こんにちは!博報堂テクノロジーズの近藤です。
前回、SRE Core体験レポートを執筆しましたが、その中で心理的安全性について学習する機会があり、あくまで個人の見解として一考察をまとめます。
背景
テレワークが当たり前の職場が増え対面のコミュニケーションが減り、かつ、新しい職場で早く上手く活躍するために心理的安全な状態が保たれていることは重要だと考えています。
ただ、心理的安全性は一見矛盾する側面があると感じ、そのことをまとめます。
心理的安全性の矛盾と一考察
心理的安全性とは組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことを指します[1]。
ただ、自分の考えや気持ちをストレートに発言できてしまうと、内容によっては他者を傷つけてしまうことがあります。これにより、その他者が自分の考えや気持ちを発言しづらくなることや、もしくは反発して攻撃的になる可能性があり、この連鎖により心理的安全な状態が崩壊する可能性があります。
つまり、心理的安全性を保つには他者を傷つけない発言をする必要があり、これにより自分の考えや気持ちを制限された状態になったとすると、心理的安全性は保たれない、という一見矛盾のようにみえます。
なので心理的安全性を持つためには何かしらの前提があると考えてみました。
道徳・教養の必要性
自身の考えを表現する際は、他者がどう思うかや置かれている立場を理解し発言することが大切だと考えています。また、自身が傷ついた発言を受けた場合でも同じで、なぜそのような発言に至ったかを考えることで、その意見を受け入れることが出来る可能性があります。
つまり、相手への共感(エンパシー)と敬意(リスペクト)が大事だと考えており、
攻撃→攻撃→・・・の負の連鎖を断つことが可能です。
これには道徳的な考えや教養が必要不可欠と考えています。ただ、道徳や教養は主観に基づくものであり人によって基準が異なります。なので、道徳・教養は大切ですが、矛盾を解決する万能な解ではないと考えています。
組織・チームの共通認識
組織やチームでの価値観・目標・期待値の共通認識を形成することは大切だと考えています。例えば”相手への共感を持った発言を心掛けること”を組織やチームのスローガンとして掲げ、メンバーへ浸透することで、水準を作ることが出来る可能性があります。
ただ、こういったスローガンを各メンバーが咀嚼し理解するには、その人が持つ道徳・教養が根底には必要だと感じています。
また、メンバーのバックグラウンド(母国などを含む)は様々であり、字面だけではとらえ方が異なる可能性もあるため、スローガンを元に率直にディスカッションしてみることが大事だと考えています。
このディスカッションでは、一旦心理的安全性は置いておき、思ったことを率直に会話するのも一案だと思います。破壊的なコミュニケーションを通してお互いを深く知ることができ、強固な関係を持つことができるとも感じます。(喧嘩するほど仲が良い、的な発想です)
なんにせよ、コミュニケーションを取ることがお互いを知るきっかけであり、これは心理的安全性の一歩目に繋がると考えています。
なお、心理的安全性は一旦置くといっても、相手への共感(エンパシー)と敬意(リスペクト)は持つべきだと考えています。
他人軸と自分軸
相手への共感と敬意の行き過ぎは、他人軸になる可能性があると思います。
他人軸とは「他者にどう思われたいか」など、自身では無く他者を基準に物事を判断する考え方の理解です。
あくまで「自分がどうしたいか」という視点、つまり自分軸を意識することで、納得し責任を持った行動をとることができ、かつ、そういった態度や発言は他者へもしっかり伝わると思います。(他人軸の場合、自身の行動を理解はできても、心のどこかでは納得が出来ないはずです。)
また、自分軸の行き過ぎは自分勝手へ繋がる可能性があると思います。自分勝手と自分軸の違いは、他者を強制するかどうかだと思っています。ここでは共感を意識することで、自身の行動を振り返ることができると思います。
自分軸での行動はやりがいに繋がり、やりがいを持つことで他者への共感・敬意の余裕が生まれ、その他者も共感・敬意に意識を向けることが出来る、という正の連鎖に繋がると考えています。
+α
個人的に大事だなと感じる根底的な観点としては、他者への興味・感心だと思っています。
他者への興味・関心を持つことで、自然とコミュニケーションが発生し理解が深まることで「どう思うかな?」など他者への尊重や共感の考えに至ると考えています。これは業務における興味・感心を含み、その人の人となりを知ることが大切だと思っています。
テレワーク中心の環境では、本当に何でもない会話(昨日のサッカー見た?など)が少ないなと感じていますが、本来はこういった会話からその人の興味関心事を知り、人となりを理解することが出来ると考えています。
前職では、このような割としょうもない話が私は大好きで、よく話していたなぁと、この記事を書きながら思い出しました。これからは心掛けていきたいと思います(笑)。
参考文献
[1]リクルートマネジメントソリューションズ.「心理的安全性とは」. https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000230/ (参照 2024-04-17).