初めまして、博報堂テクノロジーズの近藤です。
弊社でCCoEチームに所属し、博報堂DYグループ内のクラウド利活用を支援しています。
きっかけ
私は弊社に入社して初めてCCoEという職務を担っており、その中でふと、
CCoEってコストセンターなのか?
と感じました。
弊社へは中途入社で、前職はSIerでした。私は部署の性質としてコストセンターかどうかを認識し、業務を担っていたため、CCoEってどうなのだろう?と感じました。
あくまで個人的な考察ですが、記載します。
結論
CCoEはコストセンターかどうかの軸で捉えるものではなく、一つの有益な資産として捉えるべきものだと考えます。
以降はこの結論に至った経緯を記載します。
コストセンターとは
Salesforce様のサイトから引用すると・・・
コストセンターとは、「業務にかかったコストだけが集計される部門」です。一般には経理や総務、コールセンターなどが代表例で、製造業では生産工場や研究機関もコストセンターとみなされます。いずれも収益を生み出すことはありませんが、消費するコストとその結果として生み出す製品やサービスの品質に責任を持つ部門ととらえることができます。これらの部門は、単体では外部からの収益を上げるしくみがありません。人件費をはじめ、その部門にかかる費用はすべてコストになります。そのため、全社的な収益を高めるために、コストセンターの業務の圧縮や効率化を推進するとともに作業負荷を軽くし、時間とコスト、労力を削減することが求められます。
つまりコストセンターは、
業務の結果として直接的な利益を生まず、製品やサービスの品質に責任を持つ部門で、その効率化とコスト削減が重視される
部署・部門のことを指します。
CCoEの性質
CCoEは、クラウドの利活用を促す目的の組織横断型チームだと考えており、短期かつ有期性があるものではなく、中長期的な視点でその会社に貢献していくものと考えています。
弊社のCCoEが、どのような指針で活動しているかは以下をご参照ください。
話が逸れますが、中長期の活動の結果としてCCoEチーム自体を解散する(=有期性がある)
という思想もあると思います。ただ、その場合でも予め1年限定!のように
短期で解散することが定まっているものではないと考えています。
CCoEは間接的に各部署のプロジェクト等へ貢献する組織だと考えているため、例えばCCoEチームとして1年間の損益が+数M円です!のような数値で示すことは難しいと感じます。
このことから、CCoEはコストセンターのように思えます。
そもそもコストセンターが何か悪いのか?
コストセンターと捉える場合、目先のコスト感に目がいってしまうため、常にコスト削減を軸に体制縮小・省エネ化を経営層(管理職)から迫られると想定します。
前職のコストセンターの部署では、いかに少ない稼働時間でプロジェクトを円滑にこなすかが求められていたと感じます。
ここでは中長期的な視点で訴求したとしても、その中長期の時期までに掛かるコストはどの程度か、本当に効果が出るか、という観点で見られてしまうため、中長期のビジョンによる訴求力は弱いと感じます。
また、短期的な視点での訴求は効果があると考えますが、CCoEの性質上、数値での提示は難しいため、定性的なメリットのみで戦うことは難しいと感じます。
つまり、CCoEをコストセンターとして捉えると、元々中長期の目的達成のために組成しましたが、短期での結果を求められることとなり、矛盾する形となります。
この矛盾を解決するために、発想を変える必要があると感じました。
発想の転換
本記事と全く関係ないですが、たまたま今後の”キャリア”について考えており、「キャリアづくりの教科書」という本を読んでいました。
この本の中ではPL型キャリアかBS型キャリアかという記述があり、これはCCoEの考え方にも応用できるのでは?と気づきました。
PL型かBS型か
そもそもコストセンターかどうかで考えていることは、利益ベース、つまり、PL型の思考になっていると感じます。
PLとは会計関連の用語で損益計算書を指し、損益をベースにしたフロー型の考え方です。
この場合、目先の利益を上げることが正しい事であり、PL型の思考を取る場合、短期間で売り上げ・利益を立てれるかがポイントになります。
例えば「とあるプロジェクトで損益がプラス¥数M円だった」は、PL型の思考です。
一方、BS型の思考があり、これは資産をベースにしたストック型の考え方です。
この場合、将来的に有益になるようなことが正しい事であり、BS型の思考を取る場合、中長期的に豊かになれるかがポイントとなります。
例えば「とあるプロジェクトでチームメンバーがクラウドに関する知見を獲得した」は、BS型の思考です。
PL型かBS型かの思想に合わせると
CCoEはBS型として捉える方が適していると感じます。
BS型として捉えることで、短期での損得勘定から脱却でき、中長期での視点に向けることが出来ます。これはCCoEの考え方とも合致するため、矛盾が解消されると考えています。
結論(再掲+α)
CCoEはコストセンターかどうかの軸で捉えるものではなく、一つの有益な資産として捉えるべきものだと考えます。
なお、このような観点は、CCoEチームとしての具体的な目標設定、つまりKPI、KGIを設定する際にも活用できる視点だと考えています。このKPI、KGIの大元は経営目標から来るものだと考えており、CCoEの存在意義を経営層に理解いただくことは重要だと考えます。
余談
キャリア形成の話から着想を得ることが出来たため、全く関係ない事柄を応用できるものだなと感じており、点と点が線になった感覚です。
参考
Salesforce. 「コストセンターとは?売上に貢献する部署に転換させるポイント」.2023.05, https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/service/cost-center/, (参照 2024/1/11)
GOETHE. 「「PL思考とBS思考」ABCash児玉隆洋」.2021.01, https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20210107-money-5, (参照 2024/1/11)