はじめに
先日、「埼玉県産業教育フェア」内の小中高生向け職業紹介イベント
『キャリアを探究しよう!「お仕事図鑑pitchトーク」―働く大人100人が集結―』
の 「働く大人100人」 のほうでエントリーして、小中高生たちやその親御さんたちに向けてお話ししてきました。
当イベントは、このお祭りでは今回初めての試みで、
子どもたち (小中高生) に対して、様々な職業やキャリアを歩んできた大人たちが自身の仕事のやりがいやいきがいについて、短時間で効果的に伝える 90 秒間の「ピッチ」を行い、子どもたちにとって大きな学び (大人になるって面白そう!仕事っていっぱいあるんだ!) となれば
という思いが込められています。
筆者は、仕事や技術コミュニティのイベントでプレゼンしているので、
- スキルアップ ... プレゼンがもっと上手くなりたい!!
- 腕だめし ... 仕事のやりがいを魅力的に伝えたい!!
- ワクワク ... ピッチ?なんか面白そうだ!!
という思いで、エントリーしてみました。
この投稿では、このイベント (準備を含めて) の活動で学んだこと、感想などを書こうと思います。
「ピッチトーク」とは
「ピッチトーク」とは、 ビジネスで使われる「ピッチ」を用いて 他者にわかりやすく伝えるスキルを養う活動 です。 短時間で相手の気持ちを動かす力を身につけること を目的としています。
ピッチ とは
ビジネスで使われる「ピッチ」とは、 短時間で自分のアイデアやビジネスプランを効果的に伝えるためのプレゼンテーション のことです。
ピッチの 目的は、相手の関心を引き、信頼を得ること です。通常、数分から 10 分程度の時間で、自分の考えを魅力的にアピールする必要があります。
ピッチの成功には、明確なメッセージと効果的なプレゼンテーションが重要です。視覚的な資料を使ったり、ストーリーテリング1を取り入れたりすることで、聴衆の心をつかむことができます。
たとえば、埼玉県立川越初雁高等学校では、この「ピッチトーク」を通じて、自分の言葉で相手に訴求する方法を模索することを目標としています。この活動によって、文章を構成したり、推敲したりする中で言語感覚を養うことができる と考え、取り組んでいます。
準備
イベントの前に、学んだことや準備したこと。
90 秒間で話せる文字数は
まず、90 秒間で話せる (発表できる) 量はどれくらいでしょうか...ここは Microsoft Copilot に教えてもらいます。
なるほど。500 文字程度を目安に話す内容を考えれば良さそうだと、理解しました。
※(後日談) 当時はそう思ってしまった...
誰に向けてプレゼンすればいいか
今回の聴衆は、小中高生 (+親御さん) と年齢層がとても幅広いです。すべての方に分かっていただけるように話すのは難しいと感じます。
誰向けに話せば、効果的なプレゼンになるでしょうか...ここも Microsoft Copilot にご意見を伺ってみます。
- 「最も若い聴衆」に合わせて話せば言葉遣いがシンプルになり、中高生にもわかりやすくなる
- 具体例やストーリーを交えることで理解が深まる
主催者から「小学 5 年生がわかるように話せば良いだろう」とアドバイスをいただきましたが、おおむね同意見のようですね。
上手にプレゼンするには
今回は、話を短時間で効果的に伝えなければなりません。
よって、上手にプレゼンをするにはどうすればいいのか...ここは専門家の動画2を見て学びました。
うまくプレゼンするには 「話し方のルールを守る」 ことだそうです。
話し方のルール
守るべき 「話し方のルール」 には、3 つあります。
※以下に、筆者がまとめたメモを記します。
ゴールを設定する
何のためにプレゼンするのか、それは 「相手にどんな行動を起こさせたいのか」 です。
「プレゼンやコミュニケーションの目的は何か?」を明確にし、その目的を正確に相手に伝えよう!
