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Slackの情報発信効率について (メール・Hangout・Slackの比較)

Last updated at Posted at 2019-09-23

背景と趣旨

今期ようやく弊社もSlackを全社公式に導入しました。やっぱいいですよねー :relaxed:
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導入と活用に関することで、最近たまたま定量的まとめを社内で発表する機会と、社外のインタビューを受ける機会が重なりました。Slackを導入する効果やその進め方について思うところがあったので、せっかくなので外部にも可能な範囲で公開を、と思います。

調子こいてポエム混じりの長文です :yum:

背景

先に言っておくと、数百人規模の人材系サービス企業です。僕の前職はWebなノリのグループ企業の一社でしたので、大きな技術感度のズレを個人的にずっと抱えています。社歴数年の僕に詳しい経緯はわかりませんが、特にコミュニケーションツールの統一はしてこなかったようです。

これまで社内公式にはGoogle HangoutsChat(後にGoogle Hangout)を利用しつつ、子会社はTeamsを使い、外部とのやり取りは無料枠でのSlackやChatworkだったりしていました。それでもこの2年で、エンジニア組織の拡大に成功して、それに比例してSlackを推す声も高まり…。その流れで今期予算がとれたので、時勢が変わらないうちに全社導入しました。

趣旨

本稿では、Slack導入前後における、僕の実際の定量的変化を提示して、その効果性の一面を示そうと思います。また、効果的と思われるSlack活用のスタンスにも触れます。もちろんケースバイケースですが、それでも僕は使い方次第でほとんどのケースで効果は出るはず、と考えています。

特に定量的な計測結果については、導入予算策定時に探したもののしっくり来るものがなく、悶々とさせられたものです。多分ここまではっきり示した事例は、これまで世の中になかったのでは…と密かに:smirk:ドヤってます。多少感度の高い上司に対して、Slackの予算取りや導入推進の根拠の一助にしてもらえると、僕はとてもシアワセです。

情報発信の効率性について

今回僕が示すのは、主にSlackの「情報発信の効率の良さ」についてです。僕は社内では立場がけっこう上なので、コードを書く時間よりも、どの会議で何をどう誰に伝え、そのレスをいつ誰にどう伝えるか…の価値に圧倒的にウエイトがある人です。多方面の組織統制(っぽい)に関するお仕事がメインなので、情報発信は重要タスクのひとつです。人より大量に発信しているので、定量的に効果がわかりやすいと思います。もちろん僕にとっては体感的にもわかりやすい…Slackはラク〜 :smile:

また、多くのユーザーがこの通りにすれば、恐らく「受信」も逆説的に同様になるでしょう。今回は立証しきれませんでしたが、そのうちぜひ…。

メール送信回数の推移

僕はいろいろサマるのが好きです。もっと言うと、そこから要素間のGAPを見て、そこに意味づけすることに興味があります。特に僕のテクニック×立場で得られる独自情報について、そういうことができるとワクワクする性分です。なので、僕は24時間365日のライフログを自分仕様で集計してレポート化してますし、もしかして人事がやるかもしれない、自組織の面談とか評価とか勤怠とかの統計を紐付けて、いろいろ切って独自考察なんかもしてます。

「うわっ…私のメール送信回数、落ちすぎ…?」

って気づいたのは、自分のメール送受信のサマリレポートを眺めているときでした。思い返すと、確かにメールを送信する行為が減っている体感もあります。

入社以降のメール送信回数の推移
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これまでの波には、根拠になるイベントがあったこともわかっています。なので、ここまで減っているのであれば、それにはなにか理由があるはず。今期から減少傾向なので、すぐ「これSlack導入の成果じゃん?」と思いました。けどこれだけでは、メールの送信回数が減少している(=サボっている)だけの根拠です :sweat:

僕は誓ってしっかり仕事をしていますし、勤怠集計やライフログの傾向からもそれは明らかでした。せっかくなので、メールの送信回数は減っているが、情報発信の総量は減っていないことを、定量的に検証する機会にすることにしました。

メール+Hangout+Slackの送信回数の推移

もちろんSlackでのコミュニケーションも別軸でサマリされているので、それを流用してさきほどのグラフに合算。Slack導入前に使っていた、Google Hangout(Chat)の送信回数も集計に加えることにしました。

メール+Hangout+Slackの送信回数の推移
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いままで意識してませんでしたが、思った以上に今までHangoutを使ってきてたみたいです。特に部長就任前、特定のコンテンツ開発の主担当のときは、メールよりHangoutで仕事をしてきたように見えます。感覚的に印象になかった事実に新鮮味を覚えつつ、やっぱり最近送信回数が下がっている根拠にしかならないことにがっかり :anguished:

