「必ず伝わる! ロジカル会話術」を読んで思ったこと
SI案件でお客様から「考えていることはあっているので、実施した内容を重複・抜け漏れなく伝えてほしい」とご指摘をいただきました。つまり、頭ではわかっている行動はできている、しかし伝えきれていないことが原因だと考えています。そのため、今期の目標のひとつにMECEを習得し、実践することを上げました。
今回はMECEといってよいのかわからないですが、まずは導入として必ず伝わる! ロジカル会話術を通読しました。そのため、本記事ではこちらの内容を記載いたします。
シンキングからダイアローグへ
近年ロジカルシンキングやクリティカルシンキングという言葉をよく耳にするように、社会人として思考力が問われるようになってきました。とくに、論理的に考える力(ロジカルシンキング)はビジネスパーソンとして必須スキルといえます。
しかし、社会人として他の人を巻き込みながら仕事をするためには、考える力だけでは不十分です。相手を動かくためには自分の考えを伝えるだけではなく、相手の状況なども考慮しながらお互いの前提や目的をすり合わせていく必要があります。これをダイアローグ(会話)です。
ダイアローグ
ダイアローグはディベート(討論)とは異なります。
ディベートは相手の盲点や論理破綻を攻撃して論破することが目的ですが、ダイアローグはお互いの共通理解を最大化しながら、新たな考えを共創してくことが目的です。
つまり、お互いの意見に優劣を付けるのではなく、どちらも一理あることを踏まえて解決策を生み出すのがダイアローグといえます。
演繹と帰納
どちらも論理的思考法の基本中の基本です。
演繹法
別名、アリストテレスの三段論法と呼びます。三段論法とあるように「大前提」と「小前提」から「結論」を導き出します。
大前提:すべての人間は死ぬ
小前提:ソクラテスは人間だ
結論 :ソクラテスは死ぬ
上記は正しい結論を導き出していますが、下記のように正しくない結論が導き出されてしまう可能性もあります。
ケース1:大前提が間違っているため、結論も間違ってしまう
大前提:すべての人間は死なない
小前提:ソクラテスは人間だ
結論 :ソクラテスは死なない
ケース2:前提は正しくても組み合わせ方が間違っているため、結論が間違ってしまう
大前提:すべての犬は死ぬ
小前提:ソクラテスは死ぬ
結論 :ソクラテスは犬である
正しい結論を導くためには、「大前提 > 小前提」の順で集合の輪が小さくなる(内包される関係になる)ように導き出します。上記の正しい例で説明すると、大前提の「すべての人間」には小前提の「ソクラテス」が含まれている状態であることがわかります。
帰納法
個別の事例や事象に基づいて、共通点を見出し、結論を導く手法です。
事象1:レタスが高い
事象2:ニンジンが高い
事象3:大根が高い
事象4:キャベツが高い
結論 :野菜の値段が高い
上記は正しい結論を導き出していますが、下記のように正しくない結論が導き出されてしまう可能性もあります。
ケース1:同じ「高い」でも分類が異なるため、結論が間違ってしまう
事象1:富士山は高い
事象2:キャベツが高い
事象3:サンマが高い
事象4:体温が高い
結論 :野菜の値段が高い?
ケース2:観察事項が少ないと誰もが納得できる結論が導き出せない
事象1:キャベツが高い
結論 :野菜の値段が高い?
