改変Rコマンダーとは?
対馬栄輝のホームページで配布されている改変Rコマンダーの仕様を説明します.
ざっくり,統計解析のソフトウェアと思っていただければよいでしょう.
R,Rコマンダーとの違い
CRANで配布されているR(またはR言語)が基盤となっています.Rの精度については,ウィキペディアを参照してください.
RのさきにS言語というプログラミング言語が存在していましたが,いまではオープンソースかつフリーウェアのRが最も多く使われていると思います.RはS言語のほとんどを引き継いでいますが,使い方はほぼ同じです.
Rは基本的にプログラミング言語ですので,使い方を覚える=R言語を覚える必要があります.必死に取り掛かれば3カ月ぐらいで,基本操作はできるようになります.あとは,web上に様々なプログラム例が上がっていますので,それを参照して自分の思い通りの統計解析も可能となります.
パッケージの活用
Rには,パッケージというオプションの追加機能があり,それも無料で配布されています.パッケージには様々な解析を可能にするプログラムが用意されています.しかしながらパッケージを追加してもR言語の修得は免れません.
「プログラムは絶対嫌だけど,簡単に使えないのか?」という人が多いのも事実です.そのような人のために,プログラムを代わりに入力してくれるRコマンダーというパッケージが存在します.このRコマンダーをインストールして利用すれば,プログラミングの習得は不要となります.
Rコマンダーというソフトのウインドウが新たに立ち上がり,そのウインドウのメニューから統計手法を選んで,解析したいデータを指定すれば統計計算ができるのです.ということは,誰でも無料で利用できる統計ソフトが実現するわけです.
Rコマンダーの欠点
Rコマンダーを利用すれば,誰でも簡単にしかも無料で統計解析できるわけですが,医療の世界では様々な統計手法が活用されつつあります.R自体は,配布されているパッケージを付け加えていくと万能な統計解析を可能としているのですが,そのパッケージに見合った新たな統計手法はRコマンダーにプログラムされていません.結局,Rコマンダーにもプログラムされていない統計手法を利用したいときは,泣く泣くR言語を修得せざるをない事態が起こります.
万能なRを,Rコマンダーでも実現できないものか,という思いが沸いてきます.
改変Rコマンダーの開発
Rコマンダーの統計メニューだけでは不足があるので,医療の世界で利用できる新しい統計手法を追加し(パッケージを利用したり,プログラミングをしたりして),メニューから統計手法を簡単に選んで操作できるようにしたものが改変Rコマンダーです.改変Rコマンダーは年々バージョンアップを繰り返し,統計手法も増えつつあります.できるだけ医療の世界のニーズに併せた統計手法の追加を行っています.
もちろん,Rコマンダーを改良した別の統計ソフトも普及しています.基盤はRなので,基本的には信頼性,操作性などの性能は同一です.ただ,①どのような統計手法を追加しているか,②どのようなパッケージを使用しているか,③計算結果の情報量の違いはあります.そういった理由から,自分の解析に適したソフトを選択してもらえばよいと思います.
同じ統計手法を異なるパッケージで配布していることがあります(たとえばここを参照).一般化線形モデル一つをとっても,glmnetパッケージ,glmmMLパッケージなど,同じ統計手法なのに複数のパッケージが提供されており,それらのうちどれを利用するかによって,出力される情報量が異なります.簡単にいえば,検定結果のp値だけを出力するパッケージに対して,p値と95%信頼区間も出力してくれるパッケージの何れを使用するかによって,出力形式が異なります.情報量が多ければ多いほど便利なように思えますが,初学者や統計解析に慣れない方にとっては,混乱を招く原因となります.仮に同じパッケージを使用したとしても,情報量を選択できるので,結果の情報量は異なる場合もあります.
改変Rコマンダーの技術解説
改変Rコマンダーは,個人レベルのプログラムですので,「信用できるのか?」という疑問が沸くと思います.確かにプログラムのバグ等で万全とはいえませんが,それを疑うのであれば全てのプログラムに当てはまります(確率は異なるでしょうが).
従って,実際にどのようなパッケージを使用し,出力される情報がどのような意味を持つかといった技術解説が必要と考えています.以降,時間があるときに,少しずつ統計手法の解説を続けていければよいと思っています.