この記事は、LITALICO Engneers Advent Calender 2023 シリーズ1の13日目の記事です。
株式会社LITALICOに中途入社して早4年目、 @tanakashi です。
LITALICOアドベントカレンダーのために始めたQiita投稿も順調に数を増やして現在4記事目になりました。今後も順調に入社年数と対応する形で数を刻んでいこうと思います。
はじめに
この記事を書こうと思った背景・きっかけ
私ごとではありますが、昨年2022年夏頃からプレイング→マネジメントに完全シフトを行い、その中で苦労したこと・学んだことが数多くありました。
一番苦労したことでいくと「はたして『マネジメント』とは、何を持って『できている』と言えるのか?」を自分自身で実感・言語化すること。そしてその成功体験の獲得でした。
マネージャー業務は、組織的な状況・マネージャー自身の性質によっても多種多様であり、ひとことでまとめることが非常に難しいものだと感じています。多くの書籍を読んだり、実際に上司との1on1で会話をしていく中でも「これが出来たから、マネジメントが出来ていると言える」と言い切ることは難しく、インプットした知識と、実際の実務をマッピングしていくことに苦戦することが多かったです。
そういった中でタイミングよく2022年8月に書籍「エンジニアリングマネージャーのしごと」がO'Reilly Japanより出版され、その後、LITALICO社内でも有志で「エンジニアリングマネージャーのしごと(略してEM本)輪読会」が企画されました。
この企画のおかげで、体系的にEMの仕事が学べた上に、マネージャーの先輩方に実際の話などを聞くことが出来ました。マネジメント業務で右も左もわからない状態から「ひとまずこういった事柄が必要らしい」と、地図を手に入れた感覚に近く、企画してくださったマネージャーさんには今も頭が上がりません。
とはいえ、輪読会当時はまだ「知識の会得」に留まっており、どこか他人事のような感覚が大きかったのも事実です。
EM本の知識や輪読会での体験が強く効いてきたのは、やはり実務経験を積むようになってきてからで、段々と「この状況・課題を解決するためのものとして、EM本に書かれていたのか…!」と腑に落ちることも多く、一年が終わろうとするこのタイミングでその体験など含めて、あらためて自分自身の状態を文字に書き残せればと思います。
対象読者
- 来年以降の自分(振り返りに使ってね)
- エンジニアリングマネージャーに興味がある方
- エンジニアリングマネージャーを目指そうか迷っている方
- 駆け出しエンジニアリングマネージャーの方
個人の主観が強い内容になっているため、参考になるかはわかりませんが、実例のひとつとして捉えて頂ければと思います。
自己紹介
マネージャーとしての経歴
- 2020年11月にLITALICO中途入社、1事業のエンジニアとしてジョイン。
- 2022年4月よりアシスタントマネージャーに昇格。メンバーの目標設定や1on1から入る。
- 同年夏頃に上司異動が決まり、マネージャー業務のほとんどを担当するようになる(アシマネのため承認・決裁権限はない)。現状のスキル・経験値ではプレイングとの両立は不可能と判断し、一度マネジメントに振り切って業務を行う。
見ているチーム
- マーケティング×フロントエンドの軸で成果を出すのがミッション
- サービスサイト・LP・フォーム、それらにまつわるシステム全てに対して、メンバーの1人〜複数人でひとつの事業を担当。
- 主にマーケティング部・事業部、そして制作部署(ディレクター/デザイナー)と協力して業務を進める
マネジメント振り返り(〜2023年)
書籍「エンジニアリングマネージャーのしごと」をもとに振り返る。
期間は、実務としてマネジメントに大きくシフトした2022年夏〜2023年末までとする。
全体評価(目次と、実務としての関わり)
- 「実務として注力したか」を評価
- 実務として存在していても力が入れられなかったなどあるので、そこ含めて自分の振る舞いを主観に基づき評価
- ここに善悪はなく、振り返りの指標として用意している認識
- 実務として存在していても力が入れられなかったなどあるので、そこ含めて自分の振る舞いを主観に基づき評価
- EM本はあくまで計測すべきテーマを借りているのみ、書籍と一致した振る舞いをしたかは考慮しない。
注力して取り組んだテーマ