正しい結論を導き出すためには正しいデータであることが大切です。しかし、現実のビジネスでは、結論が見つからないことがあります。そのため、帰納法はあくまでも「~であろう」という帰納的推論であると言われます。
大工と話すときは大工の言葉で
コミュニケーションをとるときに重要な概念の1つは「抽象のハシゴ」をスムーズに移動できることです。つまり、コミュニケーションをとるときには、「抽象のハシゴ」を意識しながら表現や使う言葉の抽象度を下げたり、ある抽象度を上げてまとめることが重要です。なぜなら、抽象度の高い表現を使いすぎるとお互いがイメージしているものが食い違うことが起こるからです。
上記を意識し、かつ限られた時間の中で相手に意見を伝えるためには「PREP法」を意識することが大切です。PREP法とは下記の頭文字をとった名称です。
- Point(結論となる論点)
- Reason(理由)
- Example(事例)
- Point(結論となる論点)
論理 + 感情 = 納得の公式
何かを理解しようとするとき、まずは分けることが基本となります。つまり、ある問題に対して、切り分けの分け口がカギとなります。この切り口が「MECE」となることで取り組むべき課題等が明確になります。
MECE (Mutually Exclusive Collectively Exhaustive:お互いに重複せず合わせたら網羅的になる)
MECEはもともと数学で習う「集合」の話で、補集合のことです。つまり、ある集合とそれ以外の集合の合計(補集合)であり、補集合は互いにダブりもなければ漏れもないというのは自明のことです。
説得と納得
説得とは自分本位の言葉ですが、納得とはあくまでも相手がするものです。そのため、相手に納得してもらうことを考えていきます。
納得の公式
どうしたら相手が納得してくれるのか。それは、「論理 + 感情」が必要になります。人とコミュニケーションをとるときには明確な論理は必要不可欠ですが、「感情」も欠かせません。なぜなら、人間は感情の生き物だからです。
人間の行動には必ず感情が伴います。感情が伴わないコミュニケーションでは、相手から「理解してもらえていない」と思わせてしまいます。そのため、相手との心理的な距離を縮めるためには、相手の感情(気持ち)に共感することが非常に重要です。
さらに、能動的に聞くことが大切です。この能動的に効く技術の重要性や具体的な手法では後述の「相手の心を開くリフレクティヴ・リスニング」で紹介します。
聞き上手は相づち上手
相づちは聞き手が話してに対して発信するメッセージです。そのため、相づちを打つことによって聞き手は相手の話を聞いていますよということを伝えることができます。
すると話し相手は自分の伝えたことが受け入れられたと理解でき、心理的な距離が縮まり、共感が生まれます。
相づちは下記の2つに分けることができます。
- 間投詞
- 相づちのキーワード
間投詞
間投詞とは、「えぇ/はい/はー」等会話の間に投げかける短い言葉です。重要なことは声のトーンやボディランゲージにも気を付けることです。間投詞だけでも相づちになりますが、どれだけではワンパターンになってしまい、相手との心理的距離を縮めるには不十分です。
相づちのキーワード
間投詞だけでは心理的距離を縮めることは難しいですが、相づちのキーワードを効果的に使うことが大切です。相づちのキーワードを効果的に使うためには、相手の発言の内容に合わせてこちらの共感を示しながら相づちをします。
デキる相づちのバリエーション
- 「契約が結べた」などポジティブ(プラス)な話題
→ 「すごいですね」・「やりましたね」・「お見事です」・「素晴らしいですね」 - 「子供が病気で…」等のネガティブ(マイナス)な話題
→ 「心配ですね」・「大変ですね」・「可哀そうに」 - 「かつ丼が好きで」等のどちらでもない(ニュートラル)な話題
→ 「なるほど」・「そうでしたか」・「そうなんですね」
相手の心を開くリフレクティヴ・リスニング
リフレクティヴ・リスニングとは、相手の言葉を反射(リフレクション)させるようにそのまま返しながら聞くテクニックです。これには、下記2つの方法があります。
相手の言葉をそのまま返す「ミラーリング」
相手の言葉を要約、あるいは少し言い換えて返す「パラフレージング」
メリット
話し手の言葉を使うことにより、聞き手は相手の話の内容をしっかり聞いているということを相手に伝えることができます。これにより、話し手の信頼感を得ることができます。
さらに、相手の言葉を繰り返すことにより、相手を観察しながら次の言葉を考える時間的な余裕ができます。