概要
- 学生や教員が自分の職場メールアドレスを使って個人のGoogleアカウントを取得した場合、それは「個人のGoogleアカウント」です。
- 教師が個人の Google アカウントで作った Classroom には、生徒は学校用アカウントで参加できません。個人の Google アカウントを作って参加しなければなりません。
- 先生、あなたのアカウントはどちらですか?
Googleアカウントには2種類(とちょっと)ある
Googleアカウントには、『個人のGoogleアカウント』と『組織のGoogleアカウント』の2種類があります。
『組織のGoogleアカウント』には、『学校用アカウント』と『G Suiteアカウント』の2種類があります。組織の属性によってちょっと事情が異なるため、区別されているようです。
前者は、個人が自分の操作で作成したGoogleアカウントです。個人が使える電子メールアドレスさえあれば、その電子メールアドレスをユーザーIDとすることで、個人のGoogleアカウントが取れます。つまり学生や教員が自分の職場メールアドレス(G Suiteで発行したものではない)を使って個人のGoogleアカウントを取得した場合、それは「個人のGoogleアカウント」になります。ドメイン名 .ac.jp だろうが .ed.jp だろうが知ったことではありません。
あ、ヤバいですね? と思った人はこの先読まなくても結構です。概ね想像通りの惨事です。
後者の2つは、組織の管理者が発行したGoogleアカウントです。G Suite for Education を利用する認可校が発行したものを、学校用アカウントと呼びます。Education系以外の G Suite を契約した組織が発行したものを、G Suite アカウント と呼びます。いずれも、組織が契約した G Suite サービスに紐づいています。
組織が確保した G Suite 用のドメイン名が、その組織の G Suite アカウント(電子メールアドレス等)のドメイン名になります。公立校の場合、ドメイン名を管理しているであろう各地域の教育委員会の皆様が手を打たないと悲しいことになるようです。 https://twitter.com/kotatsurin/status/1256630270398095360
これらがしっちゃかめっちゃかになった状態の行きつく先が「競合するアカウント」です。Googleの場合は(おそらくG Suiteを契約して組織のGoogleアカウントを既存のメールアドレスで作成しようとしたときに)どちらかを解消する必要があり、まあ常識的だと思います。
https://support.google.com/a/answer/7062710?hl=ja
世の中には競合するアカウントのまま使えてしまうMicrosoftアカウントとかいう恐ろしいサービスがあります。この記事はMicrosoftアカウントでほぼ敷衍できますので挑戦してみてください。いや正直マジでつらい。Outlook365がメール送信専用ツールになる。受信メールは基本届かないが稀にエラーメールとかTeamsのDMが届く(届いてた)。もう意味が分からない。
Google Classroom は参加や共有の制限を同じ組織のアカウントか否かで決める
ここでいま話題のGoogle Classroomについての説明を見てみましょう。
「Classroom のユーザー アカウントについて」
https://support.google.com/edu/classroom/answer/7582372
『他の種類のユーザー アカウントで作成されたクラスに参加するには』が見どころです。
教師が学校用アカウントで作った Classroom には、生徒は学校用アカウントを使って参加できます。個人の Google アカウントでは参加できません。
教師が個人の Google アカウントで作った Classroom には、生徒は学校用アカウントで参加できません。個人の Google アカウントを作って参加しなければなりません。
先生、あなたのアカウントはどちらですか? あと個人のGoogleアカウントはGoogleの情報収集対象ですよ大丈夫ですか?
「プライバシーとセキュリティ センター」
https://edu.google.com/intl/ja_ALL/why-google/privacy-security/
Google Meet はだいぶ緩くなった?
さらに、話題の Google Meet (旧Hangouts Meet)についても確認しておきましょう。
「Meet を設定して遠隔学習を行えるようにする」
https://support.google.com/edu/classroom/answer/9784550
『教師が会議を作成し、学校のドメイン以外のメールアドレスを持つゲストを招待した場合、会議の作成者である教師は、すべての外部ゲストの参加を承認するまで会議にとどまる必要があります。』
「Google Meet を使用するための要件」
https://support.google.com/meet/answer/7317473
『リンクを選択するか会議 ID を入力することで、組織の内外を問わず誰でも参加できます。招待されていない外部の組織での会議に参加するには、その組織内の参加者にリクエストを承認してもらう必要があります。G Suite アカウントにログインしていない場合も、承認を受ける必要があります。』
なんと Meet にゲストとして参加するには、Googleアカウントすら不要となったそうです。個人が Google Meet を使えるようになった関係でしょうか。とはいえ組織アカウントの有無でゲストの扱いが異なることには変わりがありません。本人確認も大変ですものね。Meet参加者の電子メールアドレス一覧を出力出来ればいいのに。csvでいいから。
どうしようもない状況をしのぐためのWebブラウザ使い分け
かくて学生の皆様にとっては、入学したら配られた学校用アカウントと、昔から使っている個人のGoogleアカウント、それだって普段使いでブクマとか履歴とか色々アレなヤツだったりするので、しょうがなく一般人のフリして作ったGoogleアカウントなどが積み重なり、しっちゃかめっちゃかになっていることでしょう。
で、おそらくですが、今後もっとアカウントが増えます。具体的に言うと Microsoftアカウントとか Adobe Creative Cloud とか Wolfram ID とか MathWorks アカウントとか Cisco Webex アカウントとか リクナビID とか ……
でもそれらに共通していることは一つ。「学校で使うアカウントである」ということです。ということは、これらのアカウントを使うときのブラウザを1つに固めてしまえば、「学校で使うことは全てそのブラウザでだけ作業する」という形にまとめてしまえるのです。他のサービスで使うパスワードも、しっかり長く固くつけて、ブラウザに守らせるという手も使えるのです。記憶だけではもはや無理。
そのための機能が Google Chrome にはあります。 Mozilla Firefox にもあります。G Suite for Education のアカウントをお持ちの方は Google Chrome にしてしまったほうが楽なので個人的にはおすすめです。PCであれば、デスクトップにショートカットを作ることが出来るのが大変便利。Chromebook を使うとPCの環境から固めてしまえます。
「Chrome を他のユーザーと共有する」
https://support.google.com/chrome/answer/2364824
なにやら怖い見出しですが、この文章の重要な点はここです。『次の場合はプロフィールの使用をおすすめします。・仕事用と個人用などで別々のアカウントを使用する。』他のユーザー、というよりは、立場の違う自分と共有している、という観点で使うのが良いかと思います。ぜひやり方を読んで実践してみてください。
(そもそも自分が使用する機器をフリーハンドで他人に使われた時点でセキュリティもなにもあったものではありません。その守り方だけは頑張って考えてください。)
ただiPhoneとiPad、古いAndroidの場合はchrome1つでアカウントを切り替えることが出来ないそうなので、そういう場合はfirefoxを併用するとよいでしょう。それでも学校用アカウントで使うアプリのインストールに誘導されてしまうかも知れません。やはり何か別の機器を調達するほうが良い気がします。