普段より、自分のプログラミング等に関する質問に答えて下さっている皆様ありがとうございます。m(_ _)m 統計検定の学習等に利用していただけますと幸いです。マークダウンが雑なのは、慣れるまでご容赦ください。もう少し時間をください。慣れたら見やすくします。
※2023.11.15日執筆時、この日初めて、大学・大学院時に散々苦しめられたTeXという数学徒専用のプログラミング経験が役に立つと知り愕然としています。(約10年前、私が学生当時はおそらくQiitaのようなものはなく、出力結果がエディターと同時に開けない状態でした。)
「条件付き確率」例題及び解答
さて、先日Xにて、ある問題をポストしました。以下の通りです。
「A、Bという2人の人物がいる。4枚の異なる柄のトランプから2枚をAが引き、色が揃ったらAの勝ち、揃わなかったらBの勝ちとする。有利なのはどちらか?」
結論から言いますと、
Aが勝つ確率は$\frac{1}{3}$、Bが勝つ確率は$\frac{2}{3}$ のため、「有利」という言葉の定義をここでは「勝負に勝ちやすい」こととすると、答えはB(が有利)となります。
なぜ、Bが有利なのか?(=なぜBが勝つ確率が高いのか?)
まず、 そもそも 「(Aが勝つ確率は)$\frac{1}{2}$ じゃないの???」 と思われた方は、
条件付き確率の意味もしくは 問題の捉え違い をしている可能性があります。
ここで多くの方が、どちらが有利がを考えるのに「どちらの方が勝ちやすいか?、つまりは勝率」 を考えたと思われるのですが、ここでの Aが勝つ条件は「色を揃える」 ことです。
よって、
1枚目が赤でも黒でも2枚目は残り3枚のうち1枚だけが同色になるため、
Aが勝つ確率は $\frac{1}{3}$ となります。そして、統計っぽく言うと、これは
「1枚目のカードの色が分かっているときに)2枚目のカードの色がそろう条件付き確率」 に当たります。(数式とか記号とか出てくるとどうなるかは後述します。)
問題を別の視点から考えてみる。仮に一気に2枚引く状況だとしても・・
「スペード(黒)、クラブ(黒)、ダイヤ(赤)、ハート(赤)」とすると、(数字は頭で整理しやすいように例えば全て1としましょう)
この中から (順番を考えずに) 一気に2枚取った場合、取り方は
①(スペード(黒),クラブ(黒))、
②(スペード(黒),ダイヤ(赤))、
③(スペード(黒),ハート(赤))、
④(クラブ(黒),ダイヤ(赤))、
⑤(クラブ(黒),ハート(赤))、
⑥(ダイヤ(赤),ハート(赤))、
の 「6」パターン となります。そのため、このうち「色が揃う」ものを数えると、
①、⑥の2パターンなので、このときも確かにAが勝つ確率は $\frac{1}{3}$ となります。
式で書くと、$\frac{{}_2 C_2+{}_2 C_2}{{}_4 C_2} = \frac{1+1}{6}=\frac{1}{3}$ です。
※分子は同じ色2枚に限定した状態から2枚引く×2のイメージ
ここで1つ注意が必要です。それは、たまたま数字が一致するだけで、
この1つ上のAが勝つ確率$\frac{1}{3}$は実は、一番最初の「1枚目のカードの色が分かっているときに)2枚目のカードの色がそろう条件付き確率」を考えているわけではないということです。
もし、仮に一番最初の問題
「A、Bという2人の人物がいる。4枚の異なる柄のトランプから2枚をAが引き、色が揃ったらAの勝ち、揃わなかったらBの勝ちとする。有利なのはどちらか?」を
条件付き確率および乗法の定理を使うことを「強調する」、かつ統計検定で出されるような形式で 「問題を読み替えると」 例えば、次のようになります。
「Aが4枚の異なる柄のトランプから順に1枚ずつ計2枚引く。このとき、色が揃う確率を求めよ。また「色が揃ったらAの勝ち、色が揃わなかったら俺の勝ち」という提案を友人のBがして出してきたときに、この提案はフェアであるか?」
上記のような問題の書き方であれば、まずAが勝つ確率を求めるのに
①黒で揃える場合
$\frac{2}{4}×\frac{1}{3} = \frac{1}{6}$ ←乗法の定理を使って計算している式(の1つ)
同じように、
②赤で揃える場合
$\frac{2}{4}×\frac{1}{3} = \frac{1}{6}$ ←乗法の定理を使って計算している式(の1つ)
だから、どちらのパターンも考えて結果、Aが勝つ確率は
$\frac{1}{6}+\frac{1}{6}=\frac{2}{6}=\frac{1}{3}$
で、Bが勝つ確率はその余事象の確率だから、
$1-\frac{1}{3}=\frac{2}{3}$
結果、Bの方が有利そう・・と見当をつけやすいように思うのですが、
条件付き確率とは上の①、②の「~で揃える場合」の下の式の「×の後ろの」$\frac{1}{3}$にあたるものを指します。冗長になりそうなので、もうこのあたりで筆を止めますが、心配な方はお手持ちの参考書等で、何が何にあたるのか対照させてみてください。
個人的には 「ベン図や簡単な(問題を表す)落書き」 を答案用紙の端などに書いてみることを推しておきます。
なお、どうも条件付き確率は事象(ここでは、「そろえる」ではなく「~色のカードを引く」と考えないとたぶん頭が混乱します)の数が3つ以上になる、要は事象がA、B、の次にCが出てくると、かなり面倒なことになりそうです。
※昨年度の統計検定1級の数理統計1がそれであったため、Qiita化次第、下にリンクを貼ります。
オススメ参考資料一覧(※全部の内容を自分も理解できているわけではないです。)
・青チャートI+A、Ⅱ+B 数研出版
・理工系の微分積分学 吹田信之、新保経彦 共著 学術図書出版書
・線形代数入門 齋藤正彦 著 東京大学出版会
・定本 解析概論 高木貞治 著 岩波書店
・数学シリーズ 数理統計学 改訂版 稲垣萱生 著 裳華房
・数学シリーズ 集合と位相 内田伏一 著 裳華房 (の前半)
・one point 推定と検定 鷲尾泰俊 著 共立出版