EM本の章テーマ・記載内容をもとに、マネジメント業務を解釈しながら、自分自身の取り組みを振り返る。
基本的に個人的な事象・感想をまとめるでOKとする。また、役立ったインプットや、取り組んだ工夫・アウトプットがあればそれも一緒に記載する。(のちのち、当時どんなことを頑張ったか?を振り返れるようにする。)
2章 まず自分を管理しよう
テーマ概要
- 日々の業務管理、マネージャーとしての生産性
テーマへの所感・現状書きとめ
下記は特に、マネジメント業務を遂行する上でかなり大事なポイントだと感じた。
- 自分自身の管理
- 読んだ当時は、一見当たり前の内容のように思えたが、マネジメント業務自体が多岐に渡るため、いかに当たり前のことを当たり前のものとして負担なくこなせるか?が、業務全体に効いてくる。
- プレイヤーの場合はある程度自分が把握できる内容に留まるが、マネージャーの場合は基本知らない内容でも捌いていく必要性が出てくるので、余計、社会人基礎力を試される印象。
- マネジメント活動・マネージャーとしての生産性
- 本当に下記の通りだったので、改めて「マネージャーが行うべき生産活動」が定義される重要さを痛感
- 主に他の人と働いているため、明確に自分でやったという感じが少ない。
- 少数の本質的なものより、多数の小さなタスクに取り組んでいる。
- 1日中コンテキストスイッチをしていて、疲れるレイライラする。
- 明確なドキュメントも、コードブロックも、本番環境へのデプロイも生まないミーティングや議論に費やす時間のほうが多い。
- 仕事を邪魔されることが増え、どちらにしても仕事を完了できない!
- 「プレイヤーとして求められている成果」と明らかに差があり、ここはまだ習慣付いていない。気を抜くと目に見える成果を追いがちなので、引き続き掲げられた4種の活動を意識する。
- 本当に下記の通りだったので、改めて「マネージャーが行うべき生産活動」が定義される重要さを痛感
マネージャーとしてのアウトプット計測については、言いたいことはなんとなく分かってきたレベルの認識。
まずは自分のチームのアウトプットの最大化を意識しつつ、余裕が生まれた時に他チームのことも意識を伸ばしていきたい。
取り組んだ工夫・アウトプット
- タスクツールや情報を書き残す場所の集約、ふるまいの統一
- さまざまな粒度・タイミングでいろいろ来るので「状況ごとにこのツールを使う」などの判断をする余裕自体がない。そのため、ある程度自分が管理しやすいツールを決め打ちで選び、まずはそこに集約していくことを意識。
- 一瞬で終わるタスクも、考えずに着手すると結果として「優先度・重要度の高いタスクに至れなかった」になりがちなので、一回保管する。それから着手順を考える。
- 自分用の記録場所は、基本すべて1つのGoogleドキュメントに集約。会議ごとに分けない(あの会議で話していた内容がこっちの会議でも〜がよくあるので)
- 複数人が関わる類のプロジェクトや課題などは、1つのGoogleドキュメントにまとめる。
- 基本的に並行して関わることが多い。数ヶ月前の問題について進捗確認があるなどもままあるので思い出すのに時間がかかるため、その労力を省略する。
- 意思決定・判断軸の言語化(自分向け)
- 自分自身の言動の統一性を出すために個人的に行っている。特に開発判断や、業務委譲、メンバー評価まわり。上司がした意思決定や判断についても、その時呑み込みきれなかったら一回自分で整理して、MTGで再度確認させてもらってたりする。
- マネジメント業務は、抽象と具体の行き来が多いため、言語化してそこを整理していく狙いもある。
3章 人間と関わる
テーマ概要
- 部下とのコミュニケーション、業務委譲、上司との連携
テーマへの所感・現状書きとめ
こちらも2章と同様、マネジメント業務を遂行する上で重要な要素になると感じた。
- 上手なコミュニケーション
- 「相手に合わせたコミュニケーション」を目指して取り組むこと自体に異論はないが、実態としてそれら全てを当然のようにこなすまでにはまだ時間がかかりそう。経験重ねて良いバランス感を見極めていくのが大事かなと思った。
- 「適切性は効率性に勝る」とあったが、すべてを各メンバーに合わせて〜も実態としては難しい部分がある、というのが本音である。入社したばかりのメンバーについてはある程度メンバー自身の取り組みやすさに合わせつつ、慣れてきた辺りで相手に無理のない程度に枠を作っていくなど、いろいろ取り組んでバランス感を測っていきたい。
