色々と本が出ているようなので、まとめてみる。
読んだことのない本も目次からなんとなく推測する。
追記を随時行う予定。
注意:量子情報理論(Quantum Shannon Theory)を中心に研究をしていたので、物理実装や、計算には疎いです。
概論
Quantum Computation and Quantum Information: 10th Anniversary Edition
by Michael A. Nielsen and Isaac L. Chuang
英語版
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日本語訳 1 ~ 3巻
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(https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A8%E9%87%8F%E5%AD%90%E9%80%9A%E4%BF%A1%E3%80%882%E3%80%89%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A8%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0-%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A8%E9%87%8F%E5%AD%90%E9%80%9A%E4%BF%A1-2-%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB-%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%B3/dp/4274200086)
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ノート
- Nielsen はこの本を書いた後に、金融に行き、Deep Learningに行きと色々とやっている多彩な人。一方のChuangは、ずっと量子関係の話題をやっているよう。publish listを見る限り、理論から実装まで幅広く手がけているらしい。
- 私が学生になる前(2010年ごろ)から定番本で、そのころは、「Nielsen & Chuangのここに書いてあった〜〜」といえば議論がすっとばせるほど、量子情報関連の人は誰もが読んでいた印象。
- 650ページを超える本で、読み込むのはなかなか大変だが、おおよそ物理的な実装以外の全ての領域を網羅的に書いてある良書。ただ、よくも悪くも「アメリカ的」な教科書で、1からわかりやすく書いてあるが、難しい部分や厳密なところは飛ばしていることも多いので、理論をしっかりやりたい人には向かないかもしれない。
- 私の研究していた量子情報理論に限って言えば、2020年現在としては若干古めの記述も多く、量子情報理論だけに限ってやりたいのであれば他の本を勧める。
この本に向く人
- 分野を俯瞰したい人
- 基礎から勉強したい人
- 難しいところは飛ばしながら全体感を掴みたい人
量子情報科学入門
by 石坂智, 小川朋宏, 河内亮周, 木村元, 林正人
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ノート
- 所属していた研究室の先生も書かれている本。書かれていた最中は色々と苦労されていたのを覚えている。
- こちらも物理的実装以外の全ての領域をカバーしている良書。
- もともとは「量子情報科学ウィンタースクール」という東北の山の中での学部3年生から修士の学生までの合宿勉強会の内容をまとめたもの。
- Nielsen & Chuangより後にかかれているのもあって、より記述は近代的。ただし、数学や基礎よりの著者が多く、その記述もより厳密なので、難しいという印象を受ける人もいるかもしれない。
この本に向く人
- 分野を俯瞰したい人
- 基礎から勉強したい人
- より数学的に量子情報を理解したい人
量子情報理論 第3版
by 佐川弘幸, 吉田宣章
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ノート
- 物理的側面を入り口にして網羅的に書かれた本。物理的実装や、アニーリングについても書かれている。
- 量子情報理論というタイトルがついているが量子情報理論が書かれているのはそこまで多くはないイメージ。
この本に向く人
- 物理的な側面に興味がある人
- 俯瞰的に学びたい人
- 特に実装やアニーリングまで学びたい人
- 難しいところは飛ばしながら全体感を掴みたい人
情報理論
量子情報理論入門
ノート
- 林先生の本。(量子)情報理論界隈では理論の壁をを力でこじ開けていくような非常に力を持った方というイメージ。
- 基礎から書かれており、情報理論に必要なところを詳しく書かれている。一般情報理論的な量子情報理論の扱いで日本語で読めるとなるとあまり他の本が思いつかない。図書館以外で手に入るかはわからないが。
- しかし、力の有る先生の書かれた「やさしい」本なので、紙面の都合も有るだろうが、あんまりやさしくない印象。少なくとも行間を埋める能力や、論文の誤植を察するようスキルは必須。
- 量子情報理論をやる時に『量子情報科学入門』を読み終わった後に読むとよいか。
この本に向く人
- 量子情報理論に興味の有る学部生や院生
- 数学の本をきちんと読める人
Quantum Information Theory
by Mark Wilde
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ノート
- 量子情報理論の学者。Mark Wildeの本
- 古典情報理論と量子情報理論とがしっかりと書かれており、タイプ(典型系列)を用いた情報理論で量子情報理論を理解したい場合にはこれ以上の入門本は知らない。
- ただし、これも650ページを超えるしっかりとした本であり、読み込むのは大変。
この本に向く人
- 古典情報理論から情報理論を勉強したい人
- 数理的な扱いが好きな人
- タイプによる情報理論を学びたい人
量子計算/物理
量子コンピュータ入門[第2版]
by 宮野健次郎, 古澤明
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ノート
- 半導体、光学の実験の大家が書かれた教科書。
- より物理的な側面から説明が始まり、量子計算で主要なアルゴリズムであるショアのアルゴリズムや誤り訂正のアルゴリズム、最後に量子テレポーテーションの実験に関する話題で本が終わっている。
- 176ページとそこまで厚さはなく、実験系の方が書かれているので、一般の人にもそこまで読みづらくはないと思う。ただし、理論屋さんが読むべきかどうかはしっかりと読んでみないとわからない。
この本に向く人
- 物理的、特に実験的な側面からの興味が強い人
- 光学系が大好きな人
- 物理的な実装についてのイメージをある程度持ちたい人?