ピラミッドストラクチャーで構成する
わかりやすく話すためのテクニックです。
ピラミッドストラクチャー=論理的な構造
ピラミッドを以下のように「3 段」で考えます。この構造をしっかり守るだけで、飛躍的に話し上手になれます。
-
1 段目:結論
- まず結論を述べる
-
2 段目:根拠
- 1 つの結論に、3 つの根拠を用意することで説得力が増す
→ ロジカルシンキング (論理的話法)
- 1 つの結論に、3 つの根拠を用意することで説得力が増す
-
3 段目:実例
- それぞれの根拠に実例を用意する
上手なプレゼンとは、「結論」+「根拠」+「実例」で構成されている!
左脳と右脳を刺激する
相手の左脳と右脳を刺激するために、以下のように話します。
-
左脳はロジック ... 言語や分析、論理的にものを考えるときに使われる
- 「ピラミッドストラクチャー」を意識して話す
-
右脳はイメージ ... ひらめきや芸術性、創造性、直感的な感覚や感性、知覚などを司る
- 実例の部分を「たとえば」から始まるように話すことで、イメージさせる効果が生まれる
まず「結論」、次に「根拠」、そして「たとえば」の 3 段ピラミッドで話せば OK!
上手にプレゼンするには
これら 3 つのルールを踏まえて、たとえば以下のようなテンプレートに当てはめて話すと良さそうです。
私は 「○○○ (結論)」 だと思います。理由は 3 つあります。
1 つ目は、「△△△ (1 つ目の根拠)」 だからです。たとえば、「××× (1 つ目の根拠の実例)」
2 つ目は、「△△△ (2 つ目の根拠)」 だからです。たとえば、「××× (2 つ目の根拠の実例)」
3 つ目は、「△△△ (3 つ目の根拠)」 だからです。たとえば、「××× (3 つ目の根拠の実例)」
伝えるための 3 つの視点
これら 3 つの視点を備えて「語る」ことが大切です。
3 つの視点 とは
-
具体
はっきりした姿や形をもっていること。現実に即していること。 -
抽象
具体的な性質のひとつを引き出すこと。他との共通点に着目し、一般的な概念へとまとめあげること。 -
懇請 (こんせい)
熱心におりいって頼み込むこと。
プレゼン内容を考える
さっそく話す内容を作る気持ちを抑えつつ、まずはセオリーどおりに伝えたい内容を整理しました。
ターゲット
小中高生たち
※最も若い聴衆に合わせて話すと効果的、小学 5 年生がわかるように話そう
ゴール設定
相手に「システムエンジニア」に興味を持ってもらうために、以下の内容を伝える
- システムエンジニアとはどのような仕事か
- 「システムを開発する仕事とは」を説明すればいいだろう
- システムエンジニアのやりがい
- やりがい →「達成感」「社会貢献」「自己成長」を伝えたい
プレゼンの構成
相手に 90 秒間で伝える
※ボリュームの目安は 500 文字程度
この「90 秒間」は、発表者が自由に使って良いということでした。
※もちろん、イベントの趣旨と合致していること
よーいドンで発表がスタートすることになりそうな気がしていたので、私が何者なのかも入れたほうがよさそう。
-
自己紹介
- 名前、何してるか (カンタンに)
-
アジェンダ
- これから何を話すのか (ひと文で)
-
システム開発という仕事は
- 目的とそれを実現するためのやることを話す
-
システムエンジニアのやりがい
- キーワードは「達成感」「社会貢献」「自己成長」
- ピラミッドストラクチャーで構成して話す
-
締め
- 「ご清聴ありがとうございました」的な
- この発表のゴール (みんなに対する私の期待) を伝える
「システムエンジニアのやりがい」を最も手厚くし、「システム開発という仕事は」を前述の「システムエンジニアのやりがい」の半分くらいのボリュームで話せたらいいなと思います。
プレゼン内容を作成する
まずは、「90 秒間で話せる量」を気にせず、伝えたいことを作文して、Microsoft Copilot に以下のような添削とアドバイスしてもらいます。
- (例) 次の文章を 90 秒間で発表しようと思っています。収まると思いますか?
- (例) 次の文章は、小学 5 年生に対して、システムエンジニアとはどのような仕事か、システムエンジニアのいきがいややりがいを、90 秒間で発表しようと思っています。どのように思いますか?