- 委譲
- メンバーや全体のためにも委譲を積極的にしていくことは大事だというのがこの1年での一番の学び。マネージャーが抱え込むと、却って現場の足取りが重くなる。
- どこは委譲して良くて、どこは駄目なのか?は、それぞれのプロジェクトやメンバーの状況によっても変化してくる。それぞれの個別ケースに対して、決定していくのも自分になる。
- この辺りのバランスの一貫性が崩れた時に自分が混乱しやすいので、抽象/具体をしっかり言語化しながら臨むのが大事かなと感じた。
- 上司との連携
- 自分からの報告の側面は機能しているが、上司に協力してほしいと依頼する側面が弱い。まだ上司と双方向の関係を築く、という意味がうまく掴めていないので、ここは引き続き上司と対話しながら考えていきたい。
取り組んだ工夫・アウトプット
- メンバーとのコミュニケーション調整
- 現状はメンバーの動きやすさを確認しながら対応するようにしている。
- とはいえ等級に応じて求められる振る舞い・成果も変わってくるので、等級指標を読み込みながら調整している(ここはまだすごく難しい。頑張りたい。)
- 合わせすぎて自分が混乱するのも本末転倒なので、強いこだわりがない場合はある程度共通した対応に寄せていく、なども並行して行う。
- 最初にメンバーに確認を取ったとしても、時間が経過すると要求が変わる可能性もあるので、数ヶ月に1回くらい自分を振り返ってみる・メンバーに確認するなどしてチューニングする。
- 現状はメンバーの動きやすさを確認しながら対応するようにしている。
- 積極的な委譲への取り組み
- メンバーとの信頼関係の構築(これは委譲していく上で、必須だと感じている)
- 特に今のメンバーはこの1年強の間に入社した者がほとんどで、タスク実行について本人の能力・性質に加えて、環境変化によりうまく遂行できない可能性もある。
- チームの性質的に、基本はメンバーのみで遂行できる形が理想でもあるため、大きめに委譲できるように、連携しやすい状態に環境整備しておく。
- 成長のフレームワーク(コンフォートゾーン・ラーニングゾーン・パニックゾーン)の活用
- 基本的に「ラーニングゾーン」で渡すのを意識しつつ、日々の報告などを通してパニックにならないかを見ておくと良い感じだった
- 委譲する軸を決める、言語化する。
- 状況によって違う対応をすると、メンバーの混乱につながり、却って動きづらくなることがある。
- 弊チームは状況の変化も激しいので「この状況だから今回はこのような委譲の仕方にする」などを説明できる状態にしておくと、メンバーも納得感を持って取り組みやすい印象。
- あと純粋に自分の動きやすさのためにもここは引き続きマストで行う。
- 状況によって違う対応をすると、メンバーの混乱につながり、却って動きづらくなることがある。
- メンバーとの信頼関係の構築(これは委譲していく上で、必須だと感じている)
4章 1on1
テーマ概要
- 部下との1on1
テーマへの所感・現状書きとめ
アシスタントマネージャーに昇格してからメイン業務の1つと数えても良いほど、1on1は習慣的なものになっている。現状だとメンバー1人につき週次で30分(場合によっては1時間ほど)かけている状態。
1on1にどれだけ時間を割くか?はまだ悩んでいるが、1on1を重ねることで、チーム・業務への馴染み方や、メンバー本人の歩み方が大きく変化していくことを感じるので、必ず定期的に設定した方が良いなと感じた。
原則としてはメンバーの時間なのでメンバーに喋ってもらう量を増やしたいが、自分自身が喋りたがりな側面もありすごく喋ってしまうのが悩み。意識して、メンバー:自分=8:2の割合を目指していきたい。
役立ったインプット
EM本に記載されてる内容自体も良いが、概論レベルで、実際に動いていくためには他にもインプット量を増やしておけると安心かなという印象。
私の場合は基本的に書籍から知識を仕入れるが、1on1の場合、1on1を主題としたものはもちろん、「コーチング」「カウンセリング」系の本も非常に参考になった。カウンセリング系については「聞く」を主題にしている分、よりメンバーの話を深く聞く意識が生まれる。
