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アジャイルにおける心理的安全性を考えてみた

Last updated at Posted at 2022-08-04

ここで言う「心理的安全性」とは

「心理的安全性」でググると

「チームメンバーに非難される不安を感じることなく、安心して自身の意見を伝えることができる状態」

ふむふむ

「チームは、対人関係のリスクをとっても安全な場所であるとの信念がメンバー間に共有された状態である。」

ええ、ええ

「心理的安全性」というワードは一見とてもわかりやすい日本語なのですが、上記のようにニュアンスのブレがあったり多要素なので、向き合えば向き合うほどわかり辛くなってくるように感じています。

先日たまたま「建設的な衝突」というキーワードを目にし、それすなわち心理的安全性が担保されている状態(仲良しグループから一歩進んだ状態)だなぁと連想したのですが、上記引用で「非難される不安を感じることなく〜」「自分の考えを自由に〜」「対人関係のリスクをとっても〜」と書かれているところを見ても、心理的安全性なくして「建設的な衝突」は生まれづらいと言えそうです。

今回ここで言う「心理的安全性」とは、上記の通り、保守的な仲良しグループを卒業し、リスクを取りつつも建設的なコミュニケーションを取れるレベルのものを指しています。

どうなると建設的じゃなくなるか

さて、どんなときでも建設的に議論できるチームは理想ですしそうしたいのは山々なのですが、実際には「心理的安全性の高い状態を目指している」チームが世の大半だろうと想像しますし、達成しても維持できるかどうかはまた別の話で。どの状況においても「心理的安全性は担保されていない」と考えたほうが良さそうだなと。

では、心理的安全性が高く建設的なコミュニケーションを得るためにはどうすれば良いのでしょうか。

ここで思い浮かんだのが「鶏と卵」の話。
「問いかけの作法」というとても好きな本があるのですが、その著者である安斎勇樹さんの、とても好きなくだりがあります。

僕は「それってどうやるんですか? いつ誰がやってくれるんですか?」ということに問題意識を持ちました。考え方を変えて、心理的安全性が高いから意見が出るのか、意見が出るから心理的安全性が高まるのか。これは、いわゆる「鶏と卵」の関係性だと思うんですよね。
そこで『問いかけの作法』は、問いかけを変えて意見が出てきやすい会議をやっていくうちに、「気付いたら心理的安全性が高まっていました」というシナリオを目指して、1つの処方箋として書きました。そのほうが建設的なんじゃないかと思ったので。

これに私のバイアスを掛けると「安全が大事、安全が大事、言うてるけれども、じゃあそれは一体誰が作るんです?あなた自身ですよ」という話ですね。「心理的安全性が低いと建設的に話せない」ではなく「建設的に話して心理的安全性を高めていこう」と考えれると、次に「ではどうすれば建設的に話せるのか」と、前に進むことができそうです。

が、しかし!建設的であることをどうやって形成するかを考えたものの、非常に沢山の要素がありそうでしたので、すぐに断念。そこで逆から攻めてみました。「どうなると建設的じゃなくなるか」「なぜ感情的な議論や衝突が起きるのか」ですね。
いろんなケースが頭に浮かびましたが、やはり共通して「イライラする」はかならずセットで付いてくる気がします。ではそのイライラはどこから生まれてくるのでしょうか。

最初に浮かんだのは「利害関係」。そもそも利害が一致していれば、自然とゴールに向かって団結できるのではないかなと。逆に利害が一致していないと、当然対立しやすいですし、どれだけそれが正論であっても受け入れがたく反発心も産まれますよね。

ただ、ここで例外に気づきます。それは「合意の有無」です。

合意形成の重要性

仮に利害が一致していなくても「メンバーが望まない方向になぜ進む必要があるのか」をきちんと説明し了承を得れば、メンバーのほうでも望みの形が変わる可能性もありますし、進行後に余計なフラストレーションを抱えにくくなります。

逆に、チームメンバーとの合意をスキップして推進すれば、当然そのメンバーは意見を反映する機会を失い主体性を損なう要因になります。体制がトップダウンであれば「上からの指示」として渋々でも納得できる部分もありますし関係性もあるので衝突しづらいでしょうが、自律性を求められるアジャイルでフラットな関係性の中、メンバーに対し合意のない一方的な方針説明があり、且つメンバーの望まない影響があるとなると、そりゃ衝突しやすくて当然ですよね。

すなわち、アジャイルに置いて「合意形成」というのは「心理的安全性に大きく影響する重要作業」ではないかなと。合意形成の軽視が主体性や自律の重視と矛盾することをしっかりと覚えておきたいです。

ついでに、合意形成をどこまで細かくやる必要があるかについても考えてみました。
これもケースバイケースだと思いますが、その時に意識するのは「利害関係」や相手に与える「影響度」ですかね。合意したその判断によってメンバーがその程度影響を受けるかを考慮し、その影響度に応じた説明から合意を得る必要があるという話ですが、タイミングを計るのにも判断コストが掛かるので、細々と進捗するものについてはノイズにならない程度にテキストで逐一状況共有しておいて損はないかもしれません。小まめな共有意識はスムーズな合意形成の種になったりするので。

仲良しグループの正体

最後に、期待する状態のことを先に語っても確かに引っ張られる部分はありますが(心理的安全性を意識すればそれなりに心理的安全性が高まる)、メンバーの心理に気を配れないようだと結局は心理的安全性が低下する場面が発生するわけで、これが「表面的には心理的安全性の高い状態 = 仲良しグループ」の正体なのかなと、これを書きながらそう感じました。私が思っていた「アジャイルにおける心理的安全性」というのは、意外なほどに泥臭く、一人一人が効率的かつ積極的にコミュニケーションをとりつつも気配りや配慮を丁寧に行う事で初めて成り立つものなのかもしれません。

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