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VR酔い防止のための真のルール

Last updated at Posted at 2016-10-02

まえがき

VRで酔わないための真のルールはそんなに多くない。これらを守ればワープやステップターンなど不自然な方法を使わなくてもまず酔わないものを作れる。

一般的な「VRで酔わないようにする」話は「酔わなかったこと集」を基礎においているのに対し、ここで紹介するルールは「酔ったこと集」を基礎においてそれらを排除することで作られているので「これを守らなければ酔う」という最低限の、真のルールにより近いものになっている...ハズ...たぶん...きっと...。

根本的なルールとして「挙動を感覚レベルで予測できるようにしておく」を挙げておく。「開発者はテスターとして最悪」というのは開発者は常に挙動を予測できるので非常に酔いにくいからだ。

また、以下のルールは座位を基本とし、移動や旋回はキャラクタ(カメラ)のものである。プレイヤーが現実で移動したり旋回したりすることは含まない。その場合は存分に現実通りにするとよい。

移動

VRにおける移動は前進した時に進む方向(以下:正面)が鍵になる。正面を正しく認識することで移動した時の挙動を予測できるようになり、これが酔いを防ぐ。

常に正面を正しく認識させる

正面が正しくない状態で移動すると移動した瞬間に酔う。正面が正しくない状態で酔わないのはプレイヤー自身が実際に移動する場合と、ワープや自動移動、乗り物に乗っているなどの自発的には視点が移動しない場合だ。

以下に正面を正しく認識させるための方策をいくつか紹介する。

正面マーカー

正しい正面に常に何かを表示しておく。例えば動物に乗っているような状態にして正面に頭が見えているようにしておくのでもいい。乗り物に乗っておくのが簡単だろう。

逆に生身のFPSみたいなものは正面マーカーを表示するゲーム世界におけるイイワケを成立させない限り難しい。旋回で短時間で正面補正してしまい、酔いを感じている時間を減らすという力技も考えうるが...。

正面リセット

ステージ開始時や「正面リセットボタン」が押されたタイミングで現在向いている方位を正面にリセットする。とにかく正面を正しく認識している状況を維持する。

違和感を感じた時点でプレイヤーが自分ですぐに補正できる必要があるので正面リセットボタンがないコンテンツはVR失格と言っていい。

旋回

角速度は加速度より敏感なのでVRにおける旋回は移動より困難だ。

旋回は移動中に

移動すると旋回に対する感覚が鈍くなるのでその間に旋回してしまう。逆に停止時のゆっくりとした旋回は禁忌だ。しかしスナップターンであれば問題はない。

正面補正

移動中に向いている方向に正面を合わせていくことで旋回する。回転の感覚は量にはあまり敏感でない事を利用し、現実でその方向に頭が回転したという状況にVR内の状況変化を合わせることで認識のズレを知覚させない。

この方法は見ている対象を中心とした極座標系に近い挙動になるのでアクションゲームにも適する。横移動に慣れるといい感じにアクションできる。既存の類似する「エイムすると対象を中心に移動」と違ってモードを切り替える必要もない。

ゆっくりとした旋回は避ける

例えば右スティックを左右に入れることでその度合いに比例して旋回というのはよくある操作だが、これは禁忌。ゆっくり回るとすぐ酔う。代わりに「振り向き」と統合してスティックを入れた方向にスナップターンするのがいい。

その他

ヨー軸以外の回転

調査中。ただし椅子自体が動くなどでVR内から現実の体を回転させるなら話は別だが勝手にキャラクタを回転するのはどの軸でも禁忌だ。

ごろ寝VR

例えば上方向を正面とするなどで現実とはずれた基準で問題なく運用できるなら「ごろ寝VR」とも言える怠惰感溢るるシステムを作れる。これも調査中。

巷でVR酔い防止とされているもの

だいたいdisり。

スナップターン

旋回であると完全には認識できないほど高速に旋回することで酔いを防ぐと言い換えることができるだろう。速度としては停まる直前に回転方向を認識できるくらいが良さそうだ。旋回が全く認識されないとプレイヤーが置いてけぼりになってしまう。

バイオハザード7のスナップターンみたいな「左右でx°」では残る誤差に気を取られるし「前で頭が向いている方向」もスナップターン後に視界があらぬ方向を向いている。結果として正面を意識することを強いられ続けてプレゼンスをそがれる。

振り向きと統合して、単純に「右スティックを入れた方向へスナップターン」が良いだろう。

ワープ

中断することでプレゼンスを低下させて酔いを防止すると言い換えることができそうだ。中断によるものなのでアクションと相性が悪い上に移動先の指定に時間と手間がかかり、ワープ単体でもやはりアクションとは相性が非常に悪いだけでなく、面倒と言える領域にまで達している。そもそも顔の向きや視線で指定できるものに対して「手」を使うのはあまりにも不自然だ。

ワープによる移動を用いているコンテンツでは旋回もできないことが多いが俺の首は180度回ったりしない。梟じゃあんめぇし。

そんなわけで立位が前提でありサポートが必要になる以上、個人向けには全く向かない上に面倒だ。なのでこれを採用すると評判が悪化するのは容易に予想できる。

...やめとけ

何より移動そのものではあまり酔わないので不要でもある。

集中線やいわゆるグリッディング

正面マーカーの一種にあたり、正面マーカーとしての効果は大きいが、正面マーカーそれ自体の不自然さはプレゼンスを低下させる。これらはプレゼンス低下の割に合うかどうかは疑問だ。

鼻を表示する

当然鼻は顔に付いているので移動時の正面であるとは限らず、キャラクタの正面マーカーにはならない。何か別のものだろう。

最後に

VR酔いの防止はプレゼンスのコントロールという面もある。何もかもが現実通りなら加速度や角速度も現実通りが要求されてしまうので、都合の悪いプレゼンスを選択的に低下させて感覚を鈍くするワケ。

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