「こんなにもHangoutが印象に残っていないのは、使い方が軽微だったからでは?」

と思い立ち、別の軸を考えました。合計文字数で見たら、別の傾向が出てくるのでは? 多分チャットで長文は打たないけど、メールではかなりの大長編を書いてる気が…。

メール+Hangout+Slackの送信文字総数の推移

各手段での文字総数で出し直してみました。ちなみに、がんばって正規表現を複数組んで、メールのシグネチャは除外してカウントしています。さっきの印象とはガラっと変わって、Hangoutのプレゼンスがなくなってしまいました。

メール+Hangout+Slackの送信文字総数の推移
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あれだけ送信回数があったのに、文字数でみると激減しています。Slack導入前の僕の情報発信は、ほぼメールによるものだったと言えるでしょう。HangoutとSlackを比較すると、だいぶ差があります。

相変わらず減少している傾向は変わらず…ですが、総量は開発部長時代とほぼ同水準に見えます。これまで可視化してきた波と、少し印象が違うように見えます。体感値的にはこんなもんかな…?

一説には、本一冊がだいたい10万文字〜12万文字という情報もありますから、そもそも文量が多すぎだけどね…。毎月僕は一冊書き上げてるくらい、メールとかチャットで情報発信してるのかも。関係者には、月刊「僕」(?)を強制購読させているわけですね :cold_sweat:

メール Hangout Slack それぞれの送信平均文字数

気になったので送信時の平均文字数の推移を出してみました。

メール Hangout Slack 送信平均文字数
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僕の使い方では

  • メール:180〜200文字
  • Hangout:18〜20文字
  • Slack:80〜90文字

ぐらいが平均のようです。つまり、SlackはメールとHangoutの真ん中くらいの文量ということですね。

メール Hangout Slack それぞれの例文

各送信ごとの文量が出たので、それぞれの平均的な文字数のメッセージを見てみました。

メール Hangout Slack それぞれの例文
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見てみると納得です。Hangoutの送信回数がやたらと多いのは、連投して文章にしていたからですね。

  • メール:趣旨がしっかりした長文、接頭辞・接尾辞付き
  • Hangout:粗雑な短文の連投
  • Slack:趣旨がしっかりした短文、接頭辞・接尾辞無し

ここで疑問。SlackもHangoutも、おなじチャットツールなのに、こんなに文面に差が出ているのはなんでか:question: それは多分、送信対象の「場」が違うからだと考えました。

メール+Hangout+Slackの送信範囲の推移

HangoutとSlackの活用方法の大きな違いは「パブリックチャンネル」でしょう。Hangoutのチャットルームは、基本的にクローズで、Slackの概念で言う「プライベートチャンネル」または「ダイレクトメッセージ」しかありません。まあ一般的なチャットツールはそうであり、ユーザーにとって「パブリックチャンネル」があることは、Slackが持つ世界観を感じさせるものです。

閉じられた狭い場所では雑な短文の連投になり、広く開かれた場ではある程度多くの人が理解できる表現・粒度で書く、ということが起きているわけですね。こういう感度のチューニングを意図することで、Slackではオープンな議論と周知を「より良い状態」として目指せるのに対して、ほかのチャットツールやメールには該当するものがないので、目指せる上位概念がありません。当社でも「パブリックチャンネルでの周知や相談を」エンジニアが中心になって推進する動きがあり、僕の投稿も主に開かれた複数人(または全社員)がいるパブリックチャンネルへ宛てたものになっています。

以上の着想から、情報発信量のもう一つの軸として、送信毎宛先範囲の日次累計を出してみることにしました。

メール+Hangout+Slackの送信範囲の推移
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これを見ると、Slackはメールに匹敵するほど広範囲に及ぶことがわかります。合計すると、今期に入って、過去最高水準の送信範囲だということになります。これは僕のSlackの使い方によるところですが、一定の人数がいるチャンネルへの投稿が、大半を締めているからです。多くの社員が、僕からの何らかのメッセージをSlackまたはメールで、かなりの頻度で受け取っているということになります。

メール Hangout Slackの平均送信範囲

また気になったので、それぞれの送信先の人数を出してみました。チャットはチャンネル/チャットルームに所属しているメンバー数/DMの宛先メンバー数、メールはtoやccの宛先数/宛先グループメールメンバー数の、それぞれ送信毎の平均です。

メール Hangout Slackの平均送信範囲
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メールも何故か最近伸びていますが、それ以上にSlackは広範囲で、今は平均でメールの倍くらいあります。Hangoutは残念で、常に平均は2以下です。これらから想定する僕の情報発信先は…

  • メール:toで担当、ccで1チーム〜1部門宛、というパターンが多い
  • Hangout:ほぼ一人へのDM、せいぜい数名のチャットルームへの投稿
  • Slack:全社横断プロジェクト、または全社へ向けたメッセージも頻繁

