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知らないと損する!SSOの仕組みと活用法

Last updated at Posted at 2024-11-19

はじめに

シングルサインオン(SSO)とは特に中大規模の企業や組織で広く利用されている身分認証システムとして、ユーザーが1回のログインで、複数のシステムやアプリケーションにアクセスできる認証方式を指します。本文では、シングルサインオン(SSO)の仕組み、種類、メリットやデメリットなどの基本情報を皆さんに紹介します。SSOへの理解を深めてみたい方は、ぜひ本記事をご参照ください。

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シングルサインオン(SSO)とは

シングルサインオン(SSO)とは特に中大規模の企業や組織で広く利用されている身分認証システムとして、ユーザーが1回のログインで、複数のシステムやアプリケーションにアクセスできる認証方式を指します。

例えば、企業がMicrosoft Entra single sign-on (SSO)を利用していて、会社員にusername@companyname.comというメールアドレスを振り分けている場合、会社員がこのusername@companyname.com及びパスワードを使って、Microsoftのサービスだけではなく、SSOと連携するように設定された他社の様々なサービス(Salesforce, Google Workspace, Slack等)にもアクセスできます。そして、SSOでログインすると、そのユーザーの組織に関連付けられた設定やアクセス権限が自動的に適用されます。

SSOの仕組み

それでは、SSOはどのようなプロセスで実現されています。次は、SSOの基本的な仕組みについて説明します。SSOの実装方法には複数のアプローチがありますが、一般的な流れは以下のように8つの段階に分けることができると思います。

sso-workflow-1.png

初期設定

システム管理者は、まず認証情報を管理する中央サーバー(アイデンティティプロバイダ (IdP))を設定します。このサーバーは、ユーザーの認証情報を保存し、認証プロセスを管理します。次に、ユーザーがアクセスする各サービスやアプリケーション(サービスプロバイダ (SP))をこの中央サーバーに登録します。

この過程で、アイデンティティプロバイダ (IdP) とサービスプロバイダ (SP) の間に信頼関係が確立されます。これにより、サービスプロバイダ (SP) は中央サーバーからの認証情報を信頼して受け入れることができるようになります。

ユーザーアクセスとリダイレクト

ユーザーが特定のサービスやアプリケーションにアクセスしようとすると、そのサービスプロバイダ (SP) はユーザーが認証済みかどうかを確認します。未認証の場合、サービスプロバイダ (SP) はユーザーをアイデンティティプロバイダ (IdP) のログインページにリダイレクトします。このリダイレクトには、ユーザーがアクセスしようとしていたサービスの情報も含まれます。

認証プロセス

アイデンティティプロバイダ (IdP) のログインページで、ユーザーは自身の認証情報(通常はユーザー名とパスワード)を入力します。アイデンティティプロバイダ (IdP) はこの情報を検証し、正しければユーザーを認証します。

多要素認証 (MFA) が設定されている場合は、追加の認証ステップ(例:スマートフォンへのプッシュ通知や、指紋認証など)が要求されることもあります。

トークン生成と送信

認証が成功すると、アイデンティティプロバイダ (IdP) は認証トークンを生成します。このトークンには、ユーザーの識別情報や認証状態、有効期限などの情報が含まれます。アイデンティティプロバイダ (IdP) は、このトークンをユーザーのブラウザを介してサービスプロバイダ (SP) に送信します。

トークン検証とアクセス許可

サービスプロバイダ (SP) は受け取ったトークンを検証します。トークンが有効であり、信頼できるアイデンティティプロバイダ (IdP) から発行されたものであることを確認します。検証が成功すると、サービスプロバイダ (SP) はユーザーに対してリソースへのアクセスを許可します。このプロセスにより、ユーザーは追加の認証なしでサービスを利用できるようになります。

セッション管理

アイデンティティプロバイダ (IdP) は、ユーザーの認証セッションを維持します。ユーザーが別のサービスプロバイダ (SP) にアクセスしようとした場合、既存の認証セッションが有効であれば、新たな認証プロセスを経ることなく、アイデンティティプロバイダ (IdP) が新しいトークンを発行します。これにより、ユーザーは一度のログインで複数のサービスにシームレスにアクセスできます。

シングルログアウト (SLO)

ユーザーがログアウトを選択した場合、アイデンティティプロバイダ (IdP) は全てのサービスプロバイダ (SP) にログアウト通知を送信します。これにより、ユーザーは一度のログアウト操作で全てのサービスからログアウトすることができます。この機能により、セキュリティが向上し、ユーザーが特定のサービスにログインしたままになるリスクを軽減します。

