はお支払いします。
「弁護士」ありがとうございます。

成果完成型

納品物が完成し依頼者に提出する事で報酬を請求できる契約のこと。(但し、完成義務はないため、無かったとしても債務不履行責任は問われない)
イメージは業務請負契約に近いです。

  • 報酬の支払時期

民法648条の2第1項の通り、納品時に報酬を支払う

  • 業務が完成しなかった場合の報酬請求

民法634条、648条の2第2項の通り、完成した部分の納品によって依頼者が何らかの利益を受ける場合は割合に応じた部分報酬の請求が可能。(訳:部分的な納品だったけど貴社はそれで儲けが出たんでしょう?ちょっと分けてもらって良い?)
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■ まとめ

ざっくりまとめると下記のような感じです。

請負契約 準委任契約(履行割合型) 準委任契約(成果完成型)
報酬を支払う対象(基準) 納品物に対して 労働した工数(時間)に対して 納品物に対して
報酬が発生するタイミング 納品物の提出後 働いたら 納品物の提出後
契約不適合責任の有無 有り(契約通りの成果物が納品されなかった場合には、発注者が受注者に対して、成果物に対する修正や足りない部分の納品、報酬の減額要求、損害賠償請求などを求めることが可能。納品から5年以内) 無し(但し、善管注意義務はある) 無し(但し、善管注意義務はある)
債務不履行責任 依頼されたものを完成 (納品) できなかったとき 善管注意義務に違反したとき 善管注意義務に違反したとき
任意解除権(民法第651条第1項) 発注者からのみ契約解除が可能(発注者の一方的な都合によって契約を解除する場合は、受注者に対して損害賠償の支払いをしなければならない) 依頼者でも委任者でも規定に基づき、双方がいつでも契約を解除できる 依頼者でも委任者でも規定に基づき、双方がいつでも契約を解除できる
報告義務 無し 有り 有り
指揮命令権の有無 無し 有り 有り
業務の完成義務 有り(契約期間内に成果物を納品できなかった場合には契約不履行となり、発注者が受注者に対して損害賠償請求を行うことも可能) 無し 義務はない
債務不履行責任の有無 有り 無し 無し
善管注意義務 無し 有り 有り
作業報告義務 無し 有り 有り
指揮命令権 無し 有り 有り

ちなみに、どの契約がエンジニアは多いのか?どういう契約が多いのか?という部分です。
例えば、用件定義や外部・内部設計などは準委任契約、その後の開発は請負契約。というケースや最初から最後まで準委任契約というケースもあります。
私は下記のような感じでやってます。(今年に入ってから副業などかなり減らしたので今は1つしかやってないです)

  • 個人的には、毎月決められた時間(工数)の稼働が出来て深夜以外の場合は、準委任契約
  • 時間(工数)は確保出来るが、深夜(22:00 ~ 5:00)に徹夜して作業時間を無理やり捻出している場合は、請負契約

当たり前かもしれませんが、深夜の時間帯だと普通の人は寝てますので、取引先からの指示が受けれない。(そりゃそう)
請負契約の場合は、指揮命令権がないので「◯◯時に稼働して下さい」とかそういった事が言われないからです。

逆に、金銭面で安定している方は、準委任契約です。
契約期間であれば契約書に記載している金額は最低限確保出来ますので、先を見越しやすいです。
あくまで「上記は私ならこうする」と言った感じですが、実際にどういった契約にするかは契約先(お取引企業様)と要相談して決めて下さい。

契約書に記載している内容は小難しい(甲とか乙とか)言葉で書いてますが、ちゃんと見てサインしなければいけません。
後から「知らなかったんです」は通りません。
契約書を見る時のポイントとか、注意点などはネットにたくさん転がってますので、必要な時はググって調べてり弁護士に聞いたりしましょう。
自分を守れるのは自分だけですよ!

Fin.

参考文献

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