このようなアドバイスを受けて見直すことを何度か繰り返して、なんとか作り上げました。
こんにちは。パーソルクロステクノロジーの小田島です。
私は、マイクロソフトのクラウドサービスを使ったシステムを開発しています。また「マイクロソフト MVP」という賞ももらっています。
今日は、システムエンジニアの仕事と、その楽しさややりがいについてお話しします。
システムを開発する仕事は、お客様からの「こんなシステムが欲しい!」ということを実現するために、計画を立てて、システムを作り、テストして、使えるようにすることです。その後も、システムがちゃんと動くように見守ります。
私は、「システムエンジニア」という仕事がとても楽しい と思っています。
理由は 3 つあります。
1 つ目は、達成感を感じられる からです。たとえば、お客様の要望や難しい課題を解決できた時はとてもうれしいです。そして、その喜びを仲間と分かち合えるので、達成感はさらに高まります。
2 つ目は、社会貢献ができる からです。たとえば、完成したシステムが多くの人に使われて、感謝の言葉をもらうと、とてもやりがいを感じます。
3 つ目は、自分が成長できる からです。たとえば、新しいテクノロジーを学びながら仕事をするので、自分のスキルがどんどん上がっていきます。
以上です。
システムエンジニアの仕事はとても面白いので、みなさんも興味を持ってくれたらうれしいです。
ありがとうございました!
また、発表といっしょに A4 サイズのパネルも持ち込んで良いということだったので、この発表を少しでも手助けしてくれたらとこのようなスライド3も作りました。
振り返り
発表後に「システムエンジニアの楽しさがとても伝わりました」とコメントをもらえました!
とてもうれしいですが、ちゃんと振り返りましょう。
-
持ち時間を守らないといけないが、それを守ることがイチバンの目的ではない
- 言葉を一語一句もれなく話そうとしてしまいがち
- あれもこれもと欲張らない
- 60 ~ 75 秒間で話せるくらいの量を、90 秒間で話すかんじがベターだったかも
-
プレゼンの目的を見失いそう
- 目的は「相手にどんな行動を起こさせたいのか」 ということ
- 伝える熱意、一生懸命さをもっと見せられたら
-
もっとできる!!
- っていう気持ちを忘れない
- たくさん練習!!
90 秒間という時間は短いようで長いようで...
「90 秒間」という数字を見ると臆してしまい、前もってガンガン武装してしまいます。また、いざ、発表となると緊張で言葉が詰まったりなど想定外なことが起こってしまいます。
それらを払しょくするには、「余裕」 も含めて準備しておき、「余裕」 を持って発表することだと改めて学びました。
-
Microsoft Copilot の存在は心強い!!
- 会話 (チャット) するようにやり取りできる
- プロンプトを使いこなせば、さらに期待値に近い結果 (回答や提案) が得られます
- 自分以外の視点や考え方を取り込めて、さらにブラッシュアップできた
- リズミカルに作業がはかどる
- ひとりじゃない、たまに励ましてくれる(笑)
- モチベーションアップ!!
- 会話 (チャット) するようにやり取りできる
また、作文を書く際、自分ひとりで考えていると言葉選びや言葉の言い換えなどがなかなか思いつかず、手が止まってしまいます。そんなところに、Microsoft Copilot のようなアシスタントがいると、作業が滞らずに進められるし、励ましてもくれるのでモチベーションも上がります。ホントに助かります!! これからも活用していきましょう。
最後にイベントの感想
当日のイベントにて、ある高校生から 「仕事の話かと思って参加したら、人生の話を聞けました」 と感想をいただきました。
まさにそのとおりです!
いろんな大人たちの経験や想いが聞けるこのような機会はめったにありません。また、大人たちもこのような話をする場面もそんなにないと思います。お互いにとても貴重な時間を過ごせたと思います。
ということで、大人も子供も大盛り上がりだったイベントでした。
きっとこのイベントは、継続して開催されることでしょう。
※期待を込めて勝手に言っています
最後に、このようなイベントに参加する機会をいただけたことにとても感謝します。