はじめに
みなさんは基板設計ソフトは何を使っていますか?
最近は様々な選択肢があるかと思いますが、KiCADで基板設計をされている方が多いのかなと思います。
自分が所属する東京農工大学ロボット研究会R.U.Rでは、Altium Designerというソフトを用いて基板設計を行っています。
多分国内では使用している人が少ないのと、ネットに日本語の記事があまり転がってないので今回はAltiumの紹介をしていこうかなと。
また、Altiumで設計した基板をJLCPCBのPCBAサービスで作ってもらったのでそちらの紹介もしようと思います。
(記事が長くなりすぎるので詳細な使い方などは割愛します。ごめんなさい...。多分他の基板CADソフトの使用経験があればすんなり使えると思います。)
東京農工大学ロボット研究会R.U.RではJLCPCB様に基板製作費用の一部をご支援頂いております。
この場を借りてお礼申し上げます。
JLCPCBの紹介
ロボコンで回路作ってる人にはお馴染みだと思いますが、一応紹介します。
JLCPCBは中国に本社を置く企業で、世界中で180以上もの国や地域との取引実績を持っており、年間のPCB製造数は600万枚を超える企業です。個人で基板発注を行うことができる数少ない会社の一つであり、WEBで見積もりが完結することや、国内の企業に比べて非常に安価な価格で基板を作ることができる点が特徴です。
いつもお世話になっております!ありがとうございます!
Altiumとは?
Altium Designerはアメリカの企業のAltium Limitedが提供する基板設計ソフトウェアです。
最近ルネサスに買収されたらしい。
学生であればライセンスがもらえます。
これだけだと他の基板設計ソフトと何も変わらないのですが、Altiumの特徴として、クラウドベースで設計データや部品ライブラリを管理できるAltium365の存在が挙げられます。
これを使うことで、基板を設計した後に設計データを自分のワークスペースにアップロードし、ブラウザで設計データの確認をすることや他のPCで設計データをワークスペースから持ってきて設計の続きをすることもできちゃいます。また、ライブラリの管理もクラウドベースで行うことができます。
KiCADなどでは自分が作成した設計データや部品ライブラリをgithubなどに挙げて管理している人もいるのではないでしょうか?Altiumではその手間が無くなるので快適に基板設計ができます。
Altiumのメリット・デメリット
メリット
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設計データ、部品ライブラリの共有が容易
主にロボコンをやっている団体などでは、自分が設計した基板を他の人に見てもらい、フィードバックをもらうことが重要だったり、よく使うICのシンボルやフットプリントをサークル内で共有しておきたい場面が多いと思います。
弊部では、部のワークスペースに回路班のメンバーを招待して、部で作った基板やライブラリを共有する形にしているため、ダブルチェックが容易に行えたり、作成したライブラリのチェックも行えるため基板の設計ミスが起こりにくくなっています。 -
バージョン管理ができる。
中でgitが走ってて勝手にバージョン管理してくれます。
KiCADとかEAGLEとかで同じ事をしようとしたら、githubなどに.schや.brdファイルを手動で挙げることになるんじゃないでしょうか(自分が昔そうやってた。他の方法あるのかな?)
画像みたいな感じで、最初に発注したバージョンをv1.0.0としてリリース、その後に色々修正を加えてv2.0.0を発注...みたいな使い方ができます。
前のバージョンの回路図や配線を見たいときにはv1.0.0のリリースを参照すればいいです。
デメリット
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重い
設計ソフトが結構重いです。KiCADは立ち上げた瞬間に起動すると思いますが、Altium君は1分くらい待たないと起動してくれません。起動時以外でも様々な動作でラグがある印象です。 -
日本語文献が全然ない
日本のユーザーが少ないため、ネットで検索しても全然ヒットしません。自分はサークル内での知見を活用してすんなり使えましたが、そういうのがないときついかも
Altiumで設計した基板をJLCPCBに投げる。
ガーバーデータの出力
ネット上探してもAltiumで設計したデータをJLCPCBに投げる方法を書いてる人がいなさそうだったんで雑なんですが書いてみます。
まずファイル > 製造用データ出力 > Gerber Files をクリック
こんな感じの画面が出てきて出力したいファイルを選択します。
多分デフォルトでチェック付いてるものだけでよかったはず。
4層基板にするんだったら内層分のレイヤーもお忘れなく。
Applyをクリックするとファイルが生成されます。プロジェクトフォルダ下にProject Outputs for ~ みたいなフォルダができており、その中に生成されたファイル一式が入っています。
次にドリルデータ(.txt)を生成します。
PCBエディタ上で ファイル > 製造用データ出力 > NC Drill Filesをクリック
下の様な画面が出てくるので画像と同じ設定にしてOKをクリック
これでドリルデータの出力ができました。プロジェクトフォルダ下のProject Outputs for ~ みたいなフォルダ内に入っています。
以上でガーバーデータの出力は終わりです。必要なファイルを圧縮してJLCPCBのサイトで発注できます。
BOM、CPLデータの出力
PCBAを利用するためにはBOMとCPLデータが必要ですね。こちらの方法も紹介します。
まずはBOMの出力から
レポート > Bill of Materials をクリック
こんな画面が出てくるので、以下の列を選択
Properties > GeneralからExport Optionsを変更し、MS-ExcelもしくはCSVを選択(PCにExcelが入ってないと.xlsx形式では出力してくれない)
Exportをクリックすると出力されます。
続いてCPLの出力を行います。
ファイル > 実装用データ出力 > Generates pick and place files
BOMの時と同様に、表示する列名を選択します。表示する列名は
- Designator
- Layer
- Center-X
- Center-Y
- Rotation
出力設定の単位をメートル系に、データ形式をCSVに変更します。
設定後は画像のようになります。
OKをクリックすると出力されます。プロジェクトフォルダ/Project Outputs for プロジェクト名/に出力されます(Pick and Place for ~.csv)
届いた基板
実際に届いた基板はこんなかんじ
発注から10日程で届きました。今回はPCBAで頼んでるので通常のPCBの時よりも時間がかかったかなといった印象。
設計ミスがあって一発では動作しなかったのですが、ちょっと修正したら動作しました。
リフローの精度なども問題なかったです。
むしろ問題あったのは自分で半田付けした部分でした。やめようかな半田付け
ちなみに、この基板のPCBAの価格はこのくらいでした。
日本円で20000円程度。円高ヤバすぎ。
高い気がしますが、ほとんど部品代です。今回はPCBAで頼んだ部品の中にそこそこ高い部品が入ってたのでこのくらいの値段になってますが、それこそチップ抵抗とかチップコンデンサだけ付ける場合にはかなり安くなるんじゃないでしょうか。
さいごに
Altiumの紹介をしたいのかJLCPCBの紹介をしたいのかよくわからない記事になってしまいました。すみません。。。
個人的にAltiumはものづくり系コンテストに出ている学生団体とは相性がいいんじゃないかなと思います。気になったら使ってみてね。
また、今回の基板はJLCPCB様に発注させていただきました。いつもありがとうございます!