ティーチングに偏るのはもちろん、コーチングを意識した場合も「物事を解決する」方向に寄りやすいが、マネジメント系だとすぐに解決できない・時間が解決するような類のものも出てくるので、その受け止め方としても知識として持っておくと、自分の引き出しが増えてよかった。
下記は特に役立っていると感じるインプット群。
書籍以外に講座受講・資格取得などもしているのでそこも加えています。
- ▼1on1系
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対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術(書籍)
- 何でも良いと思うがまずは「型」を使用し、その上で自分なりのやり方にフィットさせていくのが良いと思っている。
- この本は使いやすい型を扱っているので、ひとまず軸に置こうと考えている。
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対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術(書籍)
- ▼コーチング系
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新版 コーチングの基本 この1冊ですべてわかる(書籍)
- コーチングを学ぶ上で教科書的な立場でもある本。ここでコーチングについての概論を学んだ。なお読んだだけでも全く実践はできなかったので、講座も受けてみた。
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一般社団法人日本コーチ連盟 コーチ養成プログラム【基礎コース】(講座)
- コーチングの実践をしようと思い、受講。基礎コースのため、すぐコーチになることは無理だが、他者とのちがいと、その受け止め方などを学ぶことができた。また、自分自身の自己分析・理解につながる良い機会となった。
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新版 コーチングの基本 この1冊ですべてわかる(書籍)
- ▼カウンセリング系
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プロカウンセラーの聞く技術(書籍)
- 深く聞く・浅く聞くことの違い、井戸端会議の効能など、人間の会話ひとつひとつが掘り下げられており、他者とコミュニケーションをする際の土台になった。
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コーチングよりも大切な カウンセリングの技術(書籍)
- コーチング・ティーチングともに「解決」を前提としたHowとなっているが、本書のカウンセリングは「ただ聞く(=話してもらう、話している内に相手の中で解決する)」というHowになる。
- 自分自身が、相談=解決しなきゃ!に極振りしがちなので、真逆のHowを仕入れることでバランス感覚を鍛えることに繋がった。
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プロカウンセラーの聞く技術(書籍)
- ▼その他
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メンタルヘルス・マネジメント検定試験 III種(資格)
- マネージャーになる前に、セルフマネジメントのために取得したが、ストレス自体の知識や、その取り扱い方など含めて学べるため、メンバーの調子の変化などにも気付きやすくなった。
- ラーニングゾーン/パニックゾーンの塩梅も、この資格取得の際に学んだ知識が効いている気はする。
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メンタルヘルス・マネジメント検定試験 III種(資格)
取り組んだ工夫・アウトプット
- トークテーマは自由。基本的にメンバーに話してもらう。
- 1on1で話したい内容をメンバーが事前に記入してくれることもあるが、自分で読み上げず、メンバーに読んでもらう。
- 読んでいる内に補足をしたり、話し方によっても、文面から把握できないものがあったりする。また、自分で読むと、勝手に解釈しながら読んでしまうこともあるので、メンバーに読み上げてもらうことで、自分の解釈を入れずに受け取りやすい状態を作れる。
