はじめに
Amazon FSx for NetApp ONTAP (以下 FSxN) は、NetApp のストレージ OS 「ONTAP」で動作しています。
オリジナルの ONTAP には「System Manager」というブラウザ向け GUI が実装されていますが、FSxN では利用することができません。1
GUI で慣れ親しんだ人からするとちょっと困るなーという事になりそうですよね。
ということで、代替の手段を用いて GUI 主体でオペレーションするための方法を整理してみました。
ちなみに、オリジナルの ONTAP の設定・操作方法には、以下の3つの方法があります。
- System Manager (ブラウザ用 GUI)
- ONTAP CLI
- ONTAP REST API
FSxN では、このうち CLI と REST API を利用することが可能です。
FSxN を GUI 操作する手段
主な手段としては、以下の3つの方法が存在します。
AWS Management Console
AWS が提供する標準の GUI で、ブラウザからアクセスします。
FSx ファミリーで共通の GUI となっており、初期デプロイや新規ボリュームの作成といった構築の際や、バックアップ等のデータ保護、パフォーマンス監視等に利用できます。
Microsoft 管理コンソール (MMC)
Windows OS に搭載されているコンソールアプリケーションです。
ONTAP の操作に関しては、スナップインと呼ばれるモジュールを用いてCIFS/SMB 共有の設定に利用することができます。
同じ Active Directory 配下の Windows PC (無論 AD サーバー自身でも OK) から実行します。
前述の AWS Management Console では CIFS/SMB共有の設定ができないため、MMC を併用した手順が FSxN 公式ドキュメント にも記載されています。
NetApp Blue XP
Blue XP はNetAppが提供するクラウド管理プラットフォームです。
(旧来 Cloud Manager と呼ばれていたものの、強化発展版です)
利用にあたってはユーザーアカウントの登録が必要になりますが、BlueXP そのものは無償利用が可能です。
BlueXP は ONTAP を始めとするストレージやデータサービスを統合管理する機能があります。
FSxN にも対応しており、ボリュームの作成や CIFS/SMB 共有の作成、バックアップやリストアといった一通りの運用ができるようになっています。
できること比較
GUI の需要がありそうな CIFS/SMB 利用に関連した操作項目に関して、できる・できないの比較をしてみました。
厳密には、MMC Console は CIFS/SMB 共有にほぼ限られていますので、用途に応じて複数の方法を使い分ける事になります。
AWS Console | MMC Console | BlueXP | |
---|---|---|---|
SVM 作成 | ○ | - | - |
Volume 作成 | ○ | - | ○ |
Qtree 作成 | - | - | - |
AD 参加 | △ SVM 作成時のみ |
- | ○ |
CIFS 共有作成 | - | ○ | △ Volume 作成時のみ |
Workgroup 設定 | - | - | - |
Quota 設定 | - | - | - |
Snapshot 設定 | Volume 作成時に 既存 Policy から選択 |
- | Volume 作成時に 既存 Policy から選択 |
Snapshot 手動作成 | ○ | - | ○ |
Snapshot からのリストア | バックアップセットから ボリュームを生成 |
エクスプローラーを開き 「以前のバージョン」から参照 |
バックアップセットから ボリュームを生成 |
ボリュームレプリケーション | - | - | ○ |
性能監視 | ○ | - | △2 |
容量監視 | ○ | - | △3 |
上記表で - となっている箇所は、オリジナルの ONTAP の GUI 及び CLI/API では実施可能な項目です。
まとめ
- ONTAP GUI (System Manager) は FSxN では(まだ)使えないので、
・AWS Console + Windows MMC の組み合わせ
・BlueXP
で代替 - シンプルな運用であれば、ある程度は代替手段で可能
- CLI/REST API を併用できるのであれば、オンプレの ONTAP とほぼ同等の事は可能
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2022/12/06 現在、ONTAP 9.11.0 P3 での状況です。今後のアップデートで変更される可能性があります。 ↩
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有償の「Cloud Insights」の契約が必要 ↩
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現在の使用量の確認のみ。詳細な容量推移等については有償の「Cloud Insights」契約が必要 ↩