はじめに
こんにちは。
今回はちょっと変わった超入門です。
これまでは、プログラマブルなものだけにフォーカスしてきましたが、今回は開発以外のシーンを見据えた記事です。
ITと聞くと、未だに「プログラムを書く人」というイメージが強いようですが、結構書類を書くことって多いものです。
新規に導入したマニュアルから、報告書、契約書などがそうですね。
報告書や契約書などはテンプレートが決まっている場合も多く、その場合はそれに従うだけでいいのですが、マニュアルなどは新規に書類として作ることが多いと思います。
そんな時、Excelを使っていませんか?
確かに、Excelで作ることもできますが、本来Excelは「表計算」アプリケーションです。
つまり、数表を処理するために使うものであり、「読み物」を作るためのものではないのです。
「読み物」を作るためのアプリケーションはWordに代表される、「文章作成」アプリケーションです。
でも、Wordってよくわからないんです。
数式みたいに数学の時間に見てきたものではなく、出版関係の皆さまのように、読み物の構造や用語を知っているわけでもないのですから。
しかし、そこを乗り越えると、劇的に見やすい書類を作ることができます。
前置きが長くなってしまいましたが、今回はそんな記事です。
ITに身を置いていない人にも役立つ部分もあると思いますので、ITに閉じず、幅広い皆様のお役に立てると幸いです。
作業環境の準備
まずは、書類を書くための作業環境を整えましょう。
Wordを起動、新規から白紙の文書を作成します。
その後、左に「ナビゲーションウィンドウ」が出ていない場合は、「表示」タブからナビゲーションウィンドウを表示させましょう。
試しに書いてみる
当たり前ですが、特に何もせずとも、そのまま文章を書くことができます。
試しに書いてみましょう。
まあ確かに白い紙に書けてはいますが、偏平な分になりますね。
ここからは、それをWordの機能で改善していきます。
空白ページの挿入
操作を誤った時のために、空白ページを作っておきます。
この空白ページを起点として操作することで、失敗しておかしくなっても、最悪ページごと削除すれば戻せます。
当記事内で間違うことはないのですが、癖付けしておくと、何かを試すときに役立つかもしれませんので、当記事でも空白ページを起点として作業していきます。
空白ページは、「挿入」タブの改ページで作りましょう。
新しいページの先頭にしたいところにカーソルを置き、改ページを挿入します。
空白ページが挿入できました。
改ページはCtrl + Enter
でも挿入することができます。
ワンポイント
前述のとおり、失敗したときのために空白ページは置きますが、たまに、作業をしていると、どこか壊れて、どうにもならなくなることがあります。
具体的には、ページの先頭になぜか勝手に改行が入る、文字の幅が広がって戻らない、文書全体が右や左に寄ってしまうなどです。
そんな時は、潔く新しいファイルでやり直しましょう。
その場ですぐ直ることもありますが、四苦八苦した結果、結局もっと壊すことの方が多いです。
終盤でそうなると精神的にかなりまいるので、設定系は書き出しの時点で終えておくように気を付けましょう。
デザイン
作業を続けましょう。
デザインを選ぶ
まずは、デザインを選びます。
Wordには、文書全体に一定のデザインを自動で適用する機能があります。
選べるデザインは、Wordに標準で搭載されているもののほかに、オンラインから選ぶこともでき、自力でデザインを考えなくても、文書全体をきれいにすることができます。
それでは、「デザイン」タブから好きのものを選んでください。
記事上では、色遣いなどが分かりやすいものを使います。
この時点ではわかりにくいのですが、デザインを選んだ時点で文書全体に適用されています。
デザインの調整
選んだデザインを好みに調整します。
先ほど選んだデザインは、行間が広いので、狭めます。
右上の段落の間隔から好きなものを選びます。
狭くなりました。
見出しを作る
文章の章や節の区切りをわかりやすくするために、見出しを作ってアクセントをつけましょう。
見出しに設定する行にカーソルを置き、上の四角いエリアから「見出し」と名前のついているものを選びましょう。
余談ですが、文章は「部章節項」とレベルが小さくなっていきます。
後述しますが、アウトラインを見るに、Wordでは、最大レベルは章から始まることを想定しているようです。
デザインに応じたアクセントが付き、見出しっぽくなりました。
「見出し」の後の数字が大きくなると、「章節項」と小さくなるようにスタイルは設定されています。
引き続き、節と項の見出しを設定します。
見出しを設定していくと、ナビゲーションウィンドウが見出しごとに段をつけて更新されていきます。
配色を変更することもできます。
デザインの配色から好きなものを選びましょう。
青ベースにしてみました。
段落の設定
さて、デザインが決まったところで、文章を書いてみましょう。
書くにあたっては、日本語の文章ですので、段落の初めの行頭は1文字空白を入れたいですね。
自力で改行のたびにスペースを押してもいいのですが、長くなればなるほど面倒なのと、入れ忘れのリスクが高まりますので、Wordにやってもらいましょう。
ちょっとわかりにくいところに、段落を設定するポップアップが出せるボタンがあるので、そこから設定します。
最初の行を字下げに設定しましょう。
