前回の続き。
Fintech,BaaS,EmbeddedFinance 等の用語整理から日本におけるFintechの実例を調べてみる。
住信SBIネット銀行 NEOBANK を中心に調査。
住信SBIネット銀行 NEOBANKとは
公式サイト
公式サイトより抜粋。
住信SBIネット銀行は、開業以来の取り組みで培った最先端のテクノロジーと金融のノウハウを活用し、パートナー企業へ銀行機能を提供するBaaS(Banking as a Service)プラットフォームによって、新たな付加価値の創造を目指す「NEOBANK」サービスを推進しています。
2020年のNEOBANKサービス提供開始以来、10社を超えるパートナー企業との提携・サービス展開をしており、多くのお客さまにご利用いただいております。
現在は18のパートナー企業にBaaSを提供している。
(直近では、2024年7月1日にケイアイスター不動産と「ゆたかバンク」を公開している)
サービスの構造
この構造とNEOBANKの構造を考えると、
銀行+BaaSプロバイダーが"住信SBIネット銀行"で、
非金融企業がその"パートナー企業"、
ユーザーは非金融企業のサービスを受けていたユーザーとなる。
例えばヤマダNEOBANKでは、ユーザーはヤマダ電機の顧客を指す。
ヤマダホールディングスが提供する家電や家具などの自社製品の購入を促し、
ヤマダNEOBANK自体で稼がなくてもヤマダホールディンクス全体の経済圏の規模を拡大、安定させるためのピースとして活用するとのこと。
導入した結果はどうだったのだろうか?決済資料を見てみる。
ヤマダNEOBANKに対しての記載は多くない。家電や住宅ローンなどの抱き合わせの商品開発は行っているが、ヤマダNEOBANK自体では稼いでおらず、また売り上げ・経済圏の拡大に寄与できているかの分析はあまり行っていないようにみえる。
また、導入初年度には書かれていた口座数についても導入翌年度からは触れられておらず、サービス自体がどれだけ使われているのかも判断できない。
直接の稼ぎを目標にしていない分、アウトカムの設定が難しく、計測指標が設定しにくい = 撤退の判断が難しい、やめることができない。サービスといえるかもしれない。
実際の銀行の支店では、支店がなくなったとしても実際に利用には問題は出ないようになっているが、
仮にヤマダNEOBANKをたたむとなった時、住信SBIネット銀行の1口座として利用できるのか?様々なサービスはどうなるのか?という点は非常に気になる。
非金融企業としては、金融業に手を出すハードルを下げているBaaSなのかもしれないが、
そこに1度手を出すと、引くことは難しい。。。のかもしれない。
実際にサービス停止したBaaSの例も気になる。次はそれを調べてみる。