この記事で伝えたいこと
- NSMは素晴らしい指標設計のフレームワークです
- ただし使い方を間違えれば宝の持ち腐れとなります
- 運用におけるしくじり体験談をここに記し、これからNSMを設定・運用する人には同じ轍を踏まないでもらえたらと思います
- 俺の屍を超えてゆけ
NSMとは
以下の記事に詳細が記載されているため、この記事では割愛します。
上記記事を書いたプロダクトマネージャーがDevトークを掲載していますので、もし良かったら「話したい」をしてみてください!
NSMを設定した背景
担当している事業において、KGI-KPIの関係性で事業運営をしていたのですが、プロダクトと売上の関係性が示せていないと感じ、NSMに興味を持ち、実際に運用してみようと思ったのがきっかけです。
特に担当していた事業がセールス主導で売上を伸ばしていくというよりも、プロダクトが主導となって成長していく事業だったこともあり、設定したいという気持ちをさらに強くしました。それもあり、もっとプロダクト改善によって直接的である数値を定義しようと試みました。
(新しいもの好きでミーハー、よく言えば好奇心旺盛な性格だったことも大きな理由です。)
運用で起こしたしくじり
さて、今回は設定して良かったことに焦点を当てるのではなく、あえて設定した後の運用のしくじりに焦点を当てます。
実際に設定して運用してみて良かったことはたくさんあったのですが、これは避けたかったし避けられた…と思うことを2つ記載します。
1. KPIが多すぎて注力するポイントを決めきれなかった
NSMは1つですが、KPIは「広がり」「深さ」「頻度」「効率」の4軸で設計します。
つまりKPIは最低でも4つ生まれます。さらに1つの軸で2つKPIを設定することもケースとしては存在するため、僕たちも例に漏れず2つ設定している軸が生まれました。
そうなってくると…そうです、KPIが大量に生まれます。
プロダクト改善にも関連した指標が生まれ、本質的な指標が作れた!と思いきや、全てのKPIが重要に見えてきます(重要業績評価指標だから当たり前ですが)。
ここでのしくじりは「確かに全て重要なんだけど、今は特にこれが重要!を決めて示すことができなかった。」これに尽きます。
いろんな指標が生まれてくるのですが、例えば4軸のうち「広がり」にこの1年間は力をかけます、と言ったような、事業状況を鑑みて、今どのKPIに重きを置くことが事業成長の最大化となるのかの選定ができていませんでした。
全てのKPIを伸ばそうと、プロダクト開発もあらゆるKPI成長に合わせてロードマップを設定することになり、いわば「薄く広く」開発することになっていきます。担当していた事業は新規事業だったこともあり、新規事業としては当たり前品質を担保しつつも、これだと言わんばかりの魅力的品質を作る、強みを1点集中でも作り出すことが成長に拍車をかけることになるのですが、これが全くもって出来なかった…。
その結果、当たり障りのないプロダクトが生まれ、KPIも成長しているんだけど、伸びが弱く、NSMも大幅な伸びがない、、、こんなことになってしまいました。
「KPIは4軸設定しても、力を入れるポイントは事業状況とリソースの状況を見て決定する」、つまり戦略を持たなければ成長にはつながらないことに気付かされました。
2. NSM設定プロセスのドキュメントを残していなかった
NSMを設定して説明する、あるいは設定前に随時メンバーに進捗を共有したり、相談しながらNSMを作っていくと、今いるメンバーには納得度も生まれ理解度も高まります。
ただし、これから入社してくださるメンバーに対していきなり「これが追っている指標ね、よろしく」じゃ意味がわかりません。そもそもNSMとは?という方ももちろんいらっしゃいます。
だからこそ設定した結果だけでなく、プロセスを残すことが非常に重要になってきます。
にも関わらず試行錯誤した決定プロセスをドキュメントとして残していませんでした。
これが本当に困りました…。全く残していないことはなかったのですが、紆余曲折あって設定した肝心なポイントや、一部口頭で進めてしまったことをドキュメントとして残さずに歯抜けのものになっていました。
社内メンバーからも「そもそもどういう考えで設定したんだっけ?」といったような質問をもらうこともあります。今の常識を疑うことは重要ですが、立ち返る地点=ゼロ地点をきちんと定義していなければそもそもが成立しません。
プロセスのドキュメントを残しておくことで、ミッションと目標と指標の整合性などを考えるときにも、例えば目標を修正した際に指標をどう再定義するのか、ゼロから作り直すのではなく、以前のこのポイントからスタートしよう、などと効率化することもできます。
結果だけではなく、プロセスをドキュメントとして残すことの必要性を痛感しました。
まとめ
- KPIが多すぎて注力するポイントを決めきれなかった
- KPIは4軸設定しても、力を入れるポイントは事業状況とリソースの状況を見て決定する
- NSM設定プロセスのドキュメントを残していなかった
- 結果だけではなく、プロセスをドキュメントとして残す
NSMの設定・運用に限らないことだとは思いますが、新しい概念を取り入れるときは、特にこの2点を注意すると効果的に運用できると思います。
NSMを使ってプロダクトを、そして事業を成長させていきましょう!