- 業務不安含めて、基本的に「メンバーの主観」を話す時間に寄せる。
- 最初は「自分で解決しない、メンバー自身に解決を促す」意識を持っていたが、「解決」のワードを含むので、自分自身が混乱しやすかった。(「否定」はイメージしにくい、の話。)
- メンバーの話を聞きながら、メンバーの話に対して違和感を感じたりした際に「どうしてだろう?」と疑問を持って聞いてみるとメンバーの主観が引き出しやすく、それによってメンバーの自己理解が促進されたりするので、最近はそれを意識している。
- ストレス負荷が大きくかかりそうな状況の時は丁寧に見る。
- 個人によってストレスの感じ方・現れるタイミングなども様々なので、話す内容だけじゃなく「普段と違うところがないか」も注意する。継続的に実施すると、この異変察知に効いてくる。
5章 その人に合った仕事とは
テーマ概要
- ひとの行動原理、仕事の進め方の好み、成長における3つのゾーン
テーマへの所感・現状書きとめ
本人の性質・好みなどは積極的に理解しようと努めているが、私自身がフレームワークを用いると、その型に当てはめて捉えてしまい、却って勘違いした理解をしやすいので、ひとまずそこは考えないようにしている。
唯一書籍に掲載されている内容で使用しているフレームワークが「成長のフレームワーク」である。
前述した通り、タスクを振っていく際に用いており、型にはめて振る舞うことで、判断に一貫性が出るし、メンバーの納得度も高くなる。
役立ったインプット
所感にてフレームワークを用いないようにしていると言ったが、ある程度人間の性質をインプットしておくことでキャッチしやすくするのも重要だと考えて、下記の診断結果などは頭に入れている。
他者をカテゴライズするために使用するのではなく「自分はある方向へ偏っている」「他者は自分と違う方向に偏っている」ことの自覚のために使用している。
- ストレングスファインダー
- MBTI(16Personalities)
- 認知特性(本田式認知特性研究所)
また、本来の理解の仕方と少し違うかもしれないが、人の発達・性質の偏りが、状況・環境的にうまく噛み合わない時に何らかのトラブルという形で現れてしまうと思っており、その辺りの理解を進めるために下記の類の知識も仕入れている。
認知特性などもそうだが「人間はこうやって世界を捉えているのか、物事を処理しているのか」といった、人間の機能への理解も深まって面白かった。
障害診断はあくまで専門家のみが行えるものであり「自身が他者を診断する」目的で読むものではない認識。目的を履き違えると不幸を生むのでご留意ください。
取り組んだ工夫・アウトプット
- 成長のフレームワーク:委譲の枠で触れているのでここでは省略。
6章 1年でいちばん輝かしい季節
テーマ概要
- 評価面談
テーマへの所感・現状書きとめ
目標設定がすごく難しい、まったく出来ている自信がない。
特に等級ごとに適切なレベル感・スキル感を考慮して目標設計をしていくことが難しい。これが出来る状態になるには、抽象(等級指標)⇔具体(実際の目標)をスムーズに行き来できるくらいに、等級指標を解釈し、メンバーに翻訳していくといったスキルが必要そう。
基本的に評価目標は「会社として求められていること」「メンバーが目指したい・強化したいこと」を結び付ける行為だと思っており、特に「会社として求められていること」を把握しつつ、メンバーが納得感を持って取り組める状態に持っていくことがマネージャーとしての責務だと捉えている。
ここをスムーズにこなすには「15章 デュアルラダー」の「キャリアアップフレームワーク」の作成も並行して行う必要がありそう。弊社の場合、解釈すべき情報などはある程度揃っているので、頑張りたい。
取り組んだ工夫・アウトプット
- 上司からのFBのメモと、FBを自分の言葉で説明できるようになる練習
- 上司からの指摘をただ受け入れるというより、自分が自信を持ってメンバーに説明できる状態にするのが大事だと考えて、なるべく言語化に力を入れている。
- この辺りは上司も説明や認識すり合わせに前向きなので、ご協力頂きながら頑張っている。
- 自分の判断軸のメモ
- 「上位等級の期待値からおろした際にこの等級の時点でこのレベル感の業務がこなせることを期待する」など、個別事例をひたすらメモしていく。具体を積み重ねて抽象へ繋げていく意気込み。
7章 採用中!
