去年、とある会社にデータサイエンティスト職として転職いたしました。
はやりのせいか、データサイエンティスト志望者と求人が増えている印象ではありましたが、噂も多いこの業界の転職事情について、実際はどんな状況であったのか、まとめをさせて頂きます。
#自己紹介
大学・大学院では、バイオサイエンスを専攻。
植物、微生物を対象に、遺伝子発現解析や、化学分析(HPLC, GC-MS)、Rを使った統計・多変量解析を主に行っていました。
新卒で繊維系の製造企業に就職。1カ月間の研修後、配属ガチャにより子会社の品質保証部に配属され、約1年半所属しておりました。
品質保証部では、主に客先からのクレーム対応や客先向け書類の作成・整理の事務作業、工場側と設計開発との社内調整役など、製造部門のバックオフィス的な役回りで仕事を担当しておりました。
#転職活動へのモチベーション
①製造部門のバックオフィス的な役回りが合わなかったこと。
②プログラミングや統計解析が好きで、ビックデータのエンジニアとしてスキルを積みたいと思ったため。
新卒の際は「ものづくりに携わりたい」という思いでメーカーに就職しましたが、開発・設計にほとんど携われず、できあがった後の製品へのクレーム対応に追われる日々に絶望していました。
また、年齢構成も、私以外は50歳以上の年配の方々ばかりだったので、様々な雑用を押し付けられ、オフィスの整理・清掃や書類整理、オフィス備品の改修(?)、経費精算など、(直接的に)業務に関係ないこともこなしておりました。
仕事の面では正直楽しくなかったのですが、趣味でプログラミングにハマれたのが唯一の救いでした。会社のPCはネットにつながらない仕様だったので(社員がさぼるという理由で...)、家に帰ってから寝るまでプログラミングやkaggleをしているのが癒しでした。
#転職時のスキル・できたこと
大学ではRしか扱ってなかったので、Pythonは社会人になってから初めて勉強になりました。
勉強方法はオンラインの教材や、TECH PLAY、CONNPASSで募集がかかった勉強会に参加しておりました。
アピールできるスキルとしては...
・ さわったことのあるプログラミング言語:Python、Rのみ
・ 統計学のちょっとした知識:大学の授業内容ぐらい
・ 機械学習の知識:他の投稿記事に挙げているぐらいのこと
・ Raspberry Piの簡易な操作
・ 品質関連業務(品質解析/品質企画など)
・ 化学分析機器の使用経験(HPLC, GC-MS, SEM-EDX, PCR, DNAシーケンサー等)
など、
一部は変更してますが、大体 ↑ の感じで職務経歴書に記載しておりました。
#本題
##キャリアサイトへの登録(8月お盆前頃)
前職に在籍しながら、転職活動をすると決め、まずはキャリアサイトに登録しました。
世の中には様々のキャリアサイトがあるようですが、私はDODAのみしか利用せず終了しました。
DODAが紹介する求人のみでスケジュールが埋まってしまい、他のところに手が出せなかったのが理由ですが、情報源が一元化できたため、結果として効率的に活動を進めることができました。
お盆休み前に一度、リクルーターとの面談を一度行いました。
こちらが提示した転職条件としては、
- データ分析が事業化できており(立ち上げ段階ではない)、収益をあげれていること
- ビックデータを保有していること
- 東京で働けること
特に条件1、2は、すぐに分析業務の経験を積むのに重要だと考えていたので、こだわりました。条件3は、データ分析界隈のすごい方が多いことや勉強会の開催が多いことから、東京という条件を出しました。
待遇や会社の規模、入社時期については執着せず、上記の条件に当てはまりそうな会社を紹介してもらいました。
リクルーターからアドバイスを頂きながら、職務経歴書と履歴書をお盆明けぐらいに完成させ、紹介求人へエントリーを始めました。
##面接(8月末~10月中頃)
転職期間に合わせて120社程度をエントリー、面接通過は15~20社程度でしたので、通過率は10~20%程度でした。平均の30%より低かったので、焦っていた記憶があります。
↓に書類通過以降で印象深かった企業のみ挙げています
〇自動車業界
・H社
車載用AIシステムの開発。転職スケジュールが合わず、断念。自動車業界の中でも、データサイエンスの活用に積極的な会社なので、とても残念でした。追加のESがあり、独特な設問だったのが印象深かったです。
・S社
データサイエンス部門の募集。最終面接免除で内定を頂けました。部品の故障を先に予測できるサービスをつくるために、部門を設けるとのことで、立ち上げ準備かつ人員を集めているとのこと。給与面も面接官の人柄も良かったのですが、希望に合わず辞退させていただきました。
〇化学業界
・S社
工場での設備故障予知するための開発。超大手だったので、書類通過で驚いたのを覚えております。転職スケジュールが合わず、断念いたしました。
〇医療機器業界
・T社
医療画像のAI開発職。新卒の時にあこがれの企業だったので、受けたかったのですが、こちらも転職スケジュールが合わず、断念いたしました。
〇ベンチャー系
・I社
データサイエンティスト職。最終的にはこちらに内定承諾しました。マーケティングへのビックデータ活用などを行っています。
・F社
会計ソフトに強み。(最近、上場して話題になっていました...)機械学習プロダクトの開発で募集していました。
〇IT業界
・N社
某有名SIerベンダー。こちらも、機械学習プロダクトの開発で募集。書類選考、適性検査合格後、音信不通になったので、こちらも辞退させて頂きました。
・T社
アート方面で強い企業。データサイエンスよりはどちらかというと、データエンジニアよりの募集でした。こちらも転職スケジュールが合わず、断念いたしました。
##結果は...
自動車系S社とITベンチャーのI社、その他数社に内定頂き、最終的にI社に内定承諾いたしました。
A社への決め手は、データ分析が事業化できている段階で、かつ、順調に収益をあげれていることでした。
また、棚ぼた的ではありますが、給与も想定よりもいただけることになり、300前半も覚悟していた私にとって、生活費の不安が和らいだことも決め手の一つになったと思います。
#総括
##企業側の採用意欲は高い、ただし...
非常に採用意欲が高いと感じました。特に大手製造業のデータサイエンティスト枠が非常に多く、未経験でも書類通過したところがたくさんありました。但し、事業立ち上げ段階のところが多かった印象でした。
逆にベンチャー企業では未経験の募集は少ない印象を受け、事業化がある程度成立した企業に、未経験で採用されるのは徐々に難しくなってきているのではないかと思われます。
##未経験の年収レンジは350~450/年
未経験採用の場合は、相場年収は350~450の印象。但し、上記の様な事情から、大手製造業の採用枠も多いため、未経験でも500~600台の募集もよく見かけました。
##面接では「自分の将来像」=「会社へのメリット」を結びつけることが大事
面接で一番多かったのは「あなたの将来像について教えてください」の質問です。
なぜ、この質問が多かったのか、自分なりの考察ですが、データサイエンティストが世に出て間もない職業であるため、採用側もどのように会社にメリットがあるのか、つかみ切れていない結果の質問だと思います。
業界・会社ごとに異なる様々な課題があり、それをどうやってデータサイエンスや統計学の手法で解決できるか or していきたいかを結びつけ、明確に説明できることが面接で必要になってくると思います。
#なぜこの記事を投稿したのか
私と似たような悩みを抱え、一歩を踏み出せない方がいらっしゃるのではないかと思い、微力ながらこのような記事を投稿させていただきました。
私自身、出て間もない職業であるデータサイエンティストへの転職は大きな不安を感じながら活動しておりました。
ただ、面接官の方々と「データサイエンスでこういうことを解決したい!」と意気投合し、夢を語れる機会もたくさんあり、いつの間にか当初の不安は消え去っていました。
昨今のAIブームも収束の兆しを見せたことで、逆に地に足立って事業化していこう流れが強くなってきており、「こんなはずじゃなかったのに」的な企業が淘汰されてきているため、業界志願者にとってミスマッチが起きにくい将来性のある市場になってきていると感じます。そのような方々に参考になれば幸いです。
私自身も初心を忘れず自己研鑽と投稿を増やしていきたいと思います。
長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。