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日本では結局、エンジニアは『変な人』枠でしか存在を許されないんだなぁ、っていう話

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この記事はポエムです

日本では結局、エンジニアは『変な人』枠でしか存在を許されないんだなぁ、っていう話

フリーランスエンジニアとして独立し、技術一本で世の中相手に勝負を始めてはや10数年・・・

色々と思うところがあるので、つらつらと書き並べてみたら、結構な分量になりそうなので吐き出す。

この記事は単なるポエムです。内容について責任は持ちません。

国から正式に「変な人」認定された話

総務省がやっているプロジェクトに、OPEN 異能 (inno) vationというのがあるんです。

これは、角川が実施者としてやっている取り組みで、普通の国のプロジェクトとはちょっと違う、ベンチャー的な取り組みなんですね。

どんな取り組みか一言でいうと、個人的に面白いプロジェクトを実施している技術者を集めて、国からお金を出して(最大300万円ですけど)そのプロジェクトを進めて貰おう、という、エンジェル投資家みたいなことを総務省がやってるんですね。

お金は使っていいよ、成果物は自分の物にしていいよ、失敗しても咎めないよ、という、自分みたいな「在野の」技術者にとって、まったく素晴らしいとしか言いようのないプロジェクトで、その点には実に満足しているんです・・・けどね。

プロジェクトに採用されたエンジニアは、基本「へんな人」呼ばわりなんです。

「いや、それは褒め言葉として使っているから」

そうでしょうね。わかります。褒めてるつもりなんだなぁ、ってのは十分伝わります。変な人呼ばわりされても、別に貶されているとは思っていません。

でもね・・・なんか、もやっとするんですね。

自分は普通の人でマトモだっていう前提で言う「へんな人(褒め言葉)」でしょう??

aboutページをみても、へんな人、へんな人、へんな人・・・連呼ですよ。

これが、例えば、スティーブン・ジョブズや、イーロン・マスクに対して、面と向かって「あなたはへんな人ですね(笑)。あ、これは褒め言葉なんですけど」とか言ったらどうでしょう?

彼らが変人なのは間違いないですが、「じゃあお前は何なんだ!?」ってなりませんか?

自分も異能Vationに採用されて、予算を使わせて貰ったんで、あまり言いたくは無いんですが、自分はずっともやっとしていました。

なんで、そこで、素直に「凄い人」とか「立派な人」とか言えないんでしょう・・・?

そういえば、東芝の社長も、「うちには異常な人が多い」って言ってました。

これが、例えば本田宗一郎氏とかの世代なら、「うちには凄い人が多い」って言ってくれたと思うんですよね・・・。

日本の社会は、いつ頃からエンジニアを「凄い人」と呼べなくなってしまったのでしょう?

キッチリ予算使った後になって批判じみたこと言ってごめんなさい。でも最初のキックオフの時インタビューに、自分は変な人呼ばわりは違うってちゃんと言いましたよね・・・?

株主なのに目の前で会議から閉め出された話

自分は基本的にはフリーランスのエンジニアとしてやってきてるんですが、どこかの会社組織と一緒に働けそうだと思ったなら、あえてその機会を拒否はしませんでした。

もう何年も前の、AIブーム黎明期の事ですが、以前からお付き合いのあった方が所有しているベンチャーから、主要事業をAIに鞍替えしたいので手伝って欲しい、というお話があったことを思い出します。

一つの会社の事業の形を作ってゆくのに参加できる、というのはエンジニアとしての本懐ということで、目玉的なソリューション製品的なものを生み出し、キャッチコピーを作り、ソリューション紹介のHPのデザインを外部に依頼し、AIベンチャーとしての立て付けを作る、その最初のステップをお手伝いされて貰いました。

ただまぁ、新しい会社を立ち上げるのとは違い、今までの仕事に慣れている社員もいれば、色々な思惑も絡み、社内には(社員の人数から想像出来る以上の)軋轢があったんだと、今となっては想像出来ます。

オーナーはAIブームに乗らせたい、社員は突然の話に戸惑う、オーナーが連れてきた外部のAIコンサルは孤立、等々、その辺のドロドロはベンチャーあるあるなので詳しくは語りません。

