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OpenAI API o3 deep researchを試してみた

Last updated at Posted at 2025-07-06

OpenAIのDeep Researchモデル「o3-deep-research」は、数十ステップにわたるウェブ調査を自動で行い、複雑な課題に対して高品質な要約や引用付きレポートを短時間で生成する驚異的なクオリティを誇ります。

そしてなんと、そんなo3-deep-researchが2025年6月27日にAPIとして正式リリースされ、誰でもプログラムから利用できるようになりました!

本記事では、この最新APIをいち早く動かしてみる手順をシンプルにまとめています。まずは「とりあえず動かす」をゴールに、Pythonコードでdeep researchの威力を体験してみましょう!

1. 事前準備

(1) OpenAI APIキーを取得

step1. OpenAI API keyのURLにアクセス

メニューパスはOpenAI APIにログインしたあと、画面上部のDashboard > 画面左部のAPI keysでも移動できます
image.png
image.png

step2. API keyを作成

API keys画面に移動したら、画面右上にあるCreate new secret keyを押す
image.png

APIキーのName, Project, Permissionsを入力して作成
image.png

(2) 必要なパッケージのインストール

Python openai

OpenAI APIのPythonでの実行にopenaiパッケージを使用するためインストールします。

pip install openai

2. PythonコードからOpenAI APIを実行

それではさっそく、Pythonコードからo3-deep-researchとGPT-4.1(比較用)を実行するサンプルコードを紹介します。AIへの質問文を「生成AIは人類の仕事を置き換えますか?」として、それぞれの回答を比較してみたいと思います。

APIの実行はAPIキーを指定する必要がありますが、コードに直接記述してしまうと漏洩リスクがあります。そのため、環境変数から渡すようにします。

export OPENAI_API_KEY=<APIキー>

o3-deep-research向けサンプルコード

まずはo3-deep-researchを試してみます。

sample_o3-deep-research.py

from openai import OpenAI
client = OpenAI(timeout=3600)

input_text="生成AIは人類の仕事を置き換えますか?"

response = client.responses.create(
  model="o3-deep-research",
  input=input_text,
  tools=[
    {"type": "web_search_preview"},
    {"type": "code_interpreter", "container": {"type": "auto"}},
  ],
)

print(response.output_text)

スクリプトを作成したら実行します。

python sample_o3-deep-research.py

gpt-4.1向けサンプルコード

比較用にgpt-4.1も試してみます。

sample_gpt-4.1.py

from openai import OpenAI
client = OpenAI()

input_text="生成AIは人類の仕事を置き換えますか?"

response = client.responses.create(
    model="gpt-4.1",
    tools=[{"type": "web_search_preview"}],
    input=input_text
)

print(response.output_text)

スクリプトを作成したら実行します。

python sample_gpt-4.1.py

3.結果検証

それでは実行結果を検証していきましょう。

生成された文章

まずは従来のgpt-4.1で生成された文章を見てみます。

gpt-4.1の回答

生成AIが人類の仕事を置き換えるかどうかについては、多くの議論があります。現時点でわかっている主なポイントを簡単にまとめます。

### 1. 一部の仕事は置き換えられる
- **定型的な作業やルーチン業務**はAIによって自動化が進みやすいです。たとえば、データ入力、簡単な文書作成、画像認識やパターン判別などです。
- **カスタマーサポートの一部(チャットボットなど)**や**プログラムコードの生成補助**も、生成AIによって効率化や置き換えが進んでいます。

### 2. すべての仕事がなくなるわけではない
- **創造性が必要な仕事、対人スキルが重視される仕事**(医療、教育、交渉など)はすぐには置き換えられません。
- AIは人間の判断力や共感力、倫理的判断を完全に再現できず、**人間とAIの協働**が主流になると考えられています。

### 3. 新しい仕事も生まれる
- 生成AIを**導入・管理・活用するための新しい業種や職種**(プロンプトエンジニア、AI倫理監査、AIトレーナーなど)が出てきます。

### 4. **職業の「内容」が変化する**
- 仕事の本質が「AIを使いこなす力」にシフトし、**AIと協働することが標準化**する分野も多いです。
- 日常業務をAIが補助することで、人間はより創造的・戦略的なタスクに集中できるようになるという見方もあります。

