はじめに:技術と経営の溝を埋める挑戦
私はPHP, CakePHP製のウェブメディアサイトを運営する非テック企業に所属するエンジニアです。
技術的負債の解消、特にPHP7.4→8.4、CakePHP3→4(理想は5だけれど)へのアップグレードの必要性を
私だけでなくエンジニアチームから長らく訴えてきましたが、なかなか理解を得られずにいました。。
「現状動いているのになぜ変える必要があるの?」
「それより新機能の開発を優先すべきでは?」
「コストと時間がかかるなら後回しで...」
経営層やマーケ部門にセキュリティや将来性といった技術的な重要性を伝えても、
どうしても目に見える売上数字や効率を優先する判断になりがちでした。
💡 発想の転換:技術を売り込むのではなく、ビジネス価値を可視化する
そこで今回、アプローチを根本から見直し、AIツールを駆使して圧倒的スピードで資料作成を行いました。
目指したのは「経営者が知りたい情報」と「技術者が伝えたい情報」の最適な融合です。
🤖 AIを活用した爆速情報収集と資料作成プロセス
使用したAIツールと役割分担(クリックで開く)
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ChatGPT (GPT-4o) Deep Research モード:
- PHP/CakePHPアップグレードの技術的メリット調査
- 具体的な数値データやケーススタディの収集
- 複数ソースからの情報を要約・統合
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Claude 3.7 Sonnet Thinking Mode:
- 非エンジニアにも伝わる資料構成の設計
- ビジネス指標と技術的メリットの紐付け
- わかりやすいビジュアル資料のレイアウトデザイン
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CodePen:
- インタラクティブな資料の表示
- 複数ページにわたる情報を整理
🎯 非エンジニア説得のための3つの工夫
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投資対効果(ROI)の可視化:
- コスト削減と収益改善の具体的数値を提示
- 目に見えない「技術的負債」を「将来の経営リスク」として再定義
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わかりやすいビジュアル表現:
- グラフや図解で複雑な情報を直感的に伝達
- 5つの短いセクションに情報を整理し、情報過多を避ける
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経営用語での再フレーミング:
- 「技術的負債」→「事業継続リスク」
- 「パフォーマンス向上」→「顧客体験と売上改善」
📋 本編:アップグレードによる事業メリットとROI(全5ページ)
▼フルページリンクはこちら
https://codepen.io/yu-tama/full/GgRBoJd
See the Pen PHP/CakePHPアップグレードの事業メリット by yu-tama (@yu-tama) on CodePen.
📢 成果:バージョンアップが最優先タスクに昇格
この資料を用いた20分のプレゼンテーションの結果、PHP/CakePHPアップグレードを最優先タスクとして承認されました!
これまで「技術的なメンテナンス」として後回しにされていた案件が、
「重要な事業投資」として認識されるようになりました。
🔑 経営層を動かした決め手
- リスクの具体化:「サポート終了済み」という事実と脆弱性発生時の事業ダメージの試算
- 投資対効果の明確化:開発効率20-30%向上、障害対応コスト40-50%削減という具体的数値
- 売上向上の可能性提示:処理速度15-30%向上によるPV増加と広告収益改善の見込み
成功のポイント:
技術者が陥りがちな「技術的な素晴らしさ」ではなく、「経営にとっての価値」を徹底的に可視化したことが決め手でした。AIツールを活用することで、膨大な情報収集と分析、わかりやすい資料作成をわずか数時間で完了できたことも、余計なリソースを割かずに済んだという意味でも成功要因かな、と思っています。
📝 まとめ:AI時代のエンジニアコミュニケーション戦略
📊 非エンジニアを動かす3つの価値フレーミング
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🛡️ リスク管理の視点
- セキュリティ脆弱性 → ブランドダメージとビジネス中断リスク
- 安定性向上 → 顧客体験の一貫性確保
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⚡ 事業成長の視点
- 処理速度向上 → 顧客満足度と滞在時間の延長
- UX改善 → コンバージョン率と収益向上
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💹 経営効率の視点
- 開発効率向上 → 市場投入時間の短縮と競争優位性
- 障害対応コスト削減 → 利益率改善
- PV増加 → 直接的な収益インパクト
この経験から学んだ最大の教訓は、「技術と経営をつなぐ翻訳者」としての役割の重要性です。
AIツールをうまく活用することで、エンジニアはこの翻訳作業を効率化し、
「技術的に正しいこと」を「経営的に正しいこと」として伝えられるようになります。
🤖 AIツール活用のコツ
最後に、今回特に効果的だったAI活用のポイントを共有します:
- 質問の具体化:「非エンジニア向けのPHPアップグレード資料」ではなく「ROIを重視する経営層向けのPHP投資提案書」と指示
- 複数ツールの組み合わせ:情報収集と資料作成を役割分担
- 出力の検証:AI生成情報の事実確認とブラッシュアップ
今後もこうしたアプローチで、エンジニアと非エンジニアの間の「言語の壁」を乗り越えていきたいと思います!