OKで戻ってみると、カーソルを置いた段落がの行頭が1文字下がっています。
これ以降は、改行すると勝手に1文字の空白が入るようになります。
すでに書いた他の段落には反映してくれていないので、そこは自力で再設定する必要があります。
先ほど設定した「見出し」のような、「スタイル」に字下げを設定することもできるのですが、意図しないところに波及して面倒なことになる可能性がありますので、初めに文書自体に設定しておいて、それを引き続き使う方が安全です。
本文以外の設定
さて、これで、本文の入力エリアは大分きれいで、便利になりました。
これだけでも、まーぶっちゃけいいんですけど、読み物には他に必要なものがありますよね。
そう、表紙と目次です。
これらも失敗したらやり直したいので、書き始める前に作っておきます。
表紙の挿入
まずは作っておいた先頭の空白ページに移動しましょう。
「挿入」から表紙を選びましょう。
一覧から選ぶと表紙が入ります。
整えるとそれっぽくなります。
目次の挿入
続いて目次です。
また空白ページに移動します。
表紙を作ったことで、空白ページは2ページ目に移動します。
ここでまた余談ですが、「ページ」を表す漢字「頁」ですが、これは「ケツ」と読みます。「コウ」ではありません。
よく「1コウ、2コウ」と読む人がいますが、正しくは「1ケツ、2ケツ」です。
「ページ」と読んでもいいですが、「コウ」と読むと格好悪いので、覚えておきましょう。
それでは続きです。
作業者の視点で見ると、左にナビゲーションウィンドウがあるので必要なく見えますが、紙やPDFに印刷した場合、ナビゲーションウィンドウはありませんので、作っておきましょう。
「参考資料」から、目次を選びます。
選ぶと、見出しに対応した目次が入ります。
この目次は各見出しへのハイパーリンクになっていますので、Ctrlを押しながらクリック
すると、クリックした場所に移動できます。
リンクはPDFに印刷した場合でも機能しますので、かなり便利です。
目次はカーソルのある場所にそのままできるので、空白ページを作っていない場合は、必ず作ってから作業しましょう。
おまけの設定
ここまでくればもう立派な読み物ですので、このまま作業して問題ありません。
ここからは「あればなおよし」のおまけの設定です。
おまけとして、ヘッダーとフッターを整えていきます。
ページ番号の挿入
あると便利なページ番号を挿入します。
ページ番号は「フッター」というエリアに設定します。
文書の下の方の余白をダブルクリックします。
フッターが出てくるので、左上のページ番号から好きなデザインを選び、ページ番号を入れましょう。
ページ番号が入ったらヘッダーとフッターを閉じます。
ページ番号を本文から開始する
このままでも問題はないのですが、表紙と目次をページ番号に含めたくないということもあるでしょう。
そんな時はフッターを本文の初めのページから設定しましょう。
Wordには「セクション」という考え方があり、「セクション」単位でヘッダー、フッターをはじめ、行数とかページの設定などができます。
つまり、この場合、目次の次、つまり本文の最初から新しい「セクション」を始めればいいのです。
では、セクションの作り方です。
まずは、目次の最後の行にカーソルを移動します。
改ページと同じところから、セクション区切りを選びます。
セクション区切りが入りました。
この例ではわかりやすく「編集記号」を表示しているので、見えますが、通常、セクション区切りは見えません。
文章を書く際にスペースやタブや改行など、文字以外の一部の記号を編集記号と言います。
やろうと思えば記号単位で表示、非表示は切り替えられるのですが、編集記号は表示させていると余計な文字が入っているように見えますので、通常はデフォルト以外のものは非表示にしておくのがおすすめです。
話を戻して、セクション区切りです。
先ほどのセクション区切りでちょっと失敗して改ページを巻き込んでしまったので、改ページを削除します。
改ページは「Back Space」で消さないと、なぜか次のページの見出しを消すので注意します。
改ページが削除できたら、余分な改行も削りましょう。
ちなみにDeleteで改ページを消してみます。
なぜか次のページの見出しが壊れます。
またそれましたが、話を戻すと、フッターを見てみると、セクション2となっています。
ここからページ番号を開始します。
しかし、Wordのデフォルトだと、基本的にセクションごとにヘッダー、フッターを定義しなおさなくていいよう、前後のセクションの設定を同じするようになっています。
それを解除して、このセクションのみに設定を施します。
設定を引き継ぐ系のオプションをなくして、ページ番号を設定しましょう。
入りましたが、0ページになっています。
当然ページ番号は1から開始したいので、開始番号を変更します。
ページ番号の初期設定で初期値を変更しましょう。
1ページからになりました。
目次を更新してみます。
セクション区切りに合わせてページが更新されました。
ヘッダーの挿入
ヘッダーには特にほしいものはないのですが、紹介のために社外秘とでも書いておきましょう。
今度は上の方の余白をダブルクリックします。
ヘッダーは特にセクションごとに分けたいことはありませんので、前と同じヘッダー他の選択を変更する必要はありません。
前と同じにするかどうかは、ヘッダーとフッターで別々に設定できます。
章番号の設定
さて、もうこれで完成です。
え?章番号が欲しい?
