1. はじめに
Google Cloud Next 2025が、8月5日、6日に東京ビッグサイトにて開催されました。Google Cloud Next は Google Cloud の年次カンファレンスであり、最新のクラウドコンピューティング技術、ソリューション、イノベーションが披露される場となりました。今年のイベントは、AIがクラウドのあらゆるレイヤーに深く浸透し、ビジネスのあり方が根本から変わっていく未来を強く感じました。
本記事では、主に2日目の基調講演での話題を中心にご紹介いたします。
2. AIを支える基盤:インフラストラクチャの革新
AIワークロードのパフォーマンスを最大化するため、Google Cloudは基盤となるインフラを大幅に強化しました。
フルスタックAIを支えるハードウェア
- 第7世代TPU「Ironwood」: 推論に特化した初のTPU。フルポッドで驚異の 42.5 Exaflops を達成し、大規模AIモデルの推論を高速化。
- NVIDIA GPUの強化: NVIDIAの最新GPU(B200、GB200)や次世代Vera Rubin GPUも提供予定。
- Cluster Director: 大量の TPU や GPU を統合的に管理する新ツール。
超高速ストレージとネットワークの登場
- Hyperdisk Exapools: エクサバイト級の容量とテラバイト/秒の性能を持つブロックストレージ。
- Storage Anywhere Cache: AIアクセラレータの近くにデータをインテリジェントに保持し、ストレージレイテンシを最大70%削減。
- Rapid Storage: 低レイテンシのゾーンオブジェクトストレージ。
3. 開発者とビジネスユーザーをつなぐAIエージェント
AIをより身近なものにするため、エージェント技術の民主化が進んでいます。
- Gemini CLI: ターミナルから直接Geminiの機能を利用できるオープンソースのAIエージェント。開発ワークフローを効率化
- Agent Development Kit (ADK) と Agent2Agent (A2A): エージェント開発を加速するフレームワークと、異なるエージェントが相互に通信するためのオープンなプロトコル
- Google Agentspace: 非エンジニアでもAIエージェントを作成・管理できるノーコードインターフェース
4. データとAIの融合:分析基盤の進化
データ管理と分析の領域でもAIの統合が進み、データから迅速に価値を引き出すための新機能が多数発表されました。
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BigQueryのAI機能強化:
- 自動エンベディング生成とベクトル検索: BigQuery内でデータのベクトル化とインデックス作成が自動化され、RAG(Retrieval-Augmented Generation)や類似性検索が容易に
- Lightning Engine for Apache Spark: オープンソース版より最大4倍高速 なSpark処理エンジン。データ分析ワークロードのパフォーマンスを大幅に向上
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Spanner/AlloyDBの強化:
- Spannerの全文検索: 外部の検索エンジンを使わずに、Spanner内でリアルタイムかつ高精度な検索が可能
- AlloyDBの適応型フィルタリング: ベクトル検索の性能と品質を向上させ、マルチモーダル検索をサポート
5. AIで守るセキュリティ
AIは脅威からシステムを守るセキュリティ分野でも中心的な役割を担う時代に。
- Gemini in Security: セキュリティツール群(Google SecOps、Mandiantなど)をAIで統合し、脅威インテリジェンスとセキュリティ運用を強化
- セキュリティAIエージェント: アラートトリアージエージェント や 動的な調査 を行うエージェントが、セキュリティ運用の効率化と迅速な脅威対応を支援
6. 顧客事例
セブンイレブン・ジャパンにおいて、全ストアコンピュータをGoogle Cloudに移行。BigQuery、Spanner、AlloyDBを活用し、圧倒的な信頼性と柔軟性を実現。
6. まとめ
Google Cloud Next 2025は、AIがAIエージェントに進化し、一般的な業務、生活にも浸透し、誰もが活用できる時代が来ることを強く感じました。今後の Google Cloud の進化に注目したいと思います。