1. 概要
RANSAC(Random Sample Consensus)は、コンピュータビジョンの特徴点マッチングなどで用いられる推定手法の一つで、特にノイズの影響を受けやすいデータから信頼性のあるモデルを見つけるためのアルゴリズムとして有名だが、反復的なデータのサンプリングとモデルの構築は計算コストが高く、計算効率を向上させるための研究が数多く提案されている。その中でも、Guided Sampling(誘導サンプリング)は通常のランダムサンプリングの代わりに、予め得られた情報や既知の知識を用いて適切なサンプルを選択する確率を高め、アルゴリズムの収束を早めたり計算コストを削減する効果が期待される。この論文では、新しい適応的サンプリング手法として”BANSAC”を提案している。
2. 新規性
新しい適応的サンプリング手法を提案している。従来手法では、データポイントのインライヤー/アウトライヤーの分類に関する事前情報が必要だったり、以前に計算されたスコアをサンプリングに再利用していたりした。(ここで、モデル作成時に利用するモデルの適用分布内のデータのことをインライヤーと呼び、外れ値のことをアウトライヤーと呼ぶ。)
3. 実現方法
RANSACを反復する過程で、各データポイントのインライヤースコアを更新するダイナミックベイジアンネットワークを採用している。各試行で反復的に更新されたスコアを再利用して重み付きのサンプリングを適用することで、探索的かつ適応的サンプリングを実現しており、また確率的な終了条件を設けたことで早期に解を発見することができるようになった。終了条件には、更新されたインライヤー/アウトライヤースコアを用いる。
4. 結果
複数のデータセットと複数のアプリケーションタスクに対して評価実験を実施しており、提案手法がState-of-the-art(SOTA)を達成している。提案手法ではより少ない計算時間でノイズに頑健なマッチングができていることが分かる。
last updates: Oct 9 2023