そんなこだわりさんな読者の方に向けて章番号をつけるところもご案内しましょう。
章番号をつけるには「アウトライン」という機能を使います。
アウトラインは、デフォルトで設定されているものもあり、章や節の単位で段落を落としていく(インデントをつけるとも言います)ような機能もあります。
個人的には、インデントをつけていくと、本文が右寄りになって見にくくなるのであまり好きではありませんが。
アウトラインは、箇条書きの横のボタンから設定します。
選ぶと番号が付きます。
しかし、これだけだと、以降他の見出しに番号がついていませんし、これから見出しを増やしてもつきません。
アウトラインは、章節項に対応する見出しを指定しないと、以降に自動で番号を振ってくれません。
見出しの単位で同じ操作をすれば番号だけは振ることができるのですが、表や図の番号に章番号を含められないなど、不都合が出てくることもしばしばあります。
それを防止すべく、アウトラインに対応する見出しを定義しましょう。
先ほどと同じボタンから、「新しいアウトラインの定義」を選びます。
Wordが提示してくれた選択肢から選んだはずですが、なぜか「アウトラインの更新」ではなく「新しアウトラインの定義」になるようです。
オプションを出し、レベルごとに対応する見出しスタイルを選びます。
大体3つか4つまで設定しておけば十分ですが、ここではキリよく5つまで設定しました。
OKで戻ると、なんと!
番号が!振ううぅぅぅぅぅらあぁぁぁぁぁれえぇぇぇぇてえぇぇぇいぃぃぃるううううう!
が、しかし、ここで、初めの見出しがなぜか「2」からという不都合が発生しています。
これは、目次が邪魔をしてるんですね。
ナビゲーションウィンドウにも現れる始末です。
目次のところにカーソルを持っていくと、スタイルが「見出し1」になっています。
これが原因で目次が「1」になってしまっているようです。
目次を更新すると、なかったはずのものが現れます。
ページ番号とあってないし、邪魔者以外の何物でもありません。
対象外にするには、スタイルを変えるしかないのですが、見た目は変えたくありません。
新しくスタイルを作ってカスタマイズするのは面倒です。
でも、安心してください。
見た目が同じでアウトラインに指定する由もないスタイルを自動生成してくれています。
ありがたく使わせてもらいましょう。
あとは番号を外して目次を更新しましょう。
消えてくれました。
文書の完成
ここまでくれば、ようやく後は内容を書いていくだけですね。
適当に文章を入れてみました。
美しいの読み物になっていますね。
テンプレートの保存
デザインや設定はここまでで完了ですが、ここまでの作業を新しいファイルを作るたびにやるのは面倒ですよね。
その手間を省くために、この設定をテンプレートとして保存しておく機能があります。(テンプレート機能はExcelやPower Pointにもありますが)
最後に、テンプレートの保存方法と使用方法を紹介して超入門の終了としましょう。
名前を付けて保存で、ファイルの種類を「Wordテンプレート」にして任意の場所に保存します。
ファイルは保存しましたが、それだけではWordがテンプレートを読み込んでくれません。
テンプレートを読み込みには、新規のリストから選ぶのですが、選べませんね。
選べるようにするには、個人用テンプレートの保存場所を設定します。
オプションの保存で、個人用テンプレートの場所を設定します。
設定後、Wordを開きなおすと、個人用タブができているので、その中から選びます。
無事に開けました。
ちなみに、保存したテンプレートのファイルをダブルクリックしても、新規文書としてテンプレートを読み込むことができます。
ただ、見て取れるように、テンプレートは保存したときの状態がそのままになります。
今回はそのまま保存しましたが、毎度保存した分を消してから作業に入るのは面倒なので、一度きれいな状態から作成することをオススメします。
おわりに
ここまでで、Word超入門は終了します。
今回は超入門シリーズなので、すべてデフォルトで用意されているものを使用しましたが、途中少しふれたように、デザインであったりスタイルであったり、デフォルトで用意されているものにカスタマイズを加えることもできます。
それはまた別の記事で紹介しますので、興味があれば読んでみてください。
今回は大作になりましたが、最後までお読みくださり、ありがとうございます。
また別の記事でお会いしましょう。