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JavaScript複雑度の閾値チェック

Last updated at Posted at 2018-05-18

背景

JavaScriptコードのメトリクス測定がしたい。

JSでコードメトリクスといえば、Platoという優秀なビジュアライズツールがある。

しかし、それすら見に行かなくてもいいようにしたい。

具体的には、複雑度が閾値を超えるコードがpushされてきたら、CIが警告してくれるようにしたい。

使用するパッケージ

complexity-report

complexity-reportとは

CLIで複雑度計測。オプションで閾値チェックが可能。

インストール

npm install complexity-report --save-dev

実行

node ./node_modules/complexity-report/src/index.js <JSディレクトリまでのパス>

Platoとの併用

結論から言うと問題ない。

レポート生成と閾値チェックは異なるパッケージを用いることになってしまう。

とはいえ、Platoとcomplexity-reportはどちらも複雑度の計算にexcomplexというモジュールを利用しており、結果の整合性は問題ないはず。

依存関係をざっくり描くと以下の通り。

image.png

バージョンは以下のようになっている。

$ npm list --depth=0
...
├── complexity-report@2.0.0-alpha
...
├── plato@1.7.0
...

監視する複雑度

Cyclomatic Complexity(循環的複雑度)

概要

if, forなど条件分岐がどれだけあるかによって計算される

参考リンク

下限

0

上限

なし

閾値

こちらを参考に、メソッド毎に10を超えないようにした。
image.png

Maintainability Index

参考リンク

下限

0

上限

100

※ただし、この値はマイクロソフトが0から100に正規化した計算式を利用した場合のレンジであり、元の計算式はマイナス無限大から171までの数値で表される。
※Platoは正規化した式でMaintainabilityを算出している。complexity-reportはどちらの式を使用するかオプションで選択できる。

概要

保守性。

SLOC(ステップ数)、Cyclomatic Complexity、Halstead Volume(後述)から算出される総合的な保守性。

Visual Studioではこれを利用して保守性を判断してくれる。その際の基準値は以下の通り。

image.png

あるいは http://www.ecs.csun.edu/~rlingard/comp589/ColemanPaper.pdf の論文では38〜49(原著では正規化前の値で65から85)となっている。

閾値

ファイル毎に50を超えないようにした。

監視しなかった複雑度

Halstead Difficulty

参考リンク

下限

0

上限

なし

概要

難易度。

学習コストや実装コストの観点から算出される値。演算子や変数の種類と総数から計算される。

いくつ以上が何というものではなく、閾値の基準設定が難しかったので採用を見送った。

実際使用しているコマンド

$ node ./node_modules/complexity-report/src/index.js -n -C 10 -M 50 <JSディレクトリまでのパス>

オプションの説明

-n, --newmi                           use the Microsoft-variant maintainability index (scale of 0 to 100)
-M, --minmi <maintainability index>   specify the per-module maintainability index threshold
-C, --maxcyc <cyclomatic complexity>  specify the per-function cyclomatic complexity threshold

Platoはnewmiを使っているので、数値を合わせたい場合はnオプションが必要。

CI連携

今回の目的。

コードは省略。

CircleCIで上記のコマンドを叩いてやれば、閾値判定でジョブを成功させたり失敗させたりできる。

実際の運用

  1. push時にCIのコンテナが上記のコマンドを叩く
  2. 成功/失敗の判定をSlackやGitHubに通知
  3. 失敗したら成功するようにリファクタリングする

まとめ

JSコードメトリクスの閾値チェック

  • complexity-reportのインストール
  • CIジョブ追加: push時に実行
  • 失敗条件: Cyclomatic Complexityが11を超える関数またはMaintainability Indexが50を下回るファイルが検出された場合

JSのコードメトリクスのビジュアライズ

  • Platoを使用
  • CIジョブ追加: masterマージ時にレポートを生成

今回は、ES5コードで使用しているけれど、全く同じ手順でES6でも使用できるはず。

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