セキュリティと監視

シングルサインオン (SSO) システムでは、セキュリティが非常に重要です。そのため、全ての通信は暗号化(HTTPS)されます。また、トークンには有効期限が設定され、定期的に更新される必要があります。システム管理者は、アクセスログを定期的に監視し、不審な活動がないか確認します。さらに、多要素認証 (MFA) を導入することで、セキュリティをさらに強化することができます。これらの対策により、シングルサインオン (SSO) の利便性を維持しつつ、セキュリティリスクを最小限に抑えることが可能となります。

この仕組みにより、ユーザーは一度の認証で複数のサービスにアクセスでき、組織は一元化されたアクセス管理を実現できます。実際の実装は使用するプロトコルやツールによって詳細が異なる場合がありますが、基本的な概念はこの流れに従います。

シングルサインオン(SSO)の種類

SSOが利用するプロトコルによって、たくさんの種類が存在しています。それぞれの種類の特徴や動作フローが異なっていますので、この部分では、一般的なSSOのプロトコルについて皆さんに紹介します。

SAML (Security Assertion Markup Language)

SSOで一番汎用されているプロトコルは、SAMLになります。SAMLは XML ベースのオープン標準のプロトコルです。

saml-sso-2.png

特徴

  • 主にエンタープライズ環境で使用
  • IdP (Identity Provider) と SP (Service Provider) 間で認証情報を交換
  • ブラウザベースの SSO に適している

動作フロー

  • 1.ユーザーが SP にアクセス
  • 2.SP が IdP にリダイレクト
  • 3.IdP がユーザーを認証
  • 4.IdP が SAML アサーションを SP に送信
  • 5.SP がユーザーにアクセス権を付与

利点

  • セキュリティが高い
  • 詳細な属性情報の交換が可能

OAuth 2.0

OAuth 2.0の主な目的は、アプリケーションに対して、ユーザーの代わりにリソースにアクセスする権限を与えることです。OAuth 2.0 は主に認可のためのプロトコルですが、SSO にも使用されることが多く見られます。

oatuh-3.png

特徴

  • API アクセスの認可に広く使用
  • トークンベースの認証
  • モバイルアプリケーションとの相性が良い

主要な概念

  • クライアント:アクセスを要求するアプリケーション
  • リソースオーナー:ユーザー
  • 認可サーバー:トークンを発行
  • リソースサーバー:保護されたリソースを提供

グラントタイプ

  • 認可コードフロー
  • インプリシットフロー
  • リソースオーナーパスワードクレデンシャル
  • クライアントクレデンシャル

OpenID Connect (OIDC)

OpenID Connect (OIDC) は、OAuth 2.0プロトコルの上に構築された認証レイヤーです。OIDCは、クライアントがユーザーの身元を確認し、基本的なプロファイル情報を取得することを可能にします。OIDC SSOでは、ユーザーが一度認証を行えば、同じIdPを使用する他のアプリケーションにもシームレスにアクセスできます。

oidc-openid-connect-4.png

特徴

OAuth 2.0 を拡張して認証機能を追加
JSON Web Token (JWT) を使用
RESTful API に適している

主要なエンドポイント

認可エンドポイント
トークンエンドポイント
ユーザー情報エンドポイント

フロー

クライアントが認可リクエストを送信
ユーザーが認証と認可を行う
認可コードが返される
クライアントがアクセストークンと ID トークンを取得
ユーザー情報の取得(オプション)

これらのプロトコルは、それぞれ異なる使用環境や要件に適しています。組織の需要や既存のインフラに応じて、適切なプロトコルを選択することが重要です。

SSOのメリットとデメリット

上記のように、ユーザーが1回のログインだけで、複数のシステムやアプリにアクセスできるので、利便性面、セキュリティ面や管理面から様々なメリットが得られますので、特に社員数が多い大企業では、アカウントや権限の管理コストを抑えるために、このSSOが非常に汎用されています。

SSOのメリット

次は、SSOの主なメリットを皆さんに紹介します。

ユーザーの利便性向上

SSOを適用すると、異なるサービスを利用するために、複数のパスワードを覚える必要がなくなり、ログイン回数もかなり減少されます。ということで、企業内で利用する必要があるアプリケーション間でシームレスな移動が実現されます。

セキュリティの強化

SSOの実装により、パスワード管理が一元化され、強力なパスワードポリシーの適用が容易になります。それに、多要素認証(MFA)の導入プロセスも簡略化され、アクセス権限の集中管理が可能です。