### 専門家の予測
- 一部のリサーチでは「2030年までに世界の仕事の約15%が自動化される」といった予測もありますが、全面的な失業には至らないという見方が主流です。

---

**まとめ:**  
生成AIは特定の職種や業務の「やり方」を大きく変えたり、なくしたりする可能性は高いですが、「すべての仕事がなくなる」わけではなく、人間の働き方が変わる方向に進むと考えられます。

もし特定の業種や、生成AIがもたらす具体的な変化の例が知りたい場合は、さらに詳しく説明できます。

それなりにシンプルにまとまっており、回答も正しそうに思えます。
続いてo3-deep-researchの実行結果です。

o3-deep-researchの回答

# 生成AIは人類の仕事を置き換えるのか?

## AIの進歩と仕事への影響
生成AI(ChatGPTなど、文章や画像を自動生成できる人工知能)は、近年急速に進歩しています。これにより、人間が行ってきた文章作成や画像デザイン、プログラミングといった仕事をAIが代行できる場面が増えています。そのため、多くの人が「AIが自分たちの仕事を奪ってしまうのではないか」と不安を感じています。

## 雇用への影響に関する予測
いくつかの調査研究は、生成AIが広範な職に影響を及ぼす可能性を示しています。例えば、ゴールドマン・サックスの分析によれば、世界中で約3億人分の雇用が生成AIによって何らかの形で影響を受けるリスクがあるとされています ([observer.com](<引用URL>))。また、米国に関する別の試算では、経済活動を支える職種の半数以上がAIにより大きく影響を受ける一方で、実際に職を失う労働者の割合は小さいことが報告されています ([www.businessinsider.com](<引用URL>))。このように、AIは多くの仕事に変化をもたらすものの、即座に大量失業を引き起こすわけではないとの見方もあります。

## 部分的な自動化と人間の役割
専門家の多くは、AIによる仕事の「置き換え」は、職務全体ではなく一部のタスクに留まると考えています。国際労働機関(ILO)の分析でも、生成AIは仕事全体を丸ごと代行するよりも、各職種の特定の作業を自動化して効率化する傾向が強いと示唆されています ([www.ilo.org](<引用URL>))。つまり、ほとんどの職業では一部の業務のみが自動化の対象となり、AIは人間の役割を完全に奪うというよりむしろ補完する存在になると期待されています ([www.ilo.org](<引用URL>))。実際、AIが文章の下書きを作成して人間が仕上げを行うように、人間とAIが協働して仕事の質と効率を高めるケースが増えています。

## 生成AIが得意な業務の例
生成AIが特に得意とし、置き換えの可能性が高いとされる業務には次のようなものがあります。

- **文章やコンテンツ作成**: ブログ記事の草稿、商品説明文、報告書の初稿など、定型的な文章作成はAIが高速かつ大量に生成できます。
- **カスタマーサポート**: チャットボットによる問い合わせ対応で、よくある質問への回答や簡単な手続き案内はAIが24時間対応可能です。
- **プログラミング補助**: コードの自動生成やバグ検出などはAIが支援でき、大量のコードを書く単純作業は効率化されつつあります。
- **画像・デザイン案の生成**: ロゴ案や簡単なデザイン、イラストといったビジュアル素材をAIが作成し、人間のデザイナーがそれを基にブラッシュアップするといった利用法が広がっています。

## AIでは代替が難しい仕事の例
一方で、現時点の生成AIには完全に置き換えることが難しい、人間ならではの強みが求められる仕事も多く存在します。

- **対人コミュニケーションやケア**: 教師、医師、看護師、カウンセラーなど、人と直接向き合い共感や信頼関係が重要な職業は、AIではなく人間ならではの対応が求められます。
- **高度な創造性や戦略立案**: 新規ビジネスの構想を練る経営者や研究者、アートディレクターなど、独創的なアイデア創出や戦略的判断が必要な仕事は、AIには真似できない部分があります。
- **現場での臨機応変な対応**: 現場で身体を使いながら状況に応じて判断する職人仕事や、緊急時の対応を要する職種(消防士、警察官など)は、AIやロボットでは対処しきれない場面が多々あります。

## 結論: 人間とAIの共存に向けて
生成AIは今後、確かに多くの仕事のあり方を変えていくでしょう。単純で反復的な作業はAIに任せ、人間はより創造的で付加価値の高い業務にシフトしていく流れが進むと考えられます。実際のところ、AIの出現によって従来の職務が消失するケースもありますが、多くの仕事はAIの導入によって形を変えながら存続すると予想されています ([briefing.today](<引用URL>))。そしてAIの発展に伴い、新たな職種(例えばAIを管理・調整するプロンプトエンジニアや、AIでは対処できない問題を解決するスペシャリストなど)も生まれつつあります。歴史的にも技術革新は雇用を破壊するだけでなく新しい雇用を生み出してきました。総合すると、生成AIが人間の仕事をすべて奪い尽くすというより、人間とAIが役割を分担し協働することで、より効率的で豊かな働き方が実現していくと考えられます。

 ([observer.com](<引用URL>))As many as 300 million full-time jobs in the world…are at risk of being replaced in some way by generative artificial intelligence… according to a Goldman Sachs study ([observer.com](<引用URL>))

 ([www.businessinsider.com](<引用URL>))Over half of all jobs driving the US economy will be significantly impacted by AI… with a small percentage of workers losing their jobs and struggling to find new employment ([www.businessinsider.com](<引用URL>))

 ([www.ilo.org](<引用URL>))Generative AI… has more potential to transform jobs by automating specific tasks, rather than replacing entire job roles.

