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SAP Certified Professional – Enterprise Architect試験を受けてみた

Last updated at Posted at 2023-12-22

はじめに

この記事は SAP Advent Calendar 2023の 12月23日分の記事として執筆しています。

先日、SAP Certified Professional - SAP Enterprise Architectの試験に合格しました。この記事では、試験を受けようと思ったきっかけや、試験を受けるまでの道のりについて書きたいと思います。同じ試験を受けてみようかなという人の参考になれば幸いです。

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エンタープライズアーキテクトとは

エンタープライズアーキテクトとは、一言でいうと「企業のビジネス上のゴールとITアーキテクチャが一致するように、アーキテクチャの設計をする人」です。このためにエンタープライズアーキテクトは、企業のビジネスゴールや戦略を分析するところから、最終的なITアーキテクチャに落とし込むまでを担います。

SAP Certified Professional - SAP Enterprise Architect試験では、SAP Enterprise Architecture Frameworkというフレームワークを使用することを前提として出題がされます。SAP Enterprise Architecture Frameworkは、①アーキテクチャ設計のメソドロジー (SAP Enterprise Architecture Methodology)、②参照用のアーキテクチャコンテンツ、③ツール、④SAPが提供するサービスの4つの要素で構成されます。

image.png
引用元:SAP Enterprise Architecture Framework

このうち試験では、主にメソドロジーに焦点が当てられます。SAP Enterprise Architecture Methodologyは、TOGAF (The Open Group Architecture Framework:エンタープライズアーキテクチャ作成のためのフレームワーク)をベースとしたアーキテクチャ設計のフェーズと、各フェーズで作成する成果物を定義しています。以下のMetro Mapと呼ばれる図にフェーズと成果物が表されています。作るものが多くて圧倒されますが、全部を作成するというわけではなく、状況に応じて必要な成果物を作成することになっています。

image.png

引用元:SAP Enterprise Architecture Framework

なぜ資格を取ろうと思ったのか

以前、OpenSAPの"An Enterprise Architect’s View on SAP Business Technology Platform"というコースを受講したことがあり、エンタープライズアーキテクトというものに興味を持っていました。

今年の5月に、SAPブログでSAPでEnterprise Architectの資格が新設されることを知りました。

私は「何かを学ぶ⇒なら資格を取ろう」という思考なため、新設されたこの資格にチャレンジしてみたいと思いました。

試験を受けるまでの道のり

エンタープライズアーキテクトの資格のために、SAP Intelligent Enterprise - Architecture Foundation (IEA10)というオンライントレーニングが用意されており、結局はこれを受講したのですが、高額なこともあり最初は他の手段で勉強できないか模索していました。役に立ったと思うものも、そうでもなかったものもありますが、順番に記載すると以下のようになります。

1. OpenSAPコースを見返す(役立ち度:★)

まず、OpenSAPのAn Enterprise Architect’s View on SAP Business Technology Platformのコースを見返しました。こちらのコースでもMetro Mapは紹介されていますが、少し簡略化したバージョンになっています。また、コースの内容も試験の範囲をすべてカバーしているわけではありませんでした。
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2. Exam Guideで紹介されたドキュメントを読む(役立ち度:★★)

Exam GuideのRecommended readings and resourcesセクションに、読んでおくとよいとされるドキュメントのリンクがあります。特に、SAP CommunityのEnterprise Architecture関連のブログシリーズにはSAP Enterprise Architecture Methodologyの内容がコンパクトにまとまっています。

3. TOGAFの入門書を読む(役立ち度:★)

Exam Guideの中に推奨される要件として「TOGAFの認定」があったため、せめてTOGAFの概要を知っておこうと以下の文書を読みました。試験ではTOGAFの理解が前提とされていますが、結果的にはそこまで深く知らなくても問題ありませんでした。

4. トレーニングを受ける(役立ち度:★★★)