管理コストの削減

一般社員にとって、様々なアカウントを管理することが簡単になり、パスワードリセット要求もそれに伴って減少します。また、IT部門やIT管理員にとって、様々なプラットフォームのメンバー管理などの作業の負荷もかなり軽減されます。

生産性の向上

様々なアプリケーションにも同じアカウントでログインすることができるので、各アプリへのアクセス時間が短縮され、ユーザーのフラストレーションも減少されます。

コンプライアンスの向上

SSOの実施により、企業内のすべての社員のアクセスログを一元管理することができるので、管理者がユーザーの行動追跡が容易になります。

新しいアプリケーションの導入が容易

既存のSSO環境に新しいアプリケーションを追加することもできます。

セキュリティインシデントのリスク低減

全てのサービスにも同じなアカウントでアクセスしているため、アカウントを無効化する必要がある場合、一箇所だけですみます。これにより、不正アクセスの検出も容易になります。

クラウドサービスとの連携

クラウドベースのアプリケーションとオンプレミスのシステムを統合しやすくなります。

ユーザーオンボーディングの簡素化

新入社員や新規ユーザーのセットアップも容易なので、ユーザーオンボーディングのプロセスが簡素化になります。

デバイス間の一貫性

異なるデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)間でのシームレスな認証を行うことができます。

上記のように、特に中大規模の企業でSSOを導入すると、数多くのメリットが得られます。これらのメリットにより、SSOは多くの組織で採用されており、ユーザー体験の向上とセキュリティ強化の両立に貢献しています。

SSOのデメリット

SSOには多くのメリットがありますが、同時にSSOの実施によって、不便な面もたくさんあります。次は、SSOのデメリットや課題をも一緒に解説していこうと思います。

単一障害点(Single Point of Failure)

  • SSOシステムが停止すると、すべてのアプリケーションにアクセスできなくなる可能性がある
  • セキュリティ侵害が発生した場合、多くのシステムが同時に影響を受ける可能性がある

セキュリティリスクの集中

  • 一つのアカウントが侵害されると、すべてのアプリケーションにアクセスされる危険性がある
  • パスワードの漏洩や盗難のリスクが高まる

導入の複雑さと初期コスト

  • SSOの実装には技術的な専門知識が必要
  • 既存のシステムとの統合に時間とコストがかかる場合がある

ベンダーロックイン

  • 特定のSSOプロバイダーに依存することで、将来的な柔軟性が制限される可能性がある

ユーザーの依存性

  • ユーザーがSSOに慣れすぎると、個別のパスワード管理スキルが低下する可能性がある

プライバシーの懸念

  • 一元化されたユーザー情報の管理が、プライバシーの問題を引き起こす可能性がある

規制遵守の複雑さ

  • 異なる規制要件を持つ複数のシステムを統合する際に、コンプライアンスの確保が難しくなる場合がある

セッション管理の課題

  • 長時間のセッションがセキュリティリスクを高める可能性がある
  • 適切なセッションタイムアウトの設定が難しい場合がある

多要素認証(MFA)の実装の複雑さ

  • SSOと多要素認証を適切に組み合わせるのが技術的に難しい場合がある

これらのデメリットを認識し、適切な対策を講じることが重要です。例えば、セキュリティ強化のための多要素認証の導入、定期的なセキュリティ監査、バックアップ認証システムの準備などが考えられます。SSOの導入を検討する際は、これらのデメリットとメリットを慎重に比較検討する必要があります。

まとめ

シングルサインオン(SSO)は、現代のデジタル環境において、ユーザーの利便性向上とセキュリティ強化を両立させる重要な技術です。本記事では、SSOの定義、仕組み、主要な種類(SAML、OAuth 2.0、OpenID Connect)、そしてそのメリットとデメリットについて詳しく解説しました。

SSOの主なメリットには、ユーザーの利便性向上、セキュリティの強化、管理コストの削減、生産性の向上などがあります。一方で、単一障害点やセキュリティリスクの集中、導入の複雑さなどのデメリットも存在します。

組織がSSOの導入を検討する際は、これらのメリットとデメリットを慎重に比較検討し、自社の環境や要件に最適なソリューションを選択することが重要です。また、SSOの導入後も、セキュリティ対策の継続的な強化や、ユーザー教育の実施が不可欠です。

適切に実装されたSSOシステムは、組織の効率性とセキュリティを大幅に向上させる可能性を秘めています。テクノロジーの進化とともに、SSOの重要性は今後さらに増していくと予想されます。組織は、これらの点を十分に理解した上で、SSOの導入を戦略的に検討することが望ましいでしょう。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を読んで少しでも理解を深めていただければ幸いです!

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