 ([www.ilo.org](<引用URL>))Most jobs… are only partly susceptible to automation, suggesting that AI will complement rather than substitute these roles.

 ([briefing.today](<引用URL>))A Goldman Sachs report suggests up to 300 million jobs could be influenced, yet most will evolve rather than vanish.

o3-deep-researchになると情報量が多くなり、また引用したURLを表示するようになります。
また、検索した情報をもとに自ら推論や分析を実行しています。

実行時間、コスト比較

続いて、それぞれのモデルで実行時間とコストを比較してみます。

モデル 実行時間 発生コスト
gpt-4.1 約10秒 $0.01以下
o3-deep-research 約4分 $2.27

gpt-4.1は約10秒ほどで結果が返ってきますが、o3-deep-researchは約4分とそれなりに実行時間がかかっています。またコスト面でもgpt-4.1はほぼゼロですが、o3-deep-researchでは2ドルほどが発生しています。

ちなみに他のエンジニアが試したところだと、実行時間は約10分程度でコストは10ドル弱ほどといった情報もSNSで見かけます。また、今回の検証ではかなりシンプルな質問としていますが、本格的なマーケット予測用のプロンプト(約150行)をo3-deep-researchで筆者が実行してみたところ、数十ドルのコストが発生しています。

トラブルシューティング

実行環境を構築できない (Dockerで対応)

実行環境をうまく構築できないかたへDockerfileを置いときます。

Pythonスクリプトを作成したのと同じディレクトリに下記のDockerfileとinit.shファイルを作成してdocker buildでイメージ作成してください
(*) APIキーを直接記述せず、環境変数で渡す方式にしています

step1. Dockerfile その他ファイル作成

Dockerイメージ作成用のDockerfileと起動用のinit.shを作成してください。

Dockerfile

#FROM python:latest
FROM registry.access.redhat.com/ubi8/ubi:latest

# Install package

RUN cd $HOME

RUN yum install -y python3.12
RUN yum install -y python3.12-libs
RUN yum install -y python3.12-devel
RUN yum install -y python3.12-pip
RUN yum install python3.12-pip

RUN yum install -y gcc
RUN yum install -y gcc-c++

RUN pip3.12 install openai

COPY ./*.py /root/
COPY ./init.sh /root/

RUN chmod 755 /root/init.sh

ENTRYPOINT ["/root/init.sh"]

init.sh

#!/bin/bash

echo start sample_o3-deep-research.py: `date`
python3 /root/sample_o3-deep-research.py
echo finish sample_o3-deep-research.py: `date`

echo start sample_gpt-4.1.py: `date`
python3 /root/sample_gpt-4.1.py
echo finish sample_gpt-4.1.py: `date`

step2. Dockerイメージ作成 (docker build)

docker buildコマンドでDockerfileからイメージ作成します。
Dockerfileおよび関連ファイルはすべて同じディレクトリに格納して、そのディレクトリへ移動してからdocker build実行してください。

docker build ./ -t sample-o3-deep-research

step3. Dockerコンテナ実行 (docker run)

APIキーを環境変数にセットして、それをDockerコンテナへ渡す方式で実行します。

export OPENAI_API_KEY=<APIキー>
docker run -e OPENAI_API_KEY -it sample-o3-deep-research /bin/bash

step4. 実行結果を確認 (docker logs)

Dockerコンテナを実行すると標準出力に実行結果が表示されますが、ログから確認することも可能です。

# 実行したコンテナのCONTAINER IDを探す
docker ps -a

# コンテナの実行ログを表示
docker logs <CONTAINER ID>

最後に

今回ご紹介したo3-deep-researchは非常に強力なAPIで、これからこのAPIを活用したシステムが増えていくでしょう。今回紹介した手順で API キーを設定し、サンプルコードを動かすだけで実践できます。興味を持った方はぜひお手元の環境で試してみてください。

また、私のXアカウントでもAI関連情報を発信しているので、よろしければフォローしてください。

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