微分演算子
- $y=y(x)$:任意関数
- $D=\frac{d}{dx}$:微分演算子
としたとき、 - $y'=\frac{d}{dx}y=Dy$
法則
- $(T+U)y=Tu+Uy$
- $(T-U)y=Tu-Uy$
- $TUy=T(Uy)$
多項式演算子
- 例:$f(D)=aD^2+bD+c$
- 交換則:$f(D)g(D)=g(D)f(D)$
- 線形性:$f(D)(au+bv)=af(D)u+bf(D)v$
- $f(D)e^{αx}=f(α)e^{αx}$
- $f(D)[e^{αx}y]=e^{αx}f(D+α)y$
逆演算子法で用いられる主な公式
逆演算子法を用いて非同次線形微分方程式の特殊解を計算したり、演算子を操作したりする際に、以下の主要な公式が使われます。
1. 指数関数を含む項に対する公式
非同次項が指数関数 $e^{ax}$ と他の関数 $V(x)$ の積である場合に適用します。
$D$ を $D+a$ に置き換えることで、$e^{ax}$ を演算子の外に出して計算を進めます。
$$ \frac{1}{f(D)} [e^{ax} V(x)] = e^{ax} \frac{1}{f(D+a)} [V(x)] $$
2. 指数関数のみの項に対する公式 (分母が0にならない場合)
非同次項がシンプルな指数関数 $e^{ax}$ であり、$f(a) \neq 0$ の場合に適用します。
演算子 $D$ を定数 $a$ に置き換えることで直接計算できます。
$$ \frac{1}{f(D)}[e^{ax}] = \frac{1}{f(a)}[e^{ax}] \quad (\text{ただし } f(a) \neq 0) $$
3. 指数関数のみの項に対する公式 (分母が0になる場合、共鳴ケース)
非同次項の指数 $a$ が演算子の特性根と一致し、分母が $f(D) = (D-a)^n$ の形に因数分解できる場合(共鳴)に適用します。分母が $0$ になるため、直接代入できないときに用いられます。
$$ \frac{1}{(D-a)^n}[e^{ax}] = \frac{x^n}{n!} e^{ax} $$
より一般的なケースとして、$f(a)=0$ で $f'(a) \neq 0$ の場合には、次の公式も使われます。
$$ \frac{1}{f(D)}[e^{ax}] = x \frac{1}{f'(D)}[e^{ax}] $$
4. 三角関数を含む項に対する公式 (分母がD^2のみの場合)
非同次項が $\cos(bx)$ や $\sin(bx)$ であり、演算子の分母が $D^2$ の項のみで構成されている場合に適用します。
$D^2$ を $-b^2$ に置き換えることで直接計算できます。
$$ \frac{1}{f(D^2)}[\cos(bx)] = \frac{1}{f(-b^2)}[\cos(bx)] $$
$$ \frac{1}{f(D^2)}[\sin(bx)] = \frac{1}{f(-b^2)}[\sin(bx)] $$
5. 多項式を含む項に対する公式
非同次項が多項式 $P(x)$ である場合に適用します。
この場合、逆演算子 $\frac{1}{f(D)}$ を $(f(D))^{-1}$ として、テイラー展開(またはマクローリン展開)の形で展開し、$D$ の各次数が多項式に作用(微分)することで計算を進めます。通常、分母を定数項でくくり出し、次の形の展開を利用します。
$$ (1 \pm g(D))^{-1} = 1 \mp g(D) + (g(D))^2 \mp \dots $$
多項式の次数を超過する $D$ のべき乗は $0$ になるため、有限の項で計算が終了します。
6. 基本の逆微分演算子
逆演算子 $\frac{1}{D}$ は積分演算子として機能します。
$$ \frac{1}{D}[V(x)] = \int V(x) , dx $$
これらの公式を適切に組み合わせることで、様々な形の非同次線形微分方程式の特殊解を逆演算子法で求めることが可能になります。