言葉は単独では必ずしも意味を正確に伝えられるわけではありません。
その背景や文脈が重要です。
専門用語の多義性
私が最近困っている言葉があります。
それは「デザイン」です。
IT業界では「デザイン」という言葉が、UI/UXデザインやシステム設計を指すことがあります。
特にDXの文脈で「デザイン」の話が出てくると、どっちのことも言ってるような気がしてきます。
よく分からないので調べました。
IPAが出してるデジタルスキル標準にも「デザイン」という言葉が出てきますが、
どうやら 顧客に対する理解を背景に、ユーザー体験向上を目指した「UI/UXデザイン」 として使っているっぽいです。
テキストベースの非同期コミュニケーション
特にコロナ以降、多くの企業においてテキストベースの非同期コミュニケーションを取る機会が増えています。
「非同期コミュニケーション」とは、メールやチャットなどのように、相手から即座に返事が来ることを前提としないコミュニケーション形式のことを指します。
このようなコミュニケーション形式は、時間や場所に制約されず、自分のペースで情報を整理し、相手に伝えることができるという利点があります。
一方で、(ファイル添付もできますが)言葉だけで情報を伝えるため、相手の理解を確認することが難しいという欠点もあります。
特に技術的な内容や専門用語を含む場合、相手の知識レベルや文脈によって誤解が生じやすいため、注意が必要です。
このようなリスクを軽減するためには、抽象的な専門用語にとどめず、具体例を交えて説明を補足するなど、相手の理解を助ける工夫が求められます。
よく言われている「具体⇔抽象」ってやつですね。
専門性の違いによる誤解
リーンキャンバスは、ビジネスモデルを構築するためのフレームワークとして有名です。
リーンキャンバスの細かい説明は抜きますが、私が参画した直近の0→1のプロジェクトでも使われました。諸事情あって、厳密にはリーンキャンバスではないんですが。
しかし、そのプロジェクトのリーンキャンバスは、ほとんど単語だけを箇条書きにしたものでした。
説明の機会もありましたが、私を含めた技術的な知識があるメンバーの間では、「これは酷い」という声が上がっていました。
私は「特に技術的な知識が無いのに、技術的なHowまで書いている」という印象を持っていました。
でも、私はそのままにせず、プロダクトマネジメントの考えに則って、背景となるWhyやWhatを訊こうとしました。
リーンキャンバスを作った方は丁寧な方で、WhyやWhatについてしっかりと説明していただけました。
加えて、こう返ってきました。「あそこにはHowを書いたのではなく、Whatを書いたつもりだった。」
ああ、私も思い込みをしていたんだなと気づかされました。
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化
オフショア開発ではもっと気をつけるべきです。相手のメンタルモデルが大きく異なるからです。
たまたま、最近ベトナムとオフショア開発をしている会社のEM兼テックリードの方とお話する機会がありました。
ベトナムはローコンテクスト文化なのでちゃんと要件を整理して伝えないといけない、という話を聞きました。
いろんな50代以降の方々とも話すことがありますが、傾向としてそういった方々はハイコンテクスト文化に慣れ過ぎているように感じます。
このVUCAの時代において、日本であってもハイコンテクスト文化に頼るのは危険だと感じます。
難しいことではありますが、誤解を避けるために、相手のメンタルモデルを推察し、より明確で具体的な伝達方法を採用することが重要だと思います。