テーマ概要
- 採用
テーマへの所感・現状書きとめ
前職が人材業界で採用周りの知識がある程度あって良かったなというのが正直な感想。
(なんとなくの採用の進め方や、設計の仕方、採用における失敗事例などのイメージがついていた。)
とはいえ候補者のペルソナ・求人票作成・書類選考・各面接での対応、それぞれのフェーズにて毎回チューニングしながら対応していた記憶。この辺りはトライアンドエラーでしか得られない側面も大きい。
そのため「トライアンドエラーができる状態」を作ることでPDCAを回していた気がする。
なお候補者のスキル・経験を等級指標へ変換・翻訳する行為が発生するので、ここでも等級指標への理解が必要になる。
今回は「求人票の作成」「書類選考」「一次面接」「最終面接」の内、最終面接以外のすべてを担当。また、社員・業務委託ともに経験できた。
採用活動自体も一年以上続いたので、求人票〜一次面接が連動できるように設計してみるなど、良い挑戦の機会を頂けたように思う。
取り組んだ工夫・アウトプット
- 求人票を作成する際に、業務内容・必須要件・歓迎要件はなるべく具体的に書き出してから抽象化する
- 自分がまだ慣れていない部分もあり、まずは具体で説明できる状態にする。そこから抽象にあげた方がズレが少ない。
- 実務で依頼される・取り組むものの実例も挙げながらまとめたりもする。
- 書類選考・面接でのスキル評価は、求人票に記載した「必須スキル」「歓迎スキル」を軸に行う。
- 書類選考時は、各項目ごとに下記の選択肢を作成して、それを評価シートにコピペする。そうすると面接時に、自分が過去どうスキルを評価したか確認できる。
- 「経験あり・満たしている」「一部経験している」「満たしていない」「不明」
- 面接時は、質問の仕方を実際にマーケティング部から依頼された時の状況に寄せる。より実務に近い状態を再現する。
- 書類選考時は、各項目ごとに下記の選択肢を作成して、それを評価シートにコピペする。そうすると面接時に、自分が過去どうスキルを評価したか確認できる。
- スキル・経験だけでなく、今までの業務環境面・本人のキャリア感も確認する
- チーム特性的に、エンジニア一人で他職種と協力していくことが前提なので、実際にそういった環境を経験したか?負担はないか?といった側面も確認する。ここがズレると適応障害のような事象を招きやすい印象。
- 本人のキャリア感と、現状のチームの目指す方向性がズレると異動・離職につながり、採用活動が振り出しに戻るので、ここも丁寧に見る。
- 上司の面接に見学参加する。また、その後の評価・判断理由をすり合わせる。
- 今回、最終面接は上司が担当していたため、そのすべてに同席参加をした。実際に同席することで得られる知識は大きく、自分でも面接の時に真似してみようなど、引き出しを増やすことが出来たように思う。
- また、面接を終えた後に、自分の評価と上司の評価、そしてなぜその評価に至ったかの理由を確認することで、上司の判断基準・軸なども学ぶことができた。
また、採用の枠ではないが、採用が終わるとチーム受け入れをするためにオンボーディングが始まる。その設計は昨年のアドベントカレンダーで記事としてアウトプットした。
8章 ゲームオーバー
テーマ概要
- スタッフの退職、解雇
テーマへの所感・現状書きとめ
輪読会でこの章を扱った直後にメンバーより退職の申し出があり、輪読会の際に「実際にメンバーから対象の申し出があった場合、どのように対応するべきか?」を確認しておいて良かったな……と心から思った。
基本的に退職は、唐突な申し出になることが多い。
ただ、その内容を詳しく深堀りすると、本当に退職したい(=退職以外でメンバーの希望を叶えられる術がない)場合もあれば、退職したいわけではないが現状の仕事の困難さを抱えている場合など、いくつかのパターンがある。「退職したい」という言葉を文字通りに受け止めると、後者の可能性を取りこぼしてしまうことにつながる。
とはいえ退職の申し出はマネージャーにとっても突然のものとなり、経験数によってはパニックに陥ってしまうことも多いだろうなと思い、アウトプットとして、退職申し出を受けた時〜退職対応までを、状況ごとにドキュメントにまとめることにした。
こちらは最終的にエンジニアマネージャー陣のテンプレート土台になったので個人的に嬉しかった。
取り組んだ工夫・アウトプット
- 「退職時の対応ドキュメント」作成・共有
- 会社としての手続きはあったが、手続き以外にも、周知はいつにするか?引き継ぎはどう進めるか?など確認事項が多く、メンバーと認識を揃えながら進める必要があった。
- そのため、フェーズごとに取るべきアクション・対応方針などを言語化し、ドキュメントにまとめ他マネージャー陣に共有した。
- 「退職時のTodo管理シート」作成・共有
- タスクとして認識していても、人によって完了定義が違っていたりするので、その目線合わせとして使用。
- 項目としては下記の通り
- タスク名・内容
- 完了定義
- 「XXの状態にする」など、状態として定義することが多い
- アクションはタスク内容に寄せる
- 補足、メモ
- 進捗ステータス(未着手、進行中、MG確認、完了)
- MGからのFB
