対象読者
- データエンジニア、データアナリスト、ITアーキテクト
- Snowflakeの導入を検討している企業の技術担当者
- コスト最適化やエディション選定に関心のある管理者
説明すること / 説明しないこと
説明すること
- Snowflakeの主要エディションと特徴
- エディション比較表と選定のポイント
- 料金体系(Compute / Storage)と課金モデル
- コスト最適化のベストプラクティスとよくある失敗の回避策
説明しないこと
- Snowflakeの内部実装や暗号化アルゴリズムの詳細
- 他社DWH製品との詳細な料金比較やベンチマーク
- 高度なSQLチューニングやパフォーマンス最適化手法
1. Snowflakeのエディション概要
Snowflakeは、企業の成長段階やセキュリティ要件に応じて複数のエディションを提供し、柔軟な拡張性とガバナンスを実現します。
主なエディションは以下の4つです。
- Standard:基本機能を備えたエントリーレベル
- Enterprise:大規模企業向けの追加機能(マルチクラスタ、90日Time Travelなど)
- Business Critical:高セキュリティ要件に対応(暗号化強化、カラムレベルセキュリティ)
- Virtual Private Snowflake (VPS):専用環境で最高レベルのセキュリティを提供
2. エディション比較表
項目 | Standard | Enterprise | Business Critical | Virtual Private |
---|---|---|---|---|
Time Travel | 1日 | 最大90日 | 最大90日 | 最大90日 |
Fail Safe | 7日 | 7日 | 7日 | 7日 |
マルチクラスタ | × | ○ | ○ | ○ |
カラムレベルセキュリティ | × | ○ | ○ | ○ |
暗号化強化 | ○ | ○ | ○ | データ暗号化 Everywhere |
専用環境 | × | × | × | ○ |
サポート | 標準 | プレミア | プレミア | 拡張 |
3. Snowflakeの料金体系
Snowflakeの料金は Compute(コンピュート) と Storage(ストレージ) の2つで構成されます。料金はクラウドプロバイダーやリージョンにより変動しますが、秒単位課金により柔軟なコスト管理が可能です。
Compute課金
- 単位:Snowflakeクレジット
- 課金方式:秒単位(最小1分)
-
料金例(AWS EUリージョン):
- Standard:$2.70 / クレジット
- Enterprise:$4.00 / クレジット
- Business Critical:$5.40 / クレジット
Storage課金
- オンデマンドストレージ:$40 / TB(月額)
- キャパシティストレージ:$23 / TB(月額)
- 圧縮後のデータサイズで計算
4. コスト最適化のベストプラクティス
-
Auto-Suspendを60秒程度に設定
→ アイドル時間の無駄な課金を防ぎ、コスト効率を最大化 -
キャパシティプランの活用
→ 長期利用が確定している場合は割引を受けられる -
Time Travel期間を最小限に
→ ストレージコストを削減 -
ワークロード別にウェアハウスを分割
→ 不要なスケールアウトを防ぐ
5. よくある失敗と回避策
失敗1:エディション選定ミス
- 問題:Standardで始めたが、マルチクラスタが必要になり再構築
- 回避策:将来のスケーラビリティを考慮し、Enterprise以上を推奨
失敗2:Time Travelを90日に設定してストレージコスト増
-
回避策:開発環境は
TRANSIENT
テーブルを利用し、Time Travelを短縮
6. サンプルSQL:コスト管理
-- ウェアハウスのクレジット使用量を確認
SELECT WAREHOUSE_NAME, SUM(CREDITS_USED)
FROM SNOWFLAKE.ACCOUNT_USAGE.WAREHOUSE_METERING_HISTORY
WHERE START_TIME >= DATEADD('day', -7, CURRENT_TIMESTAMP())
GROUP BY WAREHOUSE_NAME;
7. 次回予告
次回は 「Snowflakeでのデータロード戦略」 を解説します。
COPYコマンド、Snowpipe、ステージの使い分けを詳しく紹介します。