はじめに
今年の大学入学共通テスト(共通テスト)では、受験教科に 情報Ⅰ が導入された。
この背景には、文部科学省が掲げるデジタル人材育成に向けた取組の中で、高等学校の新学習指導要領として「情報Ⅰ」が必履修科目となったことがある。
そうした背景により、情報に関わる資質・能力を評価・判定するために、共通テストの科目としても導入された。
大学入学共通テストへの『情報Ⅰ』の導入について - 文部科学省
今年の出題内容の評価
まず、独立法人大学入試センターの中間発表その2によると、
情報Ⅰの受験者平均点は約70点となっていることから、導入初回の試験としては若干易しめの内容であったように感じる。
次に、専門家による評価だと、「全体的に良問」と好評価らしい。
そして、自分自身でも解いてみたが、丁寧な誘導がなされていたり、日常生活にある”情報”について出題していたり、とっつきにくさはなかったように感じた。
なお、私が受験したときはまだ センター試験 という名称であり、情報チックな問題は数学Ⅱ・Bの選択問題として存在していた程度だった記憶がある・・・。
今回の情報Ⅰの問題を見て、「今の高校生はこんなことまで習うのか」と衝撃を受けたと同時に、
本格的なデジタルネイティブ世代来たな・・・
という印象を持った。
これまでのデジタルネイティブ世代とは、おおよそPCやスマートフォンの基本操作・SNSやアプリの操作ができるという印象であったと思う。
それが、情報の知識を基礎学力として持っている世代になったように感じる。
問題を見てみる
実際の出題内容はググるとすぐに出てくるため全容の提示は控えるが、東進予備校の情報Ⅰの全体概観によると、下記のような出題となった。
実際に問題を見てみると、いきなりデジタル署名、IPアドレス(IPv6アドレス)の知識について問われている・・・
高校生ってデジタル署名とか習うん?
というのが正直な印象だった。
また、プログラミングが出題されている第3問を見てみる。
第3問は
複数の種類の工芸品の製作という課題を、それぞれが製作に要する日数に応じて作業者に割り当てるためのアルゴリズムを理解し、これをプログラミング言語で記述する問題である。
ということである。
少し穴埋めをしたあと、まずは簡単なプログラムの穴埋め問題が出題される。
コードを書くようなエンジニアにとっては、苦労せず理解できる内容だと思う。
まずは簡単なプログラム(コード)を作成したのち、下記のように拡張した問題が出題される。
こちらも、配列の添字を1から始めるという説明以外は苦労なく理解できると思う。
ほぼ基本情報技術者試験やん
プログラミングは全大問のうちの一つに過ぎないが、大学を受験する高校生にとっては必修の内容であるし、これらの理解力などが大学入試に用いられるというのは情報社会だなぁという印象を持つ。
さいごに
情報Ⅰ の必履修化により、本格的なデジタルネイティブ世代が誕生していると感じた。
数年後社会に出てくる人たちは、これらの知識が基礎知識として入っている。
エンジニアのみならず、社会人の人は一度情報Ⅰの問題を見て・解いてみてほしい。
今の高校生たちはこのぐらいは学んでますよ、というのを肌で感じてみてほしい。
そして、数年後社会に出た今の子たちから
え、そんなことも知らないんですか・・・?
と言われないようにしてほしいし、しないといけないと思う。