部下のコンテキストスイッチを防ぐための上長としての振るまい
概要
部下のコンテキストスイッチを防ぐための上長としての振るまいについて
コンテキストスイッチの重要性については、自分自身のパフォーマンスを発揮する,と言う意味では
理解出来ているつもりなのですが、自分の部下・後輩に対してきちんと配慮できているだろうか、
という点が曖昧だったので整理しました。
コンテキストスイッチ
システム開発は集中して頭を使います。
そのため、設計中やバグの原因について検討している最中などに話しかけられたりすると、
そこまでの思考をやり直す必要が出てしまいます。
設計を熟考中
=>上長からの割り込み指示
=>上長から受けた指示を実行
=>上長への報告
=>設計について考えていた内容を思い出す
=>ようやく元の設計に復帰
と思考のコンテキストスイッチが発生することによるロスがあります。
割り込みの時間が長いほど、復帰までの時間が多く必要になります。
上長からの割り込み
会社やチームの風土にもよるでしょうが、一般的には部下のほうが上長からの
割り込みを断りにくいはずです。
そのため、部下が本当は
「集中できないので割り込みを少し抑えてもらいたい」
と思っていたとしても意見出来ずに我慢している可能性があります。
上長として行うべきこと:コンテキストスイッチの弊害を共有する
まず、部下とコンテキストスイッチに関する考え方を共有します。
「システム開発において、集中することが重要であり後輩のためにも自分は集中を妨げたくないので
割り込まれたくない場合は、遠慮せずに
『今○○の作業に集中しているので、XX分後でもよろしいでしょうか?』
みたいに、断っていいよ。
その時はどのくらい時間がたてば対応可能になるか、大体でいいから教えてね。
本当に急いで対応してもらうときは、その旨を伝えるので今の作業のメモでも残しておいて、
対応をお願いするよ。
私に対して質問や依頼がある場合も同じような基準で対応してもらえると、おいさん嬉しいな。」
考え方自体を教えることで部下が自分に接する際も
この点を考慮してもらえることになるメリットがあります。
上長として行うべきこと:電話・メール・会議への対応
これは、対部下に限ったことではないのですが、
電話、メール、会議の割り込みを最小化することです。
特に、
- メールやコミュニケーションツールなどの選定
- ワークフローの決定
- 会議の参加者の選定
について意見を通したり、決定権を持たない相手はこれらを自分で
コントロールできないため、なおさら配慮が必要です。
1日100通以上のメールや、発言しない人も呼ばれる長時間の会議、
などは異常なものであり、生産性を下げていることを自覚すべきです。
上長として行うべきこと:雰囲気づくり
汚い言葉や、叱り声が常時響くような現場は集中量を阻害します。
高圧的に振る舞っていると、部下たちが改善すべき点に気付いても声をあげることができません。
心地よく集中できて、カジュアルに改善の提案ができる雰囲気づくりは重要です。
上長の目線では気づかなかった思いもよらない良い改善案が出てくることもあるものです。
その芽を摘んではなりません。
具体例
改善前
※ フィクションです
部下 新垣__:カタカタ方・・・・ここの設計はこのパターンを使って・・・
上司 佐村河内:「新垣君!あの譜面・・じゃなくて、あの資料の中から 'ゴーストライター' というワードが何件あるか抽出しておいて!」
部下 新垣__:「え?あ、はい。(・・うわ・・・設計方法がまとまりそうだったのに・・)」
部下 新垣__:(仕方ない、最低限のメモだけ残しておこう)カキカキ
上司 佐村河内:「早くしたまえ!ほんとに君は仕事が遅いな!私が若いころは・・・云々・・・」
部下 新垣__:イラッ
:
: しばらく経過
:
部下 新垣__:「ようやくサムラッチの割り込みへの対応が終わった。。。」
部下 新垣__:「設計内容をすっかり忘れてしまったのでメモを見ながら思い出すか・・・」
上司 佐村河内:「新垣君!あの資料の中から 'ブラフ' というワードが何件あるか抽出しておいて!」
部下 新垣__:「あの、今ちょっと自分の作業に集中してまして、もし優先度が高くないのであれば・・」
上司 佐村河内:話に割り込んで
上司 佐村河内:「・・・え?(高圧的に聞こえないふり)」
部下 新垣__:「はーい、すぐやりまーす・・・(都合の良いときだけ聞こえないふりしやがって・・)」
改善後
: 事前にコンテキストスイッチの重要性について共有してある
:
上司 ゴンさん___:「パラディナイトくん、頼みたいことがあるんだけど今大丈夫かい?」
部下 パラディナイト:「申し訳ありません、ゴンさん。今設計に集中しているので急ぎの内容でなければ」
部下 パラディナイト:「きりが良くなってからこちらからお知らせするので、それでもよろしいでしょうか?」
部下 パラディナイト:「だいたい、30分後くらいにはきりが良くなると思います」
上司 ゴンさん___:「うん、いいよいいよ。待ってるね。」
:
: 30分経過
:
部下 パラディナイト:「ふー、ようやくきりが良くなった。」
部下 パラディナイト:「でも今はゴンさんがとても忙しそうなので、もう少し落ち着いてそうなときに報告しよう。」
部下 パラディナイト:「まずはBTSのチケットのステータスを最新化しよう。」
部下 パラディナイト:「これで、もし急にゴンさんの手が空いた場合は報告前に気づいてもらえるだろう」
:
部下 パラディナイト:「ゴンさん!先ほどの件ですが、対応完了致しました。」
部下 パラディナイト:・・・以降報告内容
上司 ゴンさん___:「ボ」 ※意味は無い
その他の工夫
YES・NOまくら的な発想
ポモドーロ・テクニックという集中して作業するための手法があります。
ポモドーロ・テクニックは25分の集中と5分の休憩を繰り返すことで
集中力を保つテクニックですが、このテクニックでポモドーロ型のタイマーを利用する
もう一つの利点があるそうです。
ポモドーロ・テクニックの考案者は、ポモドーロタイマーがカチカチと動いているときは、
集中していて、タイマーが鳴ったら話しかけてもよい、ということを
周りに知らせる効果も活用しているそうです。
現実の職場でタイマーの音をカチカチ鳴らすのはなかなか許容されないかもしれませんが、
自分が集中している or 今なら話しかけても良いよ という二つの状態を知らせる
フラグ的な目印を作るといいかもしれませんね。
チーム内で共有できる「集中するための目印ルール」とでも言いましょうか。
例えば
- チャットアプリケーションを「取り込み中」ステータスにする
- 実装の帽子をかぶる(from eXtreme Programming)
など。
以下、似たような話ですが上長・部下に限らず集中に関する話をまとめて寄稿した記事です。
【システム開発と集中力】ゾーン!フロー!俺最強!カタカタカタッ…ッターン!ドヤァ ( ´ー`)
https://codeiq.jp/magazine/2014/06/11368/