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数学の勉強法における経験則から来る諸注意(解析学徒の視点から)

Last updated at Posted at 2023-12-17

自分が大学・大学院で6年間数学(微分方程式やフーリエ級数などの微分積分や線形代数に続く先に)を学ぶ中で、数学で何度か死にかけたときの経験則からくる、数学を学習する際の注意点

今後、大学の範囲だけでなく高校や中学の内容の学び直しに通じるものもあるのではないかと思います。統計検定の学習等によろしければご活用ください。

①数学は教科書や参考書・専門書の定義が異なることがよくある学問らしい....なんなら誤植もざらにある(-_-;)

 本と本との間で使われている文字が異なることは多々あるため(※その場合、文章構造や対応関係を見て判断します)

個人的に一番注意すべきだと思うのは

実は、ベクトルなのに、太文字や異字体で書かれていない

場合です。(なお、ベクトルじゃないベクトルを習う以前のただの数字や関数 を数学界隈では強調する際にスカラーと呼びます。)文脈以外だと

直前の演算子(記号みたいなやつ)が何か?

などが判断材料となります。例えばですが、同じ $A$ でも

\nabla A なら A はスカラーですが、\nabla ・ A や \nabla × A なら A はベクトルです

②高校で数学ⅠとかAとかあったけど・・・(基本、範囲がグチャグチャに絡まっているので、先に「何を勉強したい」のか決めて、学習のフローを「逆算して」考えないと、人生が物理的に詰む可能性がある)(´д`)

 Python3 を現在学習している関係で私も最近統計の学習を数年ぶりに再開しましたが、例えば統計なら、高校だと数学Bと数学A(と数Ⅲと数C)にまたがっています。統計検定準1級あたりから「微分積分」「線形代数」「集合と位相」も必要になってきます。
 何をどのような順番で勉強すると効率がよいか知るには例えば、次の本がオススメです

③意外と後ろの付録(appendix)や索引が役に立つφ(..)メモメモ※論文にすら付録が付いている時がある

 芋づる式でよさげな参考資料を掘り下げられたりします。

④義務教育や一部数学徒に「これは数学としては厳密性にかける」と揶揄されるような内容も我々よわよわは馬鹿にしてはいけない。(´。`)

 例えば、統計を学習するのに以下の本をまず買われる方が多いと聞きましたが、個人的には結構これは難しめです(※これがダメというわけではないです)

 ただ少なくとも、これを読むためには、最低限でも中高までの数学をある程度きちんと理解している必要がある気がします。

 「~入門」と書いてあるような本にも難しさの強弱が存在します。 個人的には、実際にふらっと本屋に立ち寄ったときにパラパラめくってみて「なんかわかりやすそうだな」とか「(巻末にある索引に)見たことある単語がよく載っているな」とかぐらいでいいので見てみると、実際の学習時の認識の誤差が少なかったりします。

 どの分野でも基本は具体例や具体的な計算が載っているものがオススメです。

⑤数学書を書かれているような著名な先生方は往々にして、答えを全て教えてはくれない。なんならフェルマーみたいに答えを墓場まで独りで持って行く(゚Д゚)(・・「下」がないだと....)

 このような場合、違う本の例題として答えが載っていることが時たまある ので、別の本の同じ内容の部分を見ると学習効率が上がったり下がったり…(謎ワードが逆に増えることもあります。)

なお、流体力学界隈では有名な今井 功先生は「流体力学 (上)」だけ作り、(下)は作られないままお亡くなりになりました。

 個人的には同様の学習をしている人とノートを付き合わせて、互いにイメージが共有できたら概ね合っています

⑥全ての関数が微分したり、積分したりできるわけではない。また、積分ができるための条件の方が実は少し緩い(゚Д゚)(・・これ以上微分できないだと....)

1回は微分できるけど、2回目以降は微分できないみたいなパターンもあります。(※高校数学までや統計検定の計算問題ではこれらの制限がほぼ許容される関数を扱っていることが多いです。)

 グラフをかいたときに、基本とんがっているところでは、微分できません。

※詳しくは数Ⅲや「関数解析」という分野を見てもらった方が良いです。

⑦大概、謎の文字や記号がでてきたら、ギリシャ文字(=ローマ文字)かロシア語か演算子

※演算子というのは「+」「-」「×」「÷」みたいな「作業」をまとめた記号です。

ギリシャ文字一覧 https://manabitimes.jp/math/944#1

⑧完璧を目指すと自分の人生が物理的な意味で終わるので、無理はしないでおく\(^_^)/→(´。`)→\(^_^)/→・・・

 大概、数学科の人間でさえ「分からん。オワタ」⇒「ちょっと復活」⇒「分からん。オワタ」⇒「ちょっと復活」⇒の繰り返しです。精神的に余裕のあるときに勉強することをオススメします。自分が大学院で2年間お世話になった教授も友だちに一時期「どうしよう計算が合っているんだ??」という謎相談をするぐらいまで精神的に追い込まれたことが過去にあったらしいです。

〇個人的オススメ資料

①統計検定1級公式問題集 実務教育出版 
 ※過去問のページ https://www.toukei-kentei.jp/prepare/kakomon/
②青チャート(I、A、Ⅱ、B、Ⅲ、C) 数研出版
③理工系の微分積分学 吹田信之、新保経彦 共著 学術図書出版書
④線形代数入門 齋藤正彦 著 東京大学出版会
⑤定本 解析概論 高木貞治 著 岩波書店 
⑥数学シリーズ 数理統計学 改訂版 稲垣萱生 著 裳華房
⑦数学シリーズ 集合と位相 内田伏一 著 裳華房:(内容は濃いが)厚さは比較的薄いので精神衛生上良い
one point 推定と検定 鷲尾泰俊 著 共立出版:(内容は濃いが)厚さは比較的薄いので精神衛生上良い(ワンポイントシリーズは初学者に基本優しさがあり丁寧)
⑨電磁場とベクトル解析 深谷賢治 著 岩波書店
⑩基礎数学8〔新版〕複素解析 高橋礼司 著 東京大学出版会(留数計算という超面倒くさい積分の計算を学ぶのにかなり重宝します。数学書にしては、珍しいタイプのかなり丁寧な本です。)
⑪岩波 数学入門辞典 
青本和彦・上野健爾・加藤和也・神保道夫・砂田利一・高橋陽一郎・深谷賢治・俣野 博・室田一雄 共著(日本数学界の重鎮たちによる数学用語の辞書。大概何でも載ってるが、あくまでヒントしかくれない(-_-;))
マセマシリーズ:数学的に厳密性は欠ける部分はあるもののガイダンス的なものとして概要をつかむには良い。
⑬数学シリーズ 関数解析 増田久弥 著 裳華房 (内容は濃いが)厚さはダントツ薄いので精神衛生上良い

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