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さいきょうのクラウドストレージを Amazon FSx for NetApp ONTAP + Nextcloud で作る!(その2)

Last updated at Posted at 2022-10-04

はじめに

この記事は、NetApp のストレージ OS である ONTAP の機能を活用して、自前のクラウドストレージを構築する為のアイディアの紹介と構築メモです。

前回記事「さいきょうのクラウドストレージを Amazon FSx for NetApp ONTAP + Nextcloud で作る!(その2)」では、AWSのEC2でNextcloud サーバーを立て、データの保管場所として Amazonm FSx for NetApp ONTAP (以下 FSxN)の環境を作る手順を紹介しました。

今回は Active Directory のユーザーでログインしたり、 Windows PC から直接共有フォルダーを見えるようにしていきます。
これにより、オンプレのファイルサーバーをクラウドへ移行した際に、従来通りのファイルサーバーとして使いつつ、クラウドらしくモバイル利用も、と両方使えるような環境を作ってみます。

用意するもの

Nextcloud + FSxN

前回記事「さいきょうのクラウドストレージを Amazon FSx for NetApp ONTAP + Nextcloud で作る!(その2)」と同等の環境が必要です。

AD サーバー

サーバーの設置場所はどこでも OK ですが、Nextcloud サーバー及びFSxN の管理用 IP アドレスとの間で疎通出来る必要があります。

その他

FSxN の追加設定をコマンドで行うために、SSH 接続が必要です。
FSxN の管理 IP アドレスに SSH アクセスができる必要があります。
Nextcloud のサーバーとかでも良いですが、踏み台サーバー等として外部から操作出来る環境が必要です。

構成イメージ

image.png

手順

FSxN の設定

ストレージ仮想マシンを追加

既存ファイルシステムに SMB/CIFS 機能を提供するストレージ仮想マシンを追加します。

AWS コンソールから、FSx > ストレージ仮想マシン
の画面を開き、「ストレージ仮想マシンを作成」を選択します。
image.png
image.png

下記設定を入れて、作成します。

  • SVM名
  • ストレージ仮想マシン名ルートボリュームのセキュリティスタイル :NTFS
  • 「Active Directory への参加」を選択
  • NetBios名
  • Active Directory ドメイン名
  • DNS サーバーの IP アドレス
    ADドメインの名前解決が出来るDNS(AD自身でOK)
  • サービスアカウントのユーザー名
    ADの管理者権限のあるユーザー名
  • サービスアカウントのパスワード

数分待つと、SMB (CIFS) でアクセス可能なファイルサーバーが作成され、AD のドメインに参加している状態になります。

ボリュームの作成

FSx > ボリュームの画面から「ボリュームの作成」を選択します。
image.png
必要項目を入れて「Confirm」をクリックします。
数秒待つと、ボリュームが作成されます。

SMB 共有の作成

共有の作成はコマンドで実施する必要があります。
SSH で FSx ファイルシステムの「管理エンドポイント IP アドレス」に接続します。
管理者でログインし、下記コマンドを実行します。

::> vserver cifs share create -share-name pub -path /pub -share-properties oplocks,browsable,show-previous-versions

Nextcloud サーバーの構成

AD (LDAP) 連携と SMB アクセスをするため、Nextcloud サーバーにモジュールを追加します。

$ sudo apt install ldap-client -y
$ sudo apt install php-smbclient -y

Nextcloud の設定

LDAP 連携機能とSMB機能を有効化します。

ブラウザで Nextcloud の管理画面にアクセスし、管理ユーザーでログインします。
管理画面の右上のアイコンをクリックし、メニューから「+アプリ」を選択します。
image.png

アプリ管理画面に遷移しますが、左ペインにある「無効なアプリ」を選択すると、有効化されていないアプリの一覧が表示されます。
image.png
その中にある「External Storage Support」と「LDAP user and group backend」を「有効にする」ボタンをクリックします。

次に、アプリの設定に移ります。
右上のユーザーアイコンをクリックし、メニューから「設定」を選択します。

image.png

「LDAP/AD統合」の設定

左ペインに「LDAP/AD統合」というメニューが追加されていますので、クリックして設定画面に移ります。

image.png

「サーバー」タブ
例えば、Windows で構築された AD サーバを LDAP サーバとして参照する場合で、参照用のユーザーとして「ldapadmin」というユーザーを作成してある場合は、こんな感じで設定していきます。

項目 説明 設定例
ホスト AD サーバのホスト名 or IP アドレス 172.16.1.10
ポート LDAP プロトコルの listen port 389
ユーザーDN LDAP管理者等権限のあるユーザー cn=ldapadmin,cn=Users,dc=lab,dc=local
パスワード 上記ユーザーのパスワード
ベースDN ユーザー検索のベースDN cn=Users,dc=lab,dc=local

「続ける」をクリックして次の「ユーザー」タブへ

「ユーザー」タブ
image.png

今回は特に設定はしていません。

下部にある「設定を検証し、ユーザーを数える」ボタンをクリックすると、認証対象となるユーザー数が表示されます。
問題なさそうならそのまま「続ける」をクリックします。

「ログイン属性」タブ
image.png

ここでも特に設定はしません。

「テスト用ログイン名」にユーザー名を入力して「設定のチェック」をクリックすると、そのユーザーでログイン可能かの確認ができます。

Nextcloud:外部ストレージの設定

管理画面右上のアイコンをクリックします。
image.png
メニューから「+アプリ」を選択します。

image.png
左側ペインの「無効なアプリ」をクリックし、一覧にある「External storage support」を有効にします。

再度、右上アイコンをクリックします。
image.png
メニューから「設定」を選択します。

左ペインの「管理」配下にある「外部ストレージ」をクリックします。
image.png

右ペインに設定画面が表示されます。
image.png
「フォルダー名」は Nextcloud のホーム画面で見える表示名です。
「ストレージを追加」をクリックすると現れる選択肢から「SMB / CIFS」を選びます。

SMB / CIFS 設定用のビューに切り替わります。
image.png

設定項目として下記のようにします。

項目 説明 設定例
フォルダー名 各ユーザーのホームに表示されるフォルダー名 pub
外部ストレージ アクセス方式 SMB / CIFS
認証 外部ストレージへの認証方法 ログイン認証情報
ホスト FSxN のファイルサーバーのホスト名 or IP xxx.xxx.xxx.xxx
共有 FSxN のファイルサーバーで作成した共有フォルダー名 pub

ADユーザーの個別の権限で FSxN にアクセス出来るようにするために、「認証」の欄を「ログイン認証情報」を選択をします。
全ての設定が出来たら、右端の✓をクリックすることで保存できます。

これで FSxN の SMB ファイルサーバーと Nextcloud 、両方が AD 連携した共存環境が完成です。

接続テスト

AD ユーザーで Nextcloud にログインします。
ホーム画面のフォルダ一覧を見ると、外部ストレージの pub というフォルダが見えるはずです。

おわりに

オンプレデータを移行しても今まで通りのファイルサーバーとしての使い方が出来、加えてモバイルアクセスも実現できる、というシナリオで今回の環境を目指してみました。

次回は、FSxN (ONTAP) の SMB 周りの機能を活用して、より高度なファイルサーバー機能やランサムウェア対策との連携を紹介する予定です。

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