はじめに
既にご存じの方も多いとは思いますが、Oracle社が提供する OCI (Oracle Cloud Infrastructure) というクラウドがあります。最近かなり知名度を上げてきていて、今後3大クラウドに迫ってくることは間違いないかと思いますため、いろいろ調べて見ましたのでご紹介いたします。
OCI(Oracle Cloud Infrastructure) の特徴
OCIは、AWSやGoogleCloud、Azureなどに続く比較的後発のクラウドであり、低レイテンシーのネットワークなど、後発だからこその工夫がされているのが特徴となります。また言うまでもなく、Oracle データベースの提供元ですので、Exadata を含む Oracle 製品のサポートが大きな特徴となります。他にも VMware の完全な管理者権限(ルート権限)をお客様に提供していることにより、オンプレミスからの移行が行いやすかったりといった特徴があります。
インフラストラクチャ
一言で言うと、いわゆる3大クラウドでできることはほぼサポートしている、ということになりますが、以下にそれぞれについて紹介いたします。
コンピュート(VM)
いわゆる VM です。2025年5月においては、AMDプロセッサ、IntelプロセッサおよびArmベースのプロセッサから選択できます。またフレキシブル・シェイプという、VMの起動時またはサイズ変更時にOCPU数およびメモリー容量をカスタマイズできる選択肢もあり、柔軟性の高い構成が実現できます。
また、自動スケーリング機能を使用して、CPU使用率などの条件に基づいてインスタンスの数を自動的に調整することもできます。
ストレージ
①オブジェクト・ストレージ
データの格納、共有、管理を容易にする、リージョン全体で可用性を提供するストレージ・サービスです。
②ブロック・ボリューム
データベースなどの永続データを格納するために使用できる、高パフォーマンスで耐久性のあるストレージ・ボリュームを提供します。別のリージョンにレプリケートしたり、バックアップをコピーすることで、ソース・リージョンでリージョン全体の障害が発生した場合でも、リージョンでアプリケーションとデータを迅速に復元できます。
③ファイル・ストレージ
ファイル・システム・インターフェースを介してデータにアクセスする必要があるアプリケーションに、スケーラブルなストレージを提供します。
ネットワーキング
①仮想クラウド・ネットワーク(VCN)
Oracle Cloud Infrastructureに設定するプライベートの仮想ネットワークです。ゲートウェイやルート表、セキュリティ・リストをアタッチして、ルーティングとセキュリティのルールを指定できます。低レイテンシーを売りとするネットワークです。
②Webアプリケーション・アクセラレーション
HTTPレスポンスのキャッシングと圧縮を行い、Webアプリケーションのアクセラレーションができます。
③顧客接続性
サイト間VPN、専用接続(FastConnect)などオンプレミス・ネットワークと仮想クラウド・ネットワーク(VCN)を安全に接続します。
データベース
①Oracle Base Database Service
単一インスタンスまたは2ノードのRACの仮想マシンで、サポートされているすべてのOracleデータベース・バージョンを実行できます。プロビジョニング、パッチ適用、バックアップ、ディザスタリカバリなどのクラウド自動化が可能です。
②Exadata Database Service
ミッションクリティカルなOLTPおよび分析ワークロード向けの、Oracle Databaseを実行するための最も高性能で利用しやすいプラットフォームです。
③Autonomous Database
データベース・スタック全体を自動化するフルマネージド・データベースです。 プロビジョニング、構成、チューニング、パッチ適用、アップグレード、障害処理、セキュリティなどを自動化します。
コンテナ、サーバレスなど
①コンテナ/Kubernetes
いわゆるコンテナや Kubernetes についてもサポートしています。
・Oracle Cloud Infrastructure Registry (OCIR):AWSで言うところのECR
・コンテナ・インスタンス:AWSで言うところのFargate(ECSのようなコンテナオーケストレーション機能はなく、コンテナを動かせるだけ)
・Oracle Kubernetes Engine (OKE):AWSで言うところのEKS
②サーバーレス
Functions
サーバーの管理やインフラストラクチャの処理を行うことなく、コードを実行できるサーバーレス・コンピューティング・サービスです。 イベントに応答してコードを実行したり、APIのバックエンドとして使用したりできます。
③その他
API Gateway:フルマネージド、スケーラブル、高可用性のサービスであり、APIを簡単に作成、公開、保護、運用できます。APIの認証、リクエスト制限、ルーティング、リクエスト検証、リクエスト/レスポンスの変換、レスポンス・キャッシング、カスタム・ドメインなどの機能を提供します。
Streaming:リアルタイムのストリーミング・データの取り込みと処理のための、スケーラブルでフルマネージドなサービスです。Apache Kafkaと互換性があり、フォールト・トレラントで水平方向に拡張できます。
Events:OCIサービスおよびアプリケーションで発生するイベントを、リアルタイムで取得、処理、応答できます。イベントを使用して、通知の送信、Functionsのトリガー、Streamingへのデータの送信などのアクションを実行できます。
管理と自動化
①Infrastructure as Code (IaC)
Terraformを使用して、OCIリソースのプロビジョニングと管理を自動化できます。 これにより、インフラストラクチャをコードとして定義し、バージョン管理システムで管理し、反復可能な方法でデプロイできます。
②OCI Resource Manager
Terraformを使用してOCIリソースをプロビジョニング、管理、自動化できます。 リソース・マネージャは、Terraformスタックのライフサイクル全体を管理します。
③OCI DevOps
コードのビルド、テスト、デプロイを自動化する、フルマネージドの継続的インテグレーションおよび継続的デリバリー(CI/CD)プラットフォームです。
セキュリティ
①Identity and Access Management (IAM)
OCIリソースへのアクセスを制御するための、きめ細かいポリシーを定義できます。
②セキュリティ・リストとネットワーク・セキュリティ・グループ(NSG)
VCN内のネットワーク・トラフィックを制御するための、ルールを定義できます。
③Web Application Firewall (WAF)
Webアプリケーションを悪意のある攻撃や不要なトラフィックから保護できます。
監視、通知
①Monitoring
OCIリソースのパフォーマンスと状態を監視できます。
②Logging
OCIサービスおよびアプリケーションのログを収集、保存、分析できます。
③Notifications
イベントが発生したときに、電子メール、SMS などのさまざまなチャネルを介して通知を受信できます。
まとめ
今回は概要までとなりますが、既存の3大クラウドに引けを取らない機能を持ち、想像を超える完成度であり、AI などの分野でも活用できそうです。今後インフラの構築や AI の具体的な使い方など、詳しい情報をお伝えしていきたいと思います。