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三重大学 計算研Advent Calendar 2019

Day 24

マジックナンバー142857の正体

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##はじめに
この記事は三重大学計算研のアドベントカレンダー2019です。
私がプログラミング技術に疎いのもあり、あまり関係ない雑学のようなものを取り上げています。
知っている方も多いと思いますが温かい目でお願いします。

##142857の性質の確認
性質①142857に1~6を掛けると数の並びが循環する。

142857 \times 1 = 142857\\
142857 \times 2 = 285714\\
142857 \times 3 = 428571\\
142857 \times 4 = 571428\\
142857 \times 5 = 714285\\
142857 \times 6 = 857142\\

性質②142857に7を掛けると9だけの並びになる。

142857 \times 7 = 999999

このように142857という数が踊りまわったり、みんなが9になったりと不思議な数として紹介されています。

##何故こんな性質があるのか
この疑問は142857がどこから生まれるのかを考えれば、よくわかると思います。

\frac{1}{7} = 0.142857142857...

142857は$\frac{1}{7}$の循環節であることが分かります。
$\frac{1}{7}$を桁ごとに計算してみると

   商  余り\\
1\div7 = 0 ・・・1\\
10\div7 = 1・・・3 \\
30\div7 = 4・・・2 \\
20\div7 = 2・・・6 \\
60\div7 = 8・・・4 \\
40\div7 = 5・・・5 \\
50\div7 = 7・・・1 \\

上の式の商が$\frac{1}{7}$の小数展開した数字列になります。
計算すると桁がどんどん小さくなるので前の式の余りを10倍して商と余りを計算します。
最後の式で余りが1になるので2行目の式にループします。この2行目から7行目までの式が繰り返されるので循環小数が生まれます。
$\frac{1}{7}$から$\frac{6}{7}$までそれぞれの循環節は分子このループする式の余りと対応して$\frac{2}{7}$なら余りが2の次の式から循環して循環節は285714になります。
この式のループで$\frac{1}{7}$に1~6を掛けたとき循環節がぐるぐるまわるのも分かると思います。この循環節が回っただけの性質を今後は回転において合同と表現します。(一般的な表現ではありません)

そして、性質②についても同様に

\frac{1}{7} \times 7 =0.999999… = 1\\

と考えると納得できると思います。

##142857が特別ではない?
上述の通り、142857に面白い性質があったのは小数の循環節であるという理由から分かりました。
だとすると、他の循環小数から同じようにつくれるのでしょうか。
他の循環小数でも調べてみましょう。(桁は次の循環節のうち一番長い6桁に合わせてあります)

\frac{1}{3}=0.333333…\\
\frac{1}{6}=0.166666…\\
\frac{1}{9}=0.111111…\\
\frac{1}{11}=0.090909…\\
\frac{1}{13}=0.076923…\\

自然数nより$\frac{1}{n}$を考えたとき、nが2や5以外の素因数を持たないと循環小数にならないのでn=2,4,5,10の例は除きました。
n=3,6,9,11,13についてはいずれも$\frac{1}{n}$から$\frac{n-1}{n}$までのすべてで回転において合同ではありません。ですが条件を緩めるとn=13では、

\frac{1}{13},\frac{3}{13},\frac{4}{13},\frac{9}{13},\frac{10}{13},\frac{12}{13}\\ 
\\
\frac{2}{13},\frac{5}{13},\frac{6}{13},\frac{7}{13},\frac{8}{13},\frac{11}{13}\\

この2グループ内それぞれで回転において合同です。
実際に計算して確かめてみてください。

また、条件を緩めずともn=17のとき、

\frac{1}{17} = 0.588235294117647…

循環節は16桁であり、$\frac{1}{7}$の時と同様に$\frac{1}{17}$から$\frac{16}{17}$まで回転において合同になります。
このように、自然数nについて$\frac{1}{n}$を調べていくと循環節がn-1桁、つまり$\frac{1}{n}$から$\frac{n-1}{n}$まで回転において合同となるnはいくつも現れます。

どんな時に$\frac{1}{n}$の循環節がn-1桁になるのか、またn=13のようにいくつかグループに分けて回転するときそのグループの数はnのどんな条件を調べればいいのか。いろいろ気になるところはありますが、今回はこれで終わります。

##最後に
この記事はあくまで142857の数字がどこから来ているのかを紹介しただけなので、もっと調べれば他にも面白い話が出てくると思います。よければ、調べてみてください。
分かりやすい記事ではないと思いますが、ここまで読んでくださりありがとうございます。

参考文献:
不思議で面白い数字の雑学・トリビア10選 | 数学の面白いことをまとめたサイト

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