1. 概要
異常検出 (AD:Anomaly Detection) は、産業界でよく用いられるタスクの一つである。しかし、従来の異常検出モデルは、データの分布が変化してしまうと性能が低下することが課題だった。特に、新しい分布の学習データがない場合の推論は大きな課題で、学習済みモデルで未知のケースを推論するゼロショット推論はよく求められるAIモデルである。
この研究では、ゼロショットで異常検出を行うACR(Adaptive Centered Representations)を提案している。提案手法では、一般的な異常検出モデル(deep SVDDなど)を複数の関連する訓練データ分布に適応させるように汎用性を持たせて学習させ、さらにバッチ正規化(Batch Normalization)を組み合わせることで、未知の異常検出タスクに対してもゼロショットでの推論を可能にしている。
2. 新規性
従来の生成AIを用いた異常検知はCLIP(Contrastive Language-Image Pretraining)をベースにしているモデルがあり、テキストと画像のモダリティのみ対応していた。また、プロンプトエンジニアリングなど、人のインプットによる精度のばらつきが大きかった。
提案手法では、表形式や画像など複数のモダリティやデータの種類に異常検知を適用できるようにしている。特に、画像のゼロショット推論による異常検知とセグメンテーションでは、従来手法を大きく超える精度を達成している。
3. 実現方法
まず、メタ学習として複数のクラスを学習する。
ここで、バッチ正規化(BN: Batch Normalization)に着目すると、ミニバッチの中のすべてのデータを自動的に平均してくれるため、バッチレベルで何のクラスなのかを予測するのに利用する。
メタ学習で学習されたクラスの分布から、分布の中心部分はバッチ正規化で取得できるため、未知のデータ種類に対しても同様に分布の中心を求め異常検知ができるように一般化している。
4. 結果
表形式のデータにおける異常検知、画像のクラスに対する異常検知、画像のピクセルレベルでの異常検知のそれぞれのタスクで評価し、従来手法を超える精度を達成している。
Paper URL: https://openreview.net/forum?id=d1wjMBYbP1
last updates: May. 29 2024