SAP Certified Professional - SAP Enterprise Architectに関連して、SAP Intelligent Enterprise - Architecture Foundation (IEA10)という5日間のオンライントレーニングが用意されており、これを今年の10月に受講しました。

グローバルで開催されているコースのため日本時間で必ずしも都合のよい時間帯ではなく、私が受講したときは朝7時から午後3時というスケジュールでした。内容はスライドを使った説明が半分、実際に成果物を作っていくケーススタディ(グループワーク)が半分でした。Metro Mapだけ見ても実際にどのように成果物を作るかというのはイメージしにくいので、ケーススタディは有益でした。ただ、他国の参加者と一緒にグループワークをやるのは、想像していた通り大変でした。受講するか迷ったトレーニングでしたが、試験を受けるなら必要な内容だったと思います。

5. ケーススタディを実施(役立ち度:★★★)

トレーニングでのケーススタディが消化不良気味だったため、同じケースを題材にすべての成果物をもう一度作成しました。さらにExam Guideに載っていたケーススタディを使って同じことをやりました。試験では実際に成果物を作るわけではないので成果物のクオリティは問われません。「何をどんな順番で作るか」を理解しておくのが重要であり、そのためにこのエクササイズは役立ったと思います。

6. Integration Solution Advisory MethodologyのLearning Journeyを実施(役立ち度:★★)

試験範囲にIntegration Solution Advisory Methodologyが含まれているため、以下のLearning Journeyを実施しました。試験でIntegrationに関連する出題は1、2問だったのでここまでやらなくてもよかったと思いますが、逆にこれだけやっておけば怖いものはないです。

7. 試験の準備についてのブログを読む(役立ち度:★★)

SAP CommunityのEnterprise Architectureのグループに、試験の準備についてのTipsが紹介されています。

特に3つめのマインドマップは関連する用語や図表が一か所にまとまっていて便利でだったので、試験前は何度も見に行きました。

試験の内容

試験は二部構成になっており、前半は一般的な試験と同じように知識を問うもの、後半はケーススタディにもとづいて「エンタープライズアーキテクトとしてどのような選択をするか」を問うものでした。驚いたのは、前半でいったん結果をSubmitしなければならないので、それ以降は前半の回答を見直せないということです。まったく見直しをせずSubmitしてしまったので少し焦りました。
ケーススタディは、なんとExam Guideに載っていた事例がそのまま出題されました。事前に事例を読み込んでいたため、試験ではほぼ問題だけを読んで回答することができました。ケーススタディに関しても選択式になっているので比較的安心して回答することができましたが、うち3問ほどが相互に関連していたため一つ間違えたら全部アウトでした。合格ラインが80%なので、一問の重みが大きいです。

受験を通じて感じたこと

普段自分がやっているのはすでにある要件を「どうやって実装するか」であるのに対し、エンタープライズアーキテクトは「ビジネスゴールは何か」、「ビジネスゴールに近づくためのアーキテクチャをどのように作るか」というところからアプローチしていくので、見ている世界(目線の高さ)がまったく違うと感じました。

成果物を作成する過程で、企業がもつ「ケイパビリティ」(ビジネス活動を実行し、ビジネスの目的を達成し、顧客に価値を届けることができる能力)や「プロセス」を分析するというステップがありました。トレーニングの中ではSignavioのProcess Explorerから該当しそうなものを見繕って使っていましたが、自分が選んだものが適切なのかがわからず(正解はないのですが)モヤモヤしていました。業務コンサルタントの方であれば業界の特徴などを把握しており、どのようにあたりをつけて進めていくかの見当がつくのだろうと思います。

そんなわけで、私の関心は「ビジネス」よりも特定の「ソリューション」に関するアーキテクチャにあるのだということを改めて実感しました。今後もMetro Mapの上流の部分にかかわることはなさそうですが、自分がかかわるソリューションもビジネス上のゴールとつながりがある(はず)ということを意識の片隅において仕事をしていきたいと思います。

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