はじめに
3Dプリンタをメインのツールとしてガシガシ使うようになると、印刷できるだけでは満足できなくなります(よね?)。
そこで今回は、今まで採用した創意くふうを一部、説明・公開したいと思います。
品質向上
プラットフォームの変更
(FDM)3Dプリンタのプラットフォームはいくつかありますが、それぞれメリデメがありますが、こんな感じではないでしょうか?
材質 | 定着性 | 剥離性 | 平面度 | 取付方法 |
---|---|---|---|---|
デフォルト (マグネットシート?) |
◎ | ✕ | ✕ | 磁石で貼り付け |
特殊コーティングガラス | ○ | ○ | ◎ | クリップ |
PEI (エアプ) |
◎ | ○ | △ | 磁石 |
デフォルトのシートは、定着性こそ良いものの、あまりにも張り付きすぎて剥がれなくなります。取り外し時に曲がるので外れると思いきや、シートの方がベコベコになって再起不能になりました。最近はPEIを使う人が多いと思いますが、メカ部品を作るので平面度の良いガラスが良いと考えてます(レベリングサボるほうが悪いという説もありますが)。
シックネスゲージ
よく3Dプリンタのノズルとプラットフォームの距離調整は「コピー用紙を挟んで抵抗があるくらい」と言われますが、毎回紙を持ってくるのが面倒ですし、変形するので安定しない気がします。
その対策として、シックネスゲージという専用工具を購入しました(差し込みやすいように曲げてあります)。
これなら何回使っても寸法は変わりませんし、0.05mm単位で売っているので微妙な調整も可能です。また、意外と安い(500円しない)ので、3枚ほど買って3Dプリンタのツールボックスに常設しています。
ちなみにコピー用紙の厚みは0.1~0.2mmらしいです。
レベリングスプリング強化
プラットフォームの高さをネジとスプリングで調整するタイプの場合、ガラスプラットフォームを使うとバネが重みに負ける事があるようです。重みに合わせて強いバネを使うと、レベリング調整の頻度が減らせます。
Octoprint化(Klipper+Mainsail化)
印刷用データをSDに保存して差し込むのという動作は、実はかなり非効率です。RaspberryPiなどのシングルボードコンピュータにサーバ構築・管理すればスライサから直接データを転送できます。また、最近値上がりしたRaspberryPiに変わり、3Dプリンタ用マザーボードとシングルボードコンピュータが一体化した製品もあります。
(大体Wifiが乗ってるけど技適的にどうなんよ・・・?)
レベリングセンサ
3Dプリンタではプラットフォームとノズルの距離の調整ミスが印刷の失敗(剥がれor衝突)に直結します。ホットエンドとプラットフォームの距離を(相対的に)測り補正することで印刷失敗率が大きく低減します。ファームの書き換えが必須でしょう。場合によってはマザーボードの入れ替えも必要です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
フィラメントセンサ
印刷中のフィラメント切れや供給不良があると印刷が途中で終わってしまいます。フィラメントセンサでフィラメントを検出すればその対策が可能です。
これもファームやボードの交換が必要な可能性が高いです。
詳しくはこちらへ。
生産性
ホットエンドのモジュール化
フィラメントの吐出不良の多くはノズルの詰まりですが、3Dプリンタに取り付けたままでは意外とやりづらいです。
そこで、ホットエンドをユニットごと交換することでメンテナンス性を向上させています。
運用イメージとしては、異常発見⇨ホットエンドユニット交換⇨印刷&交換前のユニット整備 といった流れです。
取り外したホットエンドユニットは、電源装置に接続して適当に温めてメンテします。ノズル温度が上がりすぎないように電圧を調整する必要がありますが、3Dプリンタ上の狭いところでメンテするよりは遥かに楽だと思います。
バイメタルヒートブレイク
3Dプリンタのフィラメントは、ノズルで溶けてそれより手前では固まっている必要があります。
ノズルの熱が伝わると、余計な部分まで溶けてしまうのでファンで冷やすのですが、ノズル温度が高いと冷やしきれなくなります。
そこで、ヒーターや放熱フィンに熱を伝えたい部分は熱を伝えやすい金属(主に銅)で構成しつつ、ヒータと放熱フィンの間は熱の伝わりにくい金属(ステンレス)で断熱するバイメタルヒートブレイクという部品があります(2種類の金属で構成されているのでバイメタルです)。
これなら、通常より高めの温度設定が可能なので、フィラメントが溶けるのが早く、結果的に印刷速度が上がります。
また、ホットエンドに差し込まれているPTFEチューブが高温にさらされないので、溶けたフィラメントがあらぬところから漏れる事故も(多少)防止できます。
ダイレクトエクストルーダー化
ホットエンドにエクストルーダーを取り付けてしまうことで押出し力が上げられます。これにより確実なフィラメント供給が可能になりトラブルが減りました。
また、心配していたホットエンドの重量増による印刷速度低下も特に感じられませんでした(1000mm/sとか出せば別でしょうが・・・)。
自己満足
ケーブルベヤ
3Dプリンタを改造するとホットエンド周りの配線が増えますので、どんどん見栄えが悪くなります。ケーブルベヤに格納すればきれいになりますし、何よりかっこいです。
ネジ置き
3Dプリンタの運用中はメンテナンスなどでネジを取り外すことがよくあります。ネジを落としてイライラしたり最悪無くしりしないよう、ネジを置くところを作ると良いです。しかも裏にネオジム磁石を埋め込んであるのでネジが転がり出ることが無いので◎です。
LEDライト
光あれ・・・。
かっこいいですし、明るくなって各種調整などにも便利です。
普通のLEDテープ(12V)をカット、2個直列にした上で抵抗で明るさを調整しています。電源はファンの電源(24V)を使っています。
NeoPixelの3色LEDも後々追加したいです。
今後
カイゼンに終わりはありません。これからも気づきがあればどんどん追記していきます。