こんにちは、自社サービスの会社でエンジニアをしています。
先日AWSの初学者向けイベント「AWS JumpStart2025」に参加してきましたが、その内容がとても素晴らしかったので皆さんにも是非お勧めしたいなと思います。
AWS JumpStartとは
AWS JumpStart は、新卒を含む AWS 初学者のエンジニアを対象とした、クラウドネイティブなテックリード人材を育成するための第一歩となる実践的な研修プログラムです。事前学習用動画と 2 日間の集中的なオンラインワークショップを通して、皆様の AWS に対する理解度を一気に引き上げることを目的としています。
説明にありますが、EC2等の構築ハンズオンや設計演習を通じてまさにAWSのシステム設計の一丁目一番地を学べるプログラムです。初学者向けと謳っていますが、実際にはある程度慣れている方も割といらっしゃったように思います。
事前準備
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事前申し込み
参加自体は無料ですが、1週間前(または締切)までの事前申込が必要です。 -
事前学習コンテンツ
事前学習用の動画があります。イベント本編でも簡単におさらいしてくれます。 -
実施環境の準備
ウェビナーはZOOM、連絡はDiscord、課題作成はMiroを使用。事前にZoonとDiscordの接続準備だけできれば良いと思います。作業があるのでスマホはお勧めしません。
タイムスケジュール
2日間の集中講座となっており、初日は座学&各AWS環境の構築ハンズオン、2日目は振り返り&アーキテクティング演習という内容です。

コンテンツ
Day.1
1日目は座学と構築ハンズオンを交互に行う形式の講義です。
AM前半講義(9:30~)
まずは事前学習のおさらいも込めてシステム設計の基本的な考え方のお話。
皆さんがアプリケーションの設計を行うとして、そこには色んな機能の要件について事前に考えると思います。
システムの設計も同じで、フェーズや目的によって描く内容が変わります。

このことを踏まえ、以降のハンズオンパートではプロトタイプフェーズから順に手を動かしながらアーキテクチャの理解を深めていきます。
AMハンズオン(10:30~)
プロトタイプフェーズにおいて大切なのは最低限の環境が安価に利用できることです。ということで、まずは早速これらの環境構築演習が始まりました。

シンプルですが、VPCやセキュリティグループ、EC2インスタンスの立ち上げなど実際に手を動かして行いました。例えHello, World!
でも自分で構築した環境にアクセスできるのは小さな感動ですね。
なお、あくまで初学者向けなのでハンズオンのペースはゆっくりですし、置いてかれそうになったらいつでもチャットで応答してくれるので安心でした。
(ちなみにこのイベントの裏で10名程のSAが質問回答用に待機しているとのこと)
AM後半講義(11:30~)
座学に戻ると、今の構成で近い将来どんな壁に当たるか、という話に変わりました。

簡易的な社内システムでは問題にならずとも、商用サービスでは課題が生じます。
それが可用性とスケーラビリティなのです。
ユーザーが増えれば応答数や処理量の増加でサーバーに負荷がかかりますが、例えばマシンスペックを上げて対応するとしても逐一手動での実行となるでしょう。また、一つの箇所で障害が起きるとたちまち全体が立ち行かなくなるのは大きなリスクです。
こういった管理コストを可能な限り手元に残さずオフロードしていくことが、可用性やスケーラビリティを担保する一つの方法という訳です。
PMハンズオン(13:00~)
AMの講義内容を踏まえ、初日の午後はより実践に近い形の環境の構築を行いました。
午前のシンプルな構築内容と比較すると、単一障害点もなく、コンピュートやDB側にはスケーラビリティを持たせており、あらゆる状況に対応できるようなっていますね。

このハンズオンの中では実際にECSのタスクを1つ停止したり、DBをフェイルオーバーさせる検証なども行い動作を確認しました。
また、CloudWatchのログデータを確認したり、デモ用途に用意されていたアプリケーションに負荷を加えることでメトリクスに観測されるデータの確認にも挑戦しました。
様々な機能のそろうAWSですが、機能利用前の調査段階でも活躍の幅がありそうですね。
Day.2
2日目は1日目の振り返りと、AWSの機能を組み合わせて行う実践的な設計の演習が主な内容でした。個人ワークだけでなく、他の参加者と議論しながら設計を考えます。
AMクイズコーナー(9:30~)
2日目は前日の内容を振り返るクイズから始まりました。クイズはZOOMの投票機能で回答可能なものや考えを記述するものがあり、復習にとても役立ちました。
内容はネタバレになってしまうので取り上げませんが、間違ってもペナルティがある訳ではないのと解説がとても丁寧なので、素直に楽しみながら悩むのが良いと思います。
AM個人ワーク(10:30~)
ここからは、1日目で学んだシステム設計の考え方や与えられた要件をもとに実践的にアーキテクティングを行う演習です。まずは個人で要件に合う設計を行います。
これまたネタバレになってしまうので具体的な要件は取り上げませんが、なかなかユニークな状況の中であらゆる内容について思いを巡らせなければならず、体感ですがここで前日の倍くらい難易度上がったかなという感じでした笑

ちなみにこの時私が一発目に作ったものも恥ずかしいのですが載せておきます。

ちなみにお昼休憩後には運営メンバーに気軽に質問できる時間もあるので、恥ずかしがらずたくさん質問してみるのが良いと思います。
PMグループワーク(13:30~)
予め運営側で決められたチームごとにDiscordのチャンネルに分かれ、ボイチャでグループワークを行います。ワーク内容は個人ワークで作成した設計を元に、要件に合うアーキテクティングを取りまとめ提出するというものです。
私のグループでは私が一番AWSの理解レベルが低かったのですが、とにかくメンバーの方々に恵まれ、なんとかグループの課題を提出することができました。
成果発表・講評(16:30~)
およそ60チームからのグループの課題提出が終わり、この中からいくつかのチームをピックアップしてアーキテクティングの内容や狙いについて発表を行います。
発表は我々のチームではありませんでしたが、選ばれたどのチームの内容もとても素晴らしい設計で、他のチームの発表を聞くのもとても参考になりました。
(てかあの人たち絶対初学者じゃないと思う)
このあと模範解答として運営チームからの設計図も公開され、どの目的でどのどんな構成が組まれているかなど一通り解説が入りました。但し、各機能によって提供される価値は厳密にはトレードオフであり、どの状況でもこれが最善とは限りません。
合理性を覆す事情というものはシステム導入の手前に多数存在します。この点を理解し、守れる限りの可用性を確保していくことが大切なんだろうと思いました。
まとめ・全体振り返り
初日の座学・ハンズオンの講座は進み方がとても丁寧でサポートも手厚いため、私と同じような初学者の方が基礎を身につける最適な機会となるだろうと感じます。
2日目の設計演習もまた知識が広がるのと同時に、グループワークの機会があったことで自分だけでは気付かぬ視点が知れるきっかけとなりました。また議論の中でアイディアがブラッシュアップされていくことの感動もあり、とても有益な機会となりました。
AWSに適度に触れたことはあるものの、踏み込んだ設計の経験がない方や、最新のAWSインフラ設計のスタンダードを踏み固めたい方には迷うことなく受けてほしい講座です。