16章 現代の職場環境
テーマ概要
- ダイバーシティとインクルージョン、リモートワーク、ワークライフバランス
テーマへの所感・現状書きとめ
実務としてミッションが与えられているわけではないが、メンバーがより業務を遂行しやすいように取り組もうとすると結果的に必要になってくる要素な気はする。
会社としても、準管理職・管理職向けに「働き方について」の研修があるなど、考えるきっかけになる出来事も多かった。
現状、メンバーに具体的におろせる内容までは至れていないが、より働きやすい環境整備の一環として取り組んでいきたいと感じている。
役立ったインプット
下記は弊社の部活「読書部」でも課題図書として扱ったもの。ダイバーシティや、アンコンシャス・バイアスの理解にも繋がって良かった。
取り組むことができなかったが、今後取り組みたい内容
来年の自分の振り返り用メモ(きっと来年の私は取り組んでいるはず……)
- 13章 コントロールを手放す
- ここは強く意識しないといけない。やらないと、より重要な仕事に取り組む余力が生まれない。
- 定期的に自分で触れないことの整理なども含めてするとよいかも。
- 14章 良いハウスキーピング
- チームビルディングとして取り組んでいきたい。
- 15章 デュアルラダー
- 会社として存在しているものに対し、まずは自分なりに枠を追加して埋めていく。
- わかるところから書いて、評価設定の際に翻訳できる形を目指す&今後めざしていく際にメンバーにも一貫性を持って話せるようにする。
その他(取り組み、役立ったinputなど)
テーマ当てはめに悩んだもの、注力はしていないが役立ったものなどを下記にまとめる。
- ▼マネジメント
-
マネージャーになりたての自分に伝えたい10の観点(web記事)
- 最近読んで「なりたての時に読みたかった…!」と思えたので、マネージャーになりたての方にとてもおすすめの記事
-
マネージャーになりたての自分に伝えたい10の観点(web記事)
- ▼メンバー指導
-
自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術(書籍)
- 「考える」とは何か、の説明・言語化のために読んでいた本。内容的に分かりやすい・読みやすいので、この本の内容をもとに若手に説明したりする。
-
スタンフォードの自分を変える教室(書籍)
- 「何らかの習慣化をしたい」との申し出があった時に、考える基礎として利用している。基本的には期限の設定や、ハードルを低く低く設定するなど。
-
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である(書籍)
- 仕事に対して2:8で取り組む、マルチタスクをシングル化するなど、時間・タスク管理の土台として話すことが多い。
-
自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術(書籍)
- ▼チームビルディング
- 心理的安全性のつくりかた「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える(書籍)
-
Google re:Work(webサイト)
- 下記2つは有名なので共有するまでもない気がするが、チームビルディングの土台として用いやすいのでログとして記載。
まとめ
「マネジメントって結局なんだ?」を考え続けた1年強。
今回、EM本の章やテーマを借りて自分自身の業務を振り返ってみたが、実際大事なのって、各テーマをこなすことではなく「会社のビジョン実現のために、チームとしてミッションをこなす」ことであり、自己管理・コミュニケーション・1on1や採用含めてすべて、その目的のための手段でしかないんだろうな、ということがちょっとずつ分かってきた気がします。
個別の事象・状況ごとに取り得る手段も変わるし、絶対的な正答も存在しない。
エンジニア特性と相性が悪そうだなと思いつつ、逆に「難解な課題を、仕組みによって解決していく」と考えると、エンジニアリングとしては面白い挑戦だな、とも考えています。(個人的に、エンジニアリング=仕組みを設計・構築する、と考えているので)
とはいえ、人間や組織はあまりにも変数が多すぎて、最初は苦労の連続なんだろうな、私自身も引き続き苦労を続けていくだろうなと予感しているので、この苦労を定期的に記録をし、成長度合いなどを振り返ることができるように今回個人的な事例や思考を文章に書き起こしてみました。
来年も引き続きマネジメント業務を頑張っていく予定なので、次のアドベントカレンダーの時期にこの記事を読み返して、出来るようになったこと・質が上がったなと思うことがひとつでも増えていることを願おうと思います。
また、もし他のマネージャーさんで『「エンジニアリングマネジメントのしごと」をもとに振り返ってみる』ことがあればぜひ読んでみたいです^^(本当にチームや組織、さまざまな状況によって多様な形になると思うので、いろんな事例に触れていきたい気持ち)
この形式が面白いな〜と思った方はぜひぜひよろしくお願いします〜✨
明日は @take_takehiro の記事になります!お楽しみに!!