- エンジニアとして給料はそこそこもらっているけど、このままでいいんだろうか?
- エンジニアとしてのキャリア設計が思い浮かばない
という方向けに私のキャリア設計、キャリア指針についてお伝えします。私は本業と副業で同じことを行いつつも、与える価値について異なる方針を取ることにしています。
自己紹介
私は大学でロボット開発をしたあと、ウェブアプリエンジニアとして大規模なSNSを運営するピクシブという会社に就職しました。
現在は、より挑戦できる場所を目指し、FinTechベンチャーであるOLTAに転職しています。
副業では、機械学習案件を引き受けたり、集客メディアを作成したり、広告導入のコンサルティング、大学研究員、エンジニアキャリア支援などをやっています。雑誌への執筆経験や、カンファレンス登壇経験もあります。
いろんな肩書を持つ私ですが、なぜ私がそのような経歴を積めたのか? 話していきます。
副業で営業して気づいた「エンジニアの価値に気づいてもらえない」
エンジニアは多くの企業にとって無くてはならない職種となっています。しかし、エンジニアがいらない仕事が多いことも事実です。私は、個人事業主として自分で営業を掛けてみて、現実を知りました。
「システムが作れます」と言ってもシステムが必要だという認識のない経営者には響かないという当たり前の事実です。
営業が初心者ということもあって、なかなか案件が取れませんでした。友人の紹介で案件はいただけていましたが、個人で獲得した案件は長らくゼロでした。
営業をしたことがあるエンジニア出身者の多くは、このような経験があると思います。
この経験は私にとって学びの機会となりました。
自分が相手にもたらす価値とは何か?
これまで多少なりとも求められていた自分自身が、副業の営業では求められない……。これは結構悩みました。
私のキャリア観を振り返り、次のようなときに重宝されていたことに気づきます。
・私がいることで起こる良い変化を、相手が明確にイメージできていたとき
・良い変化を起こすには、私が必要なとき。あるいは私がいることで容易に良い変化を起こせるとき
一言で言えば、相手の立場に立って私がもたらす利益を伝える必要があったわけです(マーケティング用語でベネフィットと言います)。
私のキャリア観
私が会社員となってからは、常に鶏口牛後であろうとしていました。
小さな組織で対外的に公表できるポジションに就くこと、成果を出すこと、そしてそれをさまざまなコミュニティで繰り返すこと。
小さな会社であってもCEOであればCEO同士のつながりに入ることができますし、機械学習をメインでやっている会社でなくても機械学習を仕事としてやれば機械学習をやっているコミュニティに入ることができます。
ウェブアプリケーションエンジニアコミュニティとして成果を出したあと、機械学習コミュニティに所属した場合、過去の成果をうまく使うことができます。機械学習は見習いだが、ウェブアプリケーションは熟練者という状況になります。
このとき、機械学習コミュニティでウェブアプリケーションの知識・経験が必要な機会に遭遇したら活躍するチャンスです。
そこで機械学習を学び、ウェブアプリケーションエンジニアコミュニティに持って帰れば、あなたの活躍するチャンスはより大きくなります。
このような考えで、分野が応用しやすい隣接するコミュニティにジャンプしていきます。
重要なのは、コミュニティの典型的なメンバーと同じポジショニングをしないということです。マーケティング用語でUSPといいます。
私はフィードバックがないと忍耐力が続かないため、このやり方はうまく働きました。
このキャリア観は、営業するときにも活きました。
経営者と話すときにこの経営者が困っている問題は何か、何ができたら喜んでもらえるのか考えるようにしています。
「システムを作る」ような手段ではなく「集客を3倍に増やすためにシステムを作る」目的ありきの手段を提示する形です。
提案は断られることが多いですが、断れるたびに少しずつ経営者が気にするポイントが分かってきたので少しずつ修正していきました。
提案が一度通ってしまえば、実績として次につなげることができますので、対応できる業種(コミュニティ)が広がっていきます。
ある程度、実績ができてくると「私のキャリア観」で述べたコミュニティのジャンプが可能になってきますから、提案が楽になりました。
経営者コミュニティでウェブアプリケーションを納品し、ウェブアプリコミュニティで経営視点でアドバイスする、エンジニア志望のコミュニティで、ウェブアプリのアドバイスしつつ経営視点での物の見方を教える、データ分析コミュニティでウェブアプリでのデータ収集について教えて……、というサイクルです。
複数コミュニティに所属するキャリア
上記で述べた通り、複数コミュニティに所属していると情報格差(あるいは経験格差)を使って上手に成長のチャンスを手に入れることができます。
それを実現するには、常に二つの問いかけを自分自身にしていく必要があります。
- コミュニティには、どういう能力を持った人が多いのか? どういう能力が欠けている人が多いのか?
- コミュニティで活躍するために自分に何ができるか? あるいは重宝されるためには何をしたらいいか?
これらの回答がはっきりとわかったとき、コミュニティであなたの役割や立ち位置は明確になり、やることに迷わなくなります。
データエンジニアとしての自分の需要を見つけた
私が個人事業主や転職を経験し気づいたことがあります。ウェブアプリケーションが作れて、データ収集からデータ分析、機械学習(特に画像処理)、施策立案ができる人は多くない。私は学生時代からやっていたので前職でも、現職でも当たり前かと思っていましたが特に画像処理の知見を持った人が少ないことに気づきました。
おかげで、漫画吹き出し検出、カジノチップカウンティング、授業中風景からの聴講生集中度の推定などさまざまな案件に呼ばれることになりました。機械学習ができるだけではなく、実システムに組み込むところの要求定義もできたため重宝されました。
学生時代から画像処理が好きでC言語で画像処理エンジンを作っていたことが、こんなところまで結びつくとは思いもしませんでした。
画像処理に強みを見つけたあとには、 Python JP 2020 で趣味で作っている画像検索システムについて登壇することもできています。
https://pycon.jp/2020/timetable/?id=203648
現在は、システムメンテから、データ収集、データ分析、立案まで行える能力を買ってもらい、とある会社のCSリーダーをさせていただいています(※副業)。学生時代に心理学実験を通じて学んだアンケート作成や、データ分析の経験があったことも後押しとなりました。
データサイエンティストとして成長するために「データラーニングギルド」に入った
コミュニティのジャンプを通じて、まだまだ「データサイエンティストとして成長できるだろう」と確信しました。自分が成長すれば、他人の手伝いをするときにより大きな価値を提供できると考えています。
そういう背景があって、私は データラーニングギルド に所属し、データサイエンティストに囲まれながら情報を得ています。データサイエンティストが集まるコミュニティはあまり見られないのでとても貴重だと思います。
私はウェブアプリケーションエンジニアが主軸ですので、データ収集やデータ加工、データエンジニアリングについて情報発信を行っています。
いまは、私の強みをより強化するために、データラーニングギルドで教えていただいた画像処理エンジニア検定エキスパート の勉強を行っています。
まとめ
- 自分の価値を客観的に見られる環境に身を置く
- コミュニティの中で得られた経験、知識を使い別の場所で活用する
- 過去の経験で得たデータサイエンス(特に画像処理、機械学習)を武器に、サロンで情報交換しながら新しいキャリアを狙っている