かなり前に限定投稿してたのをアップし直しました。
最近、町のあらゆるところで売られ始めたPCR検査キットですが、これらを使って日本人全員がPCR検査をしたらどうなると思いますか。
コロナ陽性者を全員隔離して、コロナ沈静化を早められる?
はっきり言いましょう。そんなことは無理です。
PCR検査に潜む問題
まず大前提としてPCR検査とは万能ではありません。
本当は陰性(新型コロナに感染していない)なのに、陽性と判定されてしまうケースや、逆に本当は陽性(新型コロナに感染している)なのに、陰性と判定されてしまうケースがあります。
その誤判定のことを一般に、
偽陽性:本当は陰性なのに、陽性と判定されること
偽陰性:本当は陽性なのに、陰性と判定されること
といいます。
また、新型コロナに対して偽陽性、偽陰性の割合を下記のとおりとします。
(様々な情報が飛び交っており、検査の条件にも左右されるので一概には断言できないのですが、この記事では下記のとおりとします。一応ネットで調べた値です。)
偽陽性の割合:$1$%
偽陰性の割合:$20$%
このPCR検査の誤判定の割合が高いために、日本人全員がPCR検査を受けると**「ある問題」が起こります。
もっとわかりやすくいいますと、絶対にコロナに感染していない人にもPCR検査を実施させた場合「ある問題」**が起こります。
日本人全員がPCR検査を受けた場合
「ある問題」が何なのかを伝えるために簡単な計算をします。
前提条件
新型コロナに感染していない人:$120,000,000$人(約日本の人口)
新型コロナに感染している人:$10,000$人
偽陽性の割合:$1$%
偽陰性の割合:$20$%
計算
上記条件下においてPCR検査を全員が受けたとしましょう。
新型コロナに感染している人は100,00人という想定です。
このとき気になるのは偽陰性です。
偽陰性の割合は20%という想定なので、
新型コロナに感染している人のうち、陽性と正しく判定される人:$10,000\times0.8=8000$人・・・①
新型コロナに感染している人のうち、陰性と誤って判定される人:$10,000\times0.2=2000$人・・・②
また、新型コロナに感染していない人は120,000,000人という想定です。
このとき気になるのは偽陽性です。
偽陽性の割合は1%という想定なので、
新型コロナに感染していない人のうち、誤って陽性と判定される人:$120,000,000\times0.01=1,200,000$人・・・③
新型コロナに感染していない人のうち、正しく陰性と判定される人:$120,000,000\times0.99=118,800,000$人・・・④
となります。まとめると
陽性と判定される人:①+③=$8,000+1,200,000=1,208,000$人・・・⑤
陰性と判定される人:②+④=$2000+118,800,000=118,802,000$人・・・⑥
結果
計算結果より日本人全員がPCR検査を受けたときに、陽性と判定される人は$1,208,000$人です。
そのうち本当の新型コロナ感染者は$8,000$人です。
割合に表すと陽性と判定された人のうち、本当に新型コロナに感染している人は$約0.66$%となります。
PCR検査で陽性と判定された人のうち、ほとんどの人がコロナに感染していないとなれば、本当に新型コロナに感染している人に治療が行き届かない恐れ や、そもそも約120万人もの人を隔離するためのスペースを準備できません。
これが私が伝えたかった**「ある問題」**の正体です。
新型コロナに感染している可能性が高い人に絞ってPCR検査を受けた場合
先ほどの結果からPCR検査を日本人全員が受けて、陽性と判定された人を全員隔離することは無謀であるとわかってもらえたと思います。
次はPCR検査を受ける人をできるだけ絞った場合(20万人くらいまで絞った場合)はどうなるかを考察していきます。
前提条件
検査を受ける人の中で新型コロナに感染していない人:$200,000$人
検査を受ける人の中で新型コロナに感染している人:$10,000$人
偽陽性の割合:$1$%
偽陰性の割合:$20$%
計算
先ほどと同じ計算過程なので結果だけ
新型コロナに感染している人のうち、陽性と正しく判定される人:$10,000\times0.8=8000$人・・・①
新型コロナに感染している人のうち、陰性と誤って判定される人:$10,000\times0.2=2000$人・・・②
新型コロナに感染していない人のうち、陽性と誤って判定される人:$200,000\times0.01=2000$人・・・⑦
新型コロナに感染していない人のうち、陰性と正しく判定される人:$200,000\times0.99=198,000$人・・・⑧
まとめると
陽性と判定される人:①+⑦=$8,000+2,000=10,000$人・・・⑨
陰性と判定される人:②+⑧=$2,000+198,000=200,000$人・・・⑩
結果
計算結果より検査を受ける人を20万人くらいまで絞った場合、陽性と判定される人は$10,000$人です。
そのうち本当の新型コロナ感染者は$8,000$人です。
割合に表すと陽性と判定された人のうち、本当に新型コロナに感染している人は$80$%となります。
20万人にPCR検査を受けさせて、陽性と判定された人のうち、本当に新型コロナに感染している人が80%もいるのだとしたら、陽性と判定された人を隔離するのも少しは現実味があるかもしれませんね。
結論
PCR検査を日本人全員が受けた場合、約120万人の人が陽性と判定され、その中で本当に新型コロナに感染している人の割合は約0.66%である。
PCR検査を受ける人を20万人まで絞った場合、約1万人の人が陽性と判定され、その中で本当に新型コロナに感染している人の割合は80%である。
仮に日本人全員を検査して、陽性と判定された120万人もの人を、治療や経過観察していたとしたら、本当に新型コロナに感染している人への対応が間に合わない恐れがあり、明らかにPCR検査を受ける人を絞ったほうが良いことがわかります。
終わり
これはあくまで計算上の話なのですが、PCR検査はあくまで目安という意識をもって、仮にPCR検査が陰性であったとしても、むやみやたらに町へ出かけるのは控え、新型コロナが落ち着くまでは人と接触しないように気を付けましょう。
また、遊びでPCR検査キットを使うのも止めましょう。
以上!