立場は一年くらいかわっていないので、ツールの性質(世界観)による影響が大きいと言えるでしょう。

メール+Hangout+Slackの「送信回数×文字数×送信範囲」の推移

さて、送信回数と文字数と送信範囲の3つから考察してきました。原始的ですが、それぞれをかけ合わせることで、僕の情報送信総量の推移とみなせるはずです。

メール+Hangout+Slackの「送信回数×文字数×送信範囲」の推移
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これを見ると、ピークの月には及びませんが、ある程度の水準感は維持されていることがわかります。本部が立ち上がってから、その水準で情報発信がされている状態を維持しています :relaxed:

目立つのはメールの存在感と、逆にHangoutの意味の無さです。Hangoutと同じチャットツールでありながら、しっかり存在感を持っているSlackは、改めて興味深く写ります。この辺から、それぞれのツールの特性を踏まえた活用を推進することで、より効率の良い情報発信がされることが期待されます。

Slackの情報発信効率 まとめ

さて、ここまでのことをまとめてみると、

  1. メール:通数・文量が常時最も多く、送信範囲もまずまず
  2. Hangout:通数はかなり多いが、文量はメールの1/10で最少、送信範囲も最も狭い
  3. Slack:通数・文量はまずまず、送信範囲は最大

というのが僕の使い方の特徴でした。

発信効率の良化

HangoutからSlackに乗り換えたことで、本部発足当時から情報発信総量は維持しつつ、送信文字総数は3万〜4万文字/月程度減っていることがわかります。60文字/分が事務員のひとつのタイピングスピードの基準ということなので、毎月の削減時間は

3〜4万文字 ÷ 60文字(=1分) ≒ 500〜667分 ≒ 8〜11時間

という概算になりますね。毎月1営業日以上の削減がされているとしたら…体感的に少し余裕が感じられるのも納得です :v:

受信効率良化の期待

そして僕の送信の文字数が減るということは、受信側も減っているはずで、組織全体での送受信文字数が減っているということです。一説によると、人は一分間で800文字程度読むらしいので、僕のメッセージを全部読んでいる人がいれば

3〜4万文字 ÷ 800文字(=1分) ≒ 38〜50分

程度の削減時間が毎月期待されます。さすがに全部読んでいる人はいないと思いますが、僕の場合は多数の人が読むことを考えると…数十人〜100人以上の人に、毎月5分〜十数分程度の削減効果をもたらしたのでは、と思います。
※月間「僕」誌も、地味に薄くなったはず

この状態が僕だけではなく、組織全体へも拡がっているとしたら、さらに効果は高いものになるでしょう。この辺はいずれ、もっと突っ込んで検証できそうですね。

効果的な活用スタンスのポイント

ここまでのまとめで、もうおわかりかと思いますが。Slackの特性を活用すれば、自ずとほかのツールとの使い分けがされ、より効果が上がります。結局要点は2つで、

1. チャンネルコミュニケーションを活用する
2. 適切な長さでカジュアルに使う

に尽きるでしょう。参加メンバー数が多いチャンネルへ投げれば、それだけ影響が大きくなります。可読性が担保された程よくカジュアルな文面を投稿することで、敷居が下がって投稿頻度が上がります。この掛け算が広範囲で起こることで、コミュニケーション量が上がるのです。

これはつまり「組織のコミュニケーションの質と量を効率よく上げるために、どんなチャンネルを作ってどう運用すればいいのか」という問いであり、意外とクリエイティブな観点です。チャンネルを適切なスコープ・趣旨で作って維持できるよう、組織内でのコミュニケーション課題を常に意識する姿勢が求められます。その結果、一定人数が日常使いし続けているチャンネルが増加すれば、効率化の狙いは達成されたと言えるでしょう。

また、チャンネルでも「パブリックチャンネル」はSlackの大きな特徴です。趣旨がわかれば、事後だれでも参加できるし、スレッドも遡れます。参加人数が事後も自然増しうるスキームは、効率化の観点からも望ましいと言えます。透明性の指標としても見れますが、より手前からスタートを切る組織は、透明性云々は一旦おいておいて、

  1. チャンネル数増と参加者増 … Slack自体の活用を推進する
  2. チャンネル投稿増とDM投稿減 … 情報総量を増やす
  3. パブリックチャンネル投稿増とプライベートチャンネル投稿減 … コミュニケーション透明性向上

の順で指標化して、常に追って可視化するのが良いと思います。

最後に

以上これらがSlack導入と活用による効果です。いろいろ書きましたが、Slackの導入と活用には、特にすごいテクニックは必要ありません。合理的なルールを作って、それに則った運用をすればいいのです。公開チャンネルにみんなで参加して、中粒程度の情報は全部Slackにして、経緯を定量的に把握してPDCAサイクルを回すだけ。

けど世の中広くて、そういう感度を持っていない人も大量にいます。当たり前の価値が伝わらないのは社会問題なので、少しでも良化する活動に本稿が貢献すればいいなー :innocent:

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