そんな背景のなか、自分も含んだ‘AI派’で会社に出資をして立場を強化しよう、要するに株をいくらか買って、その上で一緒に会社をAIベンチャーに変身させるために頑張ろう、みたいな話になったんです。

自分が思い出したのはそんなある日のこと。

AI紹介のHP作ってこんなソリューションで売ってゆく、と打ち出せば良いんじゃないかと提案し、その方向で進めようとなり、実際に作業をして進捗を報告する会議の席です。

オーナーと社長が参加する会議の隻で、

「こんな感じでここまで来ました」

と報告すると、そのオーナーの方が、

「OK。じゃぁ、これからは経営の話だから、俺くんはもういいよ

といって、自分をその会議室から追い出したのですね。

よっっっっぽど、「自分も株主なんですけど」って言おうと思いました。お金出して出資して会社の株を持ってというのは、そういう事ではないのかと。

その時に、

「エンジニアはどこまでいっても、経営とかの話には参加させて貰えないんだ」

とハッキリと認識しました。それをキッカケにその会社とは距離を置くようになりました。

結局その時の株は数年後かなりな高値で買い戻して貰えたんで、文句を言う筋じゃ無いのは知ってます。自分が距離を置いている間に頑張って会社を育てた人からは、食い逃げじゃんと言われても仕方ありません。

でもね、それまで自分は、AI推進派のオーナーは自分の見方で、自分をそうした「経営の側」に迎え入れようとしてくれてる側だと思ってたんですよ・・・。

・・・自分はそれ以前にも以降にも、何人もの経営者の方とお会いしてきました。ですが、多くの場合、扉を開けて技術の話を聞きに来る、そして目の前で扉を閉じる、重要なことは扉の向こう側で決める、そんな感じがしました(べつに経営の話に限らず、です)。

まるで頑なに、エンジニアから引き出していいのは技術だけ、と決めているかのようです。

技術を聞きに来るだけマシかもですが・・・エンジニアが技術以外の仕事も出来てしまったら、文系の人は立つ瀬が無くなるとか、そういう恐怖感から来るものなんでしょうかね?

国民全体からエンジニアな人の代表を選ぶと誰なんだという話

エンジニアは常に最新の技術を追いかけているので、いつまでも若い頃のままと変わらない気持ちで暮らしているところがあります。

しかしふと世の中を見渡すと、時代は変わったんだなぁ、としみじみ実感することもある今日この頃。

令和。なんて言ったって、令和ですよ。それが何だと言われれば、ですが。

時代が変わったなぁ、と思って眺めていました。何をかと言えば、令和天皇陛下の即位式ですね。(もう4年前!)

正式な名称は即位礼正殿の儀とか何とか。あまり覚えていませんが、それに続いて色々な祭典が続いて、あぁ時代が変わるんだなぁ、と実感したものです。

で、その祭典で、天皇陛下に対してですね、登壇して御祝いのメッセージを述べた4人の方がいらっしゃいます。

歌舞伎役者、女優、経団連会長、柔道家 (詳しくはWikipediaへ)

それ加えて当時の内閣総理大臣からの祝辞、ですね。

その時、あぁつまり、この人たちが「日本国民を代表する方々」ということなんだ、と理解しました。

なぜこの4人が選ばれたのか、は、理解できます。伝統・芸能・経済・スポーツ(or競技?)という領域からそれぞれの第一人者、ということで、要するにそれが、日本という国を見るときの、大きなジャンル分け、ということなのでしょう。

で、そうなってくると、「じゃあ自分を代表しているのは誰?」となるのは自然なことと思うんですけど、技術は全て経済の一部で、だから経団連会長が君を代表するんだ、と言われるのは、何かこう・・・ちょっと足りない気がするのです。

別に技術者を代表してプログラマーを登壇させろと言うつもりはないですよ。でもね、技術って、経済の一部として、GDPに貢献するからっていう理由でしか認められないものなんでしょうか?

