はじめに
Bitmovin 社(以下 Bitmovin)は特定のハードウェアやプラットフォームに縛られないエンコーディングサービスを提供しています。大量の映像素材がある場合、入出力で利用するストレージのコストは気になりますが、Akamai の提供する S3 互換の安価なオブジェクトストレージサービスは一つの候補になります。また、多数のエンドユーザーにコンテンツを配信するには CDN 技術が有効です。本記事は Bitmovin のサービスと連携して Akamai のストレージサービスと CDN を利用する手順についてご紹介します。
設定の流れ
以下の流れで設定を進めます。
- Akamai オブジェクトストレージの設定
- Bitmovin の入出力ストレージ設定
- Akamai CDN の作成
Bitmovin のエンコーディング設定手順は省略します。
1. Akamai オブジェクトストレージの設定
Bucket の作成
上記のリンクからオブジェクトストレージの管理画面にアクセスし、Create Bucket
をクリックします。
Label
と Region
を選択し、Create Bucket
をクリックします。
これで Bucket の作成は完了です。
アクセスキーの作成
第三者が Bucket に直接アクセスできないようにするために、アクセス制限を設定します。
上記のリンクからオブジェクトストレージの管理画面にアクセスし、Create Access Key
をクリックします。
Label
を入力し、Limited Access
を有効化します。
さきほど作成した Bucket のみ Read/Write
とし、Create Access Key
をクリックします。
Access Key と Secret Key が表示されるので、どこかにメモしておいてください。
これでアクセスキーの作成は完了です。
2. Bitmovin の入出力ストレージ設定
Bitmovin の管理画面にアクセスし、Inputs > + Create をクリックします。
上段にストレージサービスの選択メニューがあります。
AKAMAI がありますが、今回はオブジェクトストレージを利用するため、GENERIC_S3
を選択します。
Akamai のオブジェクトストレージは S3 互換のため、このパラメータを指定します。
*がついた項目と、Create also as output
を選択し、Create
をクリックします。
Host
と Bucket Name
はさきほど作成した Bucket の情報を入力してください。
オレンジで囲った部分で Bucket の情報を確認できます。
Access Key
と Secret Key
はさきほどメモした値を入力してください。
項目 | 入力例 |
---|---|
Name | bitmovin |
Host | bitmovin.jp-osa-1.linodeobjects.com |
Access Key | 作成した Access Key |
Secret Key | 作成した Secret Key |
Bucket Name | bitmovin |
これで入出力に利用するストレージ設定は完了です。
3. Akamai CDN の作成
今回はストリーミングに特化した CDN である Adaptive Media Delivery を作成します。
こちらの記事で作成の流れが記載されていますので、修正が必要な部分について記載します。
Origin Server
Origin Server の Origin Server Hostname
と Forward Host Header
を変更します。
項目 | 入力例 |
---|---|
Origin Server Hostname | bitmovin.jp-osa-1.linodeobjects.com |
Forward Host Header | Origin Hostname |
次に Behavior を一つ追加します。
+ Behavior > Standard property behavior をクリックしてください。
左のメニューで Origin Characteristics
を選択し、Insert Behavior
をクリックします。
以下のように Behavior が追加されます。
各パラメータは以下を参考に入力してください。
項目 | 入力例 |
---|---|
Authentication Method | Amazon Web Services |
Encrypted Storage | No |
Access Key ID | 作成した Access Key |
Secret Access Key | 作成した Secret Key |
Region | jp-osa-1 (オブジェクトストレージを作成したリージョン名) |
Hostname (Optional) | bitmovin.jp-osa-1.linodeobjects.com |
Endpoint Service | s3 |
設定を展開したら Akamai CDN の設定は完了です。
これで Bitmovin でエンコードした動画を Akamai CDN を利用して配信できる構成が出来上がりました。
まとめ
今回は Akamai と Bitmovin を連携して利用する方法をご紹介しました。
動画サービスの場合、ストレージの利用量や転送量による課金が重くのしかかってきます。
Akamai のクラウド・コンピューティング・サービスを利用することで安価なオブジェクトストレージによるコスト圧縮と、加えて安定した CDN を利用できます。
ぜひ一度 Akamai のクラウド・コンピューティング・サービスを使ってみてください。
今後について
Akamai と Bitmovin はまもなくエンコーディングの部分でも連携して利用できるようになる予定です。(ただし、変更の可能性があります。)