##はじめに
この記事は、「ABAP Unitを使ってみよう」シリーズの3回目です。
過去の記事はこちら↓
【ABAP】ABAP Unitを使ってみよう(1)　～簡単なところから
 【ABAP】ABAP Unitを使ってみよう(2)　～Test Doubleで依存性を解決する

##【今回のテーマ】CDS Test Double Framework
CDSビューのテストをするときの課題は、テスト対象のビューが他のCDSビューやテーブルに依存している場合があるということです。これらのビューやテーブルをTest Doubleに置き換えるために、CDS Test Double Frameworkが用意されています。

##テストの種類
CDSのテストには以下の2種類があります。

###①Unit Test
テスト対象のビューの直下にあるオブジェクトをTest Doubleに置き換えて行うテスト。

ABAP CDS Test Double Frameworkより引用

###②Hierarchy Test
①階層関係にある複数のCDSビューをまとめてテストする方法。階層にあるすべてのCDSをテストするには、最下層にあるテーブルをTest Doubleに置き換える必要がある。

ABAP CDS Test Double Frameworkより引用

##テストシナリオ
受注にひもづく、最大の明細の最大の納入日程行を取得するCDSビューを作成しました。CDSビューは以下のような階層になっています。

てっぺんにあるのがテスト対象のCDSビューです。今回はビューで使用するDBを全てTest Doubleに置き換えます。

＜テストの観点＞
①1件の受注に複数明細、複数納入日程行がある場合に、1行だけに絞れているか
②取得した行が本当に最大明細、最大納入日程行になっているか

##テストの手順
###テスト用クラスを登録
Project Explore上でテスト対象のCDSビューを右クリックし、New ABAP Test Classを選択します。

複数階層のCDSビューをテストするので、Test TypeはHierarchy Testを選択します。Test Doubleに置き換えるテーブルとして、vbapとvbepにチェックを入れます。

###テストデータの登録
次の画面では、テスト用のメソッド名と、テストデータを入力します。赤枠で囲ったボタンを押すと、行を追加することができます。また、右端のボタンからはテストデータをテキストファイルでインポートすることができます。
※後に、受注番号を全て'0000000001'に変更

vbepにも同様にテストデータを登録しようとしましたが、なぜか2行目までしか入りませんでした。この後生成されるコードに手で追加することにします。

テストデータを登録する部分のソース（抜粋）
最終的に以下のようにテスト用のコードが自動で生成されます。テストクラスの中身は前回のABAP SQL Test Double Frameworkのテストクラスと非常によく似た構成になっています。
自動生成コードのデメリットは、データ1行追加するのに行を取ることですね…

納入日程行のテストデータを、以下の内容で追加します。（網掛けが最大明細、最大納入日程行の行）

###テストを書く
今回、ひとつのメソッドに2つのassertを書きました（1回のSELECT結果に対する確認なので）。
assert_equalsメソッドのパラメータquitにif_aunit_constants=>quit-noを指定すると、エラーがあってもテストが続行されます。

  METHOD get_schedule_line.
    data: ls_exp type zmob49_i_soschedule_max.

    prepare_testdata_set( ).
    SELECT * FROM zmob49_i_soschedule_max INTO TABLE @act_results
    WHERE vbeln = '0000000001'.

    "テスト1: 1行だけ取得されること
    describe TABLE act_results lines data(lv_lines).
    cl_abap_unit_assert=>assert_equals(
      EXPORTING
        act                  = lv_lines
        exp                  = 1
        msg                  = 'Number of records is not 1'
        quit                 = if_aunit_constants=>quit-no "エラーでも続行
    ).

    "テスト2: 最大の明細、納入日程行が取得されたこと
    read table act_results into data(ls_result) index 1.
    ls_exp = value #( vbeln = '0000000001' posnr = '000020' etenr = '0002').
    cl_abap_unit_assert=>assert_equals(
      EXPORTING
        act                  = ls_result
        exp                  = ls_exp
        msg                  = 'Max item, schedule line has not been retrieved'
        quit                 = if_aunit_constants=>quit-no
    ).

  ENDMETHOD.

##テスト結果
正常終了しました。CDSの場合、実物を作る前にテストを書くというわけにはいかなさそうです。CDSからテストクラスを作るのですから…

##CDS Test Double FrameworkとABAP CDS Test Double Frameworkの違いは？
CDS Test Double FrameworkとABAP CDS Test Double Framework、同じ使い方のように見えますが違いは何なのでしょうか。ヘルプ（ABAP、CDS）を参考にできることを比べてみると以下のようになります。ざっくりとですが、CDS Test Double Frameworkのほうが色々できて、WRITE accessだけはABAP Test Double Frameworkでやる必要がある、ということでしょうか。

##感想
CDS Test Double Framework、ウィザード形式でテストデータも登録できるので、かなり便利です。多段階のCDSや複雑なパターンがあるときに役立ちそうです。