ここで仮に「科学技術」という枠があるならば、日本には例えばノーベル賞取った科学者とか本当に立派な人が沢山いるのに・・・なんです。

ま、それを言うなら、それこそ科学の分野にいる教授や研究者の人こそ、それを言いたいでしょうけど。

少なくとも、科学は経済の一部だから経団連会長が貴方たちを代表するんだ、と言われて納得する科学者はいないでしょうなぁ。

技術立国・科学立国とか言っていたくせに、ですよ。

まるで江戸時代の士農工商みたい、で、自分はその枠外にいるんだなと感じた次第です。(士農工商の枠外と言うなら、さしずめ大学教授は神官・僧侶、一般研究者は修験者、底辺エンジニアはえた・ひにんの枠って所でしょうか)

エンジニアの話は聞くだけでいいだろう、なのかという話

Winny事件の映画化の話が進んでいますね。

まさにその時、現役で事件を見てきた自分としては、過去の闇に光が当たって嬉しい限りです。

あの当時の思い出といえば他にも、ライブドア事件でホリエモンが逮捕され、その直後にオリンパスは別に・・・。で、会うベンチャーの社長がみんな口を揃えて「ああはならないようにしようね」と言っていたのを思い出します。

自分はライブドアの関係者でもオリンパスと取引をしたこともないのですが、ベンチャーや起業家のマインド的には「この国では、とにかく出る杭は打たれるのだ」という意識付けがされた時期だったと記憶しています。

そんな記憶もあり、古くは「TRON OS事件」にまで遡って、自分には『日本のITベンチャーにとって国は「敵」』という感覚が根強いのですが、最近では「あれ、けっこう良い感じになってきたかも?」と思わせてくれる、嬉しいサプライズもチラホラあります。

最初に書いた総務省のOPEN 異能 (inno) vationもそうですね。ちょっと前までの「お役所のイメージ」からは離れた、イノベーティブな取り組みも、いくつか散見されます。

例えば、SIGNATEで防衛省がAIコンペティションを行ったり(これに関しては言いたいこと一杯ありますけど)、特許庁がやはりAIコンペティションを行ったり

多分、担当している誰かが、若くてITネイティブな世代で、面倒くさい承認や手続き無しで出来る場所を狙って、ゲリラ的に行っているんだろうなぁ、と感じさせる散発的な取り組みばかりですが、「お役所」が変わり始める最初のステップとしては上々。応援したくなります。

経済産業省がAI関係の契約モデルを作るときに、GitHubにリポジトリを作り、広くレビューを求めた時には、「やるな!」と思ったものです。

特に、Issuesで議論した上で取りまとめるからIssueを立ててね、という姿勢は素晴らしい。ちゃんとIssueの立て方まで説明してるし

契約モデルについては自分なりに思うところがあったので、もちろんIssueを立てさせて貰いました

一つ言わせてください。

議論した上で取りまとめると言うなら、ちゃんとコメント返してください。そしてクローズしてください。

自分の意見が見られてるのか見られていないのかすら解らない状態でほったらかしは酷いです。

おわりに

「能動猫と受動猫」の実験ってご存じでしょうか?(あるいは「ゴンドラの猫」)

ヘルドとハインによる研究で、1963年に発表されて話題になったものです。

自分はこの実験のあらましを、「ゆでガエル」の話と同じ程度に世の中に知られた、一般的な会話で使うことが出来るたとえ話として知らしめたいと思っているんですが。

同じ世界を見ていても、自分の行動に対するフィードバックとして世界を知覚できるかどうかが決定的、という研究です。

技術が世界を変える、あるいは変えうるのは確かです。

でも、エンジニアが見ている世界って、どうでしょう・・・?

ほとんどのエンジニアにとって、自分が送り出した技術によって何かが変わったという、その世界からのフィードバックが、決定的に不足していないでしょうか?

「恵まれている人が見ている世界と同じ世界を見れているよね、だから幸せなんだよね」なのでしょうか?

承認欲求と言わば言え。ですが、エンジニアは、技術力の高低という1次元パラメーターだけの存在じゃありません。自分の意見も感情も持っていて、認められれば喜び無視されれば落ち込む、普通の人間